マガジンのカバー画像

【毒親連載私小説】ほどけない糸

78
運営しているクリエイター

#相互フォロー

【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

【毒親連載小説 #24】父とわたし 5

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

毒親育ちのあなたへ
自分の居場所は自分で作れる!

無料メルマガ
【インナースペース@パース】
発行中です。

スマホの方はこちら
PCの方はこちら

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

何よりもこの事実を認めた瞬間
私という人間はたった数万円の
お金も払ってもらえぬ
価値のない人間であることを
認めるような気がした。

もっとみる
【毒親連載小説 #23】父とわたし 4

【毒親連載小説 #23】父とわたし 4

私はこの頃、自分の進路を
親や兄弟、誰にも相談できず、
ひとり悶々と悩んでいた。

私が通っていたのは
民族学校だったので、
高校卒業後、
日本社会で就職をするのか?

それはどのような方法でするのか?

それとも、
日本の大学へ進学するのか?
いや、そもそも、私は
何をしたいのだろうか?

私はどうしたらよいのか
全くわからずにいた。

両親は学歴もなかったし、
毎日のように夫婦喧嘩ばかりして

もっとみる
【毒親連載小説 #22】父とわたし 3

【毒親連載小説 #22】父とわたし 3

父が私の元に突然やってきて
「今、経済状態がよくない」。
そう一言切り出し、
あれこれとごちゃごちゃと
言いくるめられた。

そして当時、貯めていた
アルバイト代20万円を全て
持って行かれてしまった。

私はこの家で世話になっている以上、
父の要求に応じるほかなかった。

また、拒絶できる理由も
拒絶するという選択肢もなかった。

私は黙ってそのお金を
差し出すほかなかったが、
なんだか釈然とし

もっとみる
【毒親連載小説 #21】父とわたし 2

【毒親連載小説 #21】父とわたし 2

家庭の経済状況は徐々に
苦しくなっているようだった。

それは当時、民族学校に通っていて
学費が私立並みに高かったのだが、
その支払いが度々遅れるようになったり、
中学から弟だけ日本の学校に通うことに
なったことから感じるようになった。

日本の学校に変わったことで弟は
とてもショックを受けていたことも
よく覚えている。

父はこの時期から、
お金のことになると表情を曇らせ、
苦虫を噛み潰すかのよ

もっとみる
【毒親連載小説 #20】父とわたし 1

【毒親連載小説 #20】父とわたし 1

あの頃の父…。

私が父との記憶をさかのぼると、
それは小学校に辿り着く。

あの頃の父の印象は、
怒りの塊だった母とは対照的で、
物静かで優しい印象だった。

そんなこともあってか、
もともと私にとって父の存在とは、
心の拠り所だった。

また、この頃、
父が営んでいた商売も
うまくいっていたようで、
私たち兄弟は私立の幼稚園に通い、
小中高と民族教育を受けさせてもらった。

幼い頃、私は母と二

もっとみる
【毒親連載小説 #16】母とわたし 14

【毒親連載小説 #16】母とわたし 14

幼稚園の頃から私はうっすらと
母は自分と正反対の性格の私を
疎んじているように思えた。

また、小学校ぐらいからは
父が私をかわいがっていた
ということもあったのだろうか?

母の私に対する扱いは
より乱暴になっていった。

あれは小学校低学年の頃だった。

私はコタツのある部屋で母と二人きり
算数の宿題をするため
そろばんをはじいていた。

母が隣で見ているのが
何だか緊張していて
ちっとも集中

もっとみる
【毒親連載小説 #7】母とわたし⑤

【毒親連載小説 #7】母とわたし⑤

また、
ひとたび夫婦喧嘩が始まり
怒声・罵声だけでは
怒りの収まらない母は、
家にあるお皿を次々と割り、
怒りをあらわにする。

お皿の割れるその不快な音に
私はずっと耳を塞ぎ続ける…。

翌朝、
粉々になったお皿の破片が
床一面に飛び散っているのを見ると、
朝から最悪な気分だった。

そんな日は決まって
母は私たちのお弁当は用意しない。

その代わりに小銭を投げつけられる。

その小銭で朝ごはん

もっとみる
【毒親連載小説 #11】母とわたし⑨

【毒親連載小説 #11】母とわたし⑨

数年前、
私がオーストラリアに嫁ぐ前に
日本から持ってきた古いアルバム。

その中から見つけた自分の写真を見て、
私は一瞬、目を疑った。

それは、まだ
ハイハイしていた頃の幼いわたし。

とても無邪気で天真爛漫で活発な笑顔…。

その写真の中の幼いわたしは
自信のエネルギーに満ち溢れていた。

両親によって
命を授かった「天真爛漫なわたし」は、
皮肉なことに、
両親によってこの天真爛漫さを奪われ

もっとみる
【毒親連載小説 #10】母とわたし⑧

【毒親連載小説 #10】母とわたし⑧

毎日、いつ起こるか分からない
修羅場のような夫婦喧嘩。

私はこの家庭が恐ろしく、
かといってこの状況を
どうすれば良いのかも
全く分からなかった。

そして、何よりもこの苦痛を
誰にも言えないことが
また私をさらに苦しめるのだった。

あの頃のわたしは、
自分ではこの両親のことを
どうすることもできず、
ただ黙って泣くことしかできず、
それでも、
この家に居続けなくてはならない…。

この現状を

もっとみる
【毒親連載小説 #5 】母とわたし③

【毒親連載小説 #5 】母とわたし③

両親の激しい夫婦喧嘩は
いつも突然だった。

なぜ、
両親は毎日のように
喧嘩をしているのか?

あの頃の私は
両親のことが全く
理解することができなかった。

しかし、幼い私にも唯一、
分かっていたことがあった。

それは、
父の帰りが遅い時だった。

料理上手な母は夕方にになると
忙しそうに台所に立ち、
毎日、手際よく何品も
おかずを準備していく。

そして、
夕飯どきにはできたての
料理を食

もっとみる
【毒親連載小説 #2】海外へ出たきっかけ

【毒親連載小説 #2】海外へ出たきっかけ

私が海外に出たきっかけ。

それは、
漠然とした生きづらさにあった。

それは、
決して目には見えないし、
触れることもできない。

でも、確実に存在している
捉えどころのない「何か」。

その「何か」はまるで、
見えない重石のように
私は背負い続けていて、
背負うことにすっかり
慣れてしまい、
この重石がまるで
自分の体の一部に
なってしまったかのような…
そんな感覚と共に生き続けてきた。

もっとみる
【毒親連載小説 #1】今、オーストラリアで想うこと

【毒親連載小説 #1】今、オーストラリアで想うこと

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

毒親育ちのあなたへ
自分の居場所は自分で作る!
無料メルマガ
【インナースペース@パース】
発行します!

スマホの方はこちら
PCの方はこちら

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

オーストラリアの
西側に位置する都市・パース。

自然と都市が調和したこの土地で
今、私は旦那と娘と3人、
とても平凡だけれども
人生で

もっとみる