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民間通貨は法定通貨を駆逐できるか
この記事は最近書いた経済理論論文の要約です。(論文のリンクはこちら。https://doi.org/10.1007/s42973-020-00054-8 )この論文では貨幣流通についての新しい理論を提示し…
民間通貨は法定通貨を駆逐できるか
この記事は最近書いた経済理論論文の要約です。(論文のリンクはこちら。https://doi.org/10.1007/s42973-020-00054-8 )この論文では貨幣流通についての新しい理論を提示しています。標題の疑問について、この理論から導かれる予想を書きたいと思います。
伝統的な貨幣理論論文の説明の前に、経済学における伝統的な貨幣理論の説明から始めます。経済学の教科書では、通常、以下の
日銀が国債を買うと政府の借金はなくなるか
なくなるという意見が結構あって、だから政府がどんどん財政支出をすればいいという人がけっこう多い印象です。今回の新コロナウイルス危機で一律の数十万円の給付や休業補償を主張する人などにもいますね。
政府が民間銀行に国債を売って資金調達し、財政支出をした場合には、以下のような債権債務関係が発生します。(矢印は貸し手の権利の向きです。)
日銀が民間銀行から国債を買った場合は、次のようになります。
ど
現金給付の財源は誰が負担するべきかを考えよう
国債は返さなくても大丈夫だから国債で、という人は多いですが、将来税金で返す場合でも、インフレで国債の実質的な価値を目減りさせる場合でも、富裕層は節税や資産運用の選択肢が多いので、逃げることが可能です。そうすると、結局、今新コロナ危機で困っている人も含めた普通の低・中所得の人が、消費税なり実質預金残高の目減りなりで国債の実質的な返済の中心的な役割を担うことになります。
国債を大規模に発行してもイン
電子マネーに相互運用性(異なるアプリ間での送金機能)は必要か
上記の記事の様に、専門家や決済関連企業の方々の意見をみると、異なるアプリ間でも送金できるようにして、電子マネーを現金と同じ感覚で使えるようにするのが重要だとする意見が多い印象です。
確かに例えば、スウェーデンのSwishは無料で個人間送金できるアプリとして普及しました。
しかし、個人間送金が自由にできてしまうと、暗号通貨や振り込め詐欺で生じているように、電子マネーを意図しない形で他人に送金され
現金給付を政府からの出資と考えてみる。
社会全体からの視点でみると、新コロナウイルスにより仕事がなくなってしまった事業者とその従業員については、単に既存の生産体制を維持しながら休んでもらうよりは、空いた時間で人的資本の蓄積(簡単に思いつくのは語学・データ分析・プログラミング言語の知識など)をしてもらった方が、社会全体の生産性が上がるので望ましいです。
その場合、人的資本の蓄積は、将来の所得増につながるので、休業中の事業者の支出について
政府はイベント自粛の損失補償をするべきか?
SNSを見ると、政府が損失補償をした上で大規模イベントの休止を求めていくべきだと言う意見が多いですが、すでに危機状態にある政府財政に負担がかかりすぎ、また、政府が補償するイベントの範囲の線引きが難しくなる問題があります。
一方、政府の要請に従うと事業者が損失を負わなければならない場合、確かにイベント休止を強制はできません。
損失補償を論じる前に、今年の東京マラソンでみられたように、イベントを休