佐川 淳 Jun Sagawa

【パイプオルガン奏者・音楽教育者】 特に現代音楽から強いインスピレーションを受ける。パイプオルガンという楽器が持つ新たな可能性の開拓に興味を持ち、特殊機能を備えたパイプオルガンを自らプランし、2017年に完成させる。コンサート企画者、高校音楽科教員、大学講師。

佐川 淳 Jun Sagawa

【パイプオルガン奏者・音楽教育者】 特に現代音楽から強いインスピレーションを受ける。パイプオルガンという楽器が持つ新たな可能性の開拓に興味を持ち、特殊機能を備えたパイプオルガンを自らプランし、2017年に完成させる。コンサート企画者、高校音楽科教員、大学講師。

    最近の記事

    MIDIが拡げるパイプオルガンの可能性

    MIDIって何だろう 「MIDIを使ったプロジェクトがあって」と話しはじめると、主に「わからない!」と耳に蓋をされるか「今さら・・・?」と言われるかどちらか、というのが私が昨今得る印象である。総じて、反応がすこぶるよろしくない。 私自身長い歴史を持つ楽器を演奏するアナログ人間なもので、MIDIについてペラペラと説明できる訳でもないけど、辞書的な説明をすると、MIDI(Musical Instruments Digital Interface)とは電子楽器同士を接続するための

      • アーティスト・インタビューvol.2 : オルガニスト 冨田一樹さん

        オルガニストの冨田一樹さんに、現在の活動について、演奏に向き合う姿勢、オルガンやオルガン作品の変遷について等、沢山お尋ねしました。一部専門的な内容を含みますが、冨田さんの音楽観に迫れる濃密なロングインタビューになりました。 インタビュー:2022年2月グレイス・チャペルにて 聞き手:佐川 淳 佐川:冨田さんは 2019 年のチャペルコンサートシリーズで初めて本校で演奏して下さったのですが、その後世の中の状況がすっかり変わってしまいました。演奏家として、コロナで変わったと感

        • アーティスト インタビュー vo.1:岸野末利加さん(作曲家)

          今年、チェロとオーケストラのための『What the Thunder Said / 雷神の言葉』で第69回尾高賞を受賞された岸野末利加さんに、ロングインタビューで創作のプロセス、現代の音楽事情についてなどをお尋ねしました。 インタビュー:2022年1月京都某所にて。聞き手:佐川 淳 ヨーロッパを拠点にして 佐川:岸野さんは日本で生まれ育ち、フランスで作曲を学ばれ、現在はドイツで長く作曲家として活動をされていますが、それぞれの国の違いをどのように感じられますか。 岸野:

          • 配信版オルガンコンサートについて綴る〜メシアン・ミュレ・デュプレ〜

            昨年からチャペルコンサートが実施できていない。パンデミックの波が日本に上陸してから1年半以上経つが、未だチャペルに学内の生徒も集えないでいる。当然以前のようなオープンなイベントはほとんど開催できていない。2020年はシリーズ開始3年目で、「パイプオルガンを軸としたオープンイベント、チャペルコンサートシリーズをより活発に」と意気込んでいた矢先であったので、先の見えない「できない」壁の厚さにすっかり意欲を失ってしまった時もあった。 「世界中のコンサート会場から音が消えた」という

            Mysteries of the Macabre ~狂気と愛の音楽〜

            音楽家にとって、もはや「コロナ」という言葉も聞きたくないような状況になってしまった。演奏会は軒並み中止、演奏会の企画をしても実現するのかわからない。コーラスの練習もできない。状況は学校の現場も似ている。特に実技を中心に進めていた音楽の授業は、生徒たちが登校できず、顔を合わせられず、もし登校できるようになったとしても、不安があるなかでは歌うこともできない、楽器演奏や人と人との距離が近いグループワークもできない。正直気が滅入る。 ようやく気持ちを切り替え、オンライン授業に向けて

            気ままにオルガン作品紹介(1)ジャン・アラン「3つの舞踏」より「闘い」

            マイナーなオルガン作品パイプオルガンを演奏していると、オルガン作品が一般的にはマイナーであることをつい忘れてしまうことがある。オルガニスト同士がレパートリーについて会話していたら、日本でその内容を理解できる人(オルガン弾きではない人)は相当な音楽オタクであるに違いない。というくらい、知られている作品が少なすぎる。しかし、実際に生で作品を聴いてもらうと、かなり反応がよいことの方が多い。という訳で、宣伝・啓蒙活動の一環として気ままにオルガン作品紹介の第一弾。もちろん素敵でマイナー

            21世紀に響くジャン=フィリップ・ラモー

            ラモーブームが継続している。というか、クルレンツィスのラモーにハマってしまっている。だけど一般的には「ラモー」と言っても誰のことなのか、バッハと同年代の18世紀フランスのバロック音楽家はあまり知られていないかと思うので、理解して頂けないことが多い気がする。というわけで、今回はビデオとともにその魅力をご紹介したいと思う。「輝きの音」に収録されている18曲はどれも全て、とても美しく、エネルギーに溢れている。なかでも一番強烈な個性を放つのは、叙情喜劇(コメディ)「プラテー」より「光

            パーセル:「ディドのラメント」を聴く

            クルレンツィスの演奏するバロック、早速続編ということで、パーセルのオペラ「ディドとエネアス」を聴いた。目下、デスクワークに追われているので、「聴いた」というか「聞いた」のだけど、劇の最後に女王ディドが身投げして妹の腕の中で息を引き取る直前に歌われる「ディドのラメント」で手が止まる。この猛烈に胸が締めつけられるメロディー、知ってる! それは、昨年見た映画(DVD)の中で最も印象深く、その中でも最も印象的に用いられていた曲だったのです。その映画は、「耳に残るは君の歌声」。200

            ラモー:「輝きの音」を聴く

            昨年購入したCDで、最近になってようやく聴き始めたものに、クルレンツィス×ムジカエテルナのラモーの盤がある。2014年のラモー没後250年記念にリリースされたものが2015年に日本盤化されたものだ。 ここ最近は現代の作品に傾倒しがちだけど、私はもともとバロック音楽にかなり強く共鳴しており、イタリアのパンドルフィ=メアリのエキセントリックさや、フランスのマラン・マレのヴィオール作品などには、言葉が出ないほど圧倒されたりする。 クルレンツィスがもともと古楽器にこだわっていたこと、

            ジェルジ・リゲティのオルガン作品

            ヴォルーミナ(Volumina)リゲティはどこまで一般的に知られているのだろうか。ジェルジ・リゲティ(1923-2006)は20世紀を代表する作曲家です。素晴らしい映画監督、スタンリー・キューブリックの作品でリゲティ作品が多用されているので、映画に詳しい方には『2001年宇宙の旅』や『シャイニング』、『アイズワイドシャット』とタイトルを挙げるとピンときて頂けるだろうか。私もキューブリック作品は大好きだけど、個人的にはリゲティの出てこない『時計じかけのオレンジ』が映画として最も

            音楽の中の身体性

            ピナ・バウシュ実は私はバレエが大好きで、それも古典バレエではなくモダンバレエ、というか今は亡きピナ・バウシュのヴッパータール舞踏団 (Wuppertal Tanztheater) の大ファンだ。 ピナ・バウシュのことを何で知ったのかはもう覚えていないけど、初めて観たのは『春の祭典 / カフェ・ミュラー 』の2本立てプログラムだった。会場は彼らの本拠地であるヴッパータールの劇場で、大好きなストラヴィンスキーの『春の祭典』目当てに行き、期待以上にすっかり心酔したのだけど、後まで

            音楽の中に息づくもの~ペーター・ノイマンについて~

            音楽に宿る生命~言語が持つ力~高校でも大学でも授業などで音楽の指導をするとき、「どうしたら音楽が生き生きするのか」ということをよく考える。というか授業の目的はほとんどそれで、その為に手を変え品を変え授業しているに過ぎない気がする。 先日、アンサンブルを主宰される声楽家の方が、ジャズセッションにおける日本人と欧米人の演奏の違いについて、「母音で合わせるか子音で合わせるか」の違いだと表現されているサイトを紹介されていた。楽器演奏におけるリズムの感じ方を「母音・子音」という言葉で

            越境していく音楽~クラシックコンサートのオーガナイズをめぐって思うこと~

             演奏会と集客を考えるときの壁年に4回の演奏会を企画し、そのうち1回は自分のソロ公演をしよう、というのを昨年から試みている。かなり限られた予算でそういうことをしていると、コンサートのプログラミングやオーガナイズ、集客や広報など、様々な面でとても苦労して悩む。ファン層を選ぶクラシックコンサートにおいては、集客のために「皆が知っている」曲を演奏することが好まれる傾向にある、特に関西においては。これが、思った以上に大きな壁になっていると感じる。「世界でも評価された有名な演奏家」「有

            クルレンツィス in ケルン、まもなく!

            クルレンツィス in ケルン 実はクルレンツィスの話題が続く。これを書いている日付は変わってしまったが、実はまさに今、ドイツのケルンでは現代音楽フェスティバルが開幕している。ACHT BRÜCKEN (eight bridges) という名で4月30日から5月11日まで、ケルンの街のあちこちで、熱い現代音楽作品の数々が上演される。 2011年から毎年開催されているこのフェスティバルは今年で9回目となり、今年は「大都市 ポリフォニー」という副題を持って「Geschehen 出

            現代の耳でクラシックを聴く

            クルレンツィスとムジカエテルナ 近頃世界のクラシック界を賑わせており、今年の2月に初来日も果たしたギリシャ人指揮者、テオドール・クルレンツィス率いる「ムジカエテルナ」。どこのオケなのかというと、ロシアのペルミというこれまた聞きなれない場所。しかしクルレンツィスはムジカエテルナ、そしてモルドヴァ生まれの女性バイオリニスト、コパチンスカヤとの組み合わせで今や世界中を席巻している。 彼らのことは、「レコード芸術」誌で音楽学者の伊東信宏氏が数年前から取り上げておられた。(昨年出版