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【毒親連載小説 #16】母とわたし 14

幼稚園の頃から私はうっすらと
母は自分と正反対の性格の私を
疎んじているように思えた。

また、小学校ぐらいからは
父が私をかわいがっていた
ということもあったのだろうか?

母の私に対する扱いは
より乱暴になっていった。

あれは小学校低学年の頃だった。

私はコタツのある部屋で母と二人きり
算数の宿題をするため
そろばんをはじいていた。

母が隣で見ているのが
何だか緊張していて
ちっとも集中できなかった。

私は昔も今もそうなのだが、
何かを覚えたり習得するまでに
とても時間がかかる。

一方、テキパキと手を動かし
なんでもできてしまう母にとって、
私のこの鈍臭さや要領の悪さに
きっとイラついたのだろう。

いつまでも計算が終わらない私に
しびれを切らした母は
何も言わず
いきなり私のそろばんを奪った。

そして、そのそろばんを
私の頭に思い切り振り下ろしてきた。

ガツーン!!!!

それは、
目から星が出てきそうなほどの
大きな衝撃だった。

私は殴られた瞬間の後からは
ブラックアウトしたかのように
何の記憶も残っていない。

ただ、その殴りつけられた瞬間に
「私はバカだ」「私はできが悪い人間だ」
そうこの体と深い脳裏に
深く深く刻みつけられたかのようだった。

殴られた後のそろばんの板は、
見事なまでにヒビが入り、
床に転がっていた…。

その後も、そろばんを見るたびに
あの場面が思い出され、
そろばんを見るのが嫌で嫌でたまらなかった。

それなのに昔、
父の兄弟がそろばん教室を開いていた
いうだけの理由で、興味も関心もない
そろばん教室に無理やり通わされることも
嫌で嫌で仕方なかった。

(つづく)

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