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配信版オルガンコンサートについて綴る〜メシアン・ミュレ・デュプレ〜
昨年からチャペルコンサートが実施できていない。パンデミックの波が日本に上陸してから1年半以上経つが、未だチャペルに学内の生徒も集えないでいる。当然以前のようなオープンなイベントはほとんど開催できていない。2020年はシリーズ開始3年目で、「パイプオルガンを軸としたオープンイベント、チャペルコンサートシリーズをより活発に」と意気込んでいた矢先であったので、先の見えない「できない」壁の厚さにすっかり意
もっとみるMysteries of the Macabre ~狂気と愛の音楽〜
音楽家にとって、もはや「コロナ」という言葉も聞きたくないような状況になってしまった。演奏会は軒並み中止、演奏会の企画をしても実現するのかわからない。コーラスの練習もできない。状況は学校の現場も似ている。特に実技を中心に進めていた音楽の授業は、生徒たちが登校できず、顔を合わせられず、もし登校できるようになったとしても、不安があるなかでは歌うこともできない、楽器演奏や人と人との距離が近いグループワーク
もっとみる21世紀に響くジャン=フィリップ・ラモー
ラモーブームが継続している。というか、クルレンツィスのラモーにハマってしまっている。だけど一般的には「ラモー」と言っても誰のことなのか、バッハと同年代の18世紀フランスのバロック音楽家はあまり知られていないかと思うので、理解して頂けないことが多い気がする。というわけで、今回はビデオとともにその魅力をご紹介したいと思う。「輝きの音」に収録されている18曲はどれも全て、とても美しく、エネルギーに溢れて
もっとみるパーセル:「ディドのラメント」を聴く
クルレンツィスの演奏するバロック、早速続編ということで、パーセルのオペラ「ディドとエネアス」を聴いた。目下、デスクワークに追われているので、「聴いた」というか「聞いた」のだけど、劇の最後に女王ディドが身投げして妹の腕の中で息を引き取る直前に歌われる「ディドのラメント」で手が止まる。この猛烈に胸が締めつけられるメロディー、知ってる!
それは、昨年見た映画(DVD)の中で最も印象深く、その中でも最も
ラモー:「輝きの音」を聴く
昨年購入したCDで、最近になってようやく聴き始めたものに、クルレンツィス×ムジカエテルナのラモーの盤がある。2014年のラモー没後250年記念にリリースされたものが2015年に日本盤化されたものだ。
ここ最近は現代の作品に傾倒しがちだけど、私はもともとバロック音楽にかなり強く共鳴しており、イタリアのパンドルフィ=メアリのエキセントリックさや、フランスのマラン・マレのヴィオール作品などには、言葉が出