決済と本人確認のゲートウェイ

銀行振込を含む電子決済サービスには本人確認が必須です。本人確認を一回どこかの企業としてしまえば、他の企業との取引にも流用できるとするのが理想的なので、そう考えると、「これからの決済サービスの担い手は誰になるのか」という質問は、「誰が本人確認のゲートウェイになるのか」、と同じ質問になっていくように思います。

本人確認という視点でみると、フェイスブックは個人情報の保護についてはいまのところ社会的な信頼を得ておらず、リブラも本人確認というスタート地点からサービスを設計しているようにはみえません。

本人確認にはコンプライアンスの文化が必要で、また顧客と物理的な接点も必要であり続けると思うので、その意味ではベンチャー企業よりも、銀行のような伝統的な企業が今後も強みを持つと思います。

日本で言えば、マイナンバーを銀行に預けて、支払元には銀行に自分のマイナンバーを照会してもらうと便利だというような話です。携帯電話を買う際も本人確認が必要なので、携帯電話会社が銀行に成り代わって本人確認と決済サービスを提供してもよいかもしれません。

コンプライアンスを強調しすぎると、イノベーションの文化が消えてしまうので、相反する二つの文化を共存させることに成功した企業が今後の決済サービスの担い手になると思います。