これからのお金の形:マイナンバーとオンラインの「住所」

10万円の一律給付のオンライン申請が一部の地域で取りやめになりました。自治体の役所からすると、住民票に登録されている住所に紙の申請書を郵送した方が、重複申請が防げるからです。

この話は、クレジットカードや銀行・証券口座を開くときも同じで、現在は、住所の記載のある免許証などのコピーを送って、その住所にサービス利用のためのカードやパスワードを郵送することで、本人確認を行っています。

このように今の日本では、お金にまつわる様々な本人確認を住所をつかって行っているのですが、郵送は物理的な作業なので、どうしても人の手間がかかります。

また、今回の一律給付もそうですが、住居のない人への政府からの社会保障給付がしにくくなる問題もあります。お金がなくなると、住居も失ってしまいますが、そういう人の本人確認をしにくいために、再起に必要なつなぎのお金の給付もしにくくなります。(生活保護の不正受給をする人は住居は持っているはずなので、本当に住居がない人へは逆に支給しやすいはずです。)

今回の一律給付のオンライン申請の混乱を受けて、銀行口座にマイナンバーを登録するための法案が検討されています。

これが実現すると、マイナンバーさえ持っていれば、登録の銀行口座で政府からの給付を受けとれることになります。銀行口座とマイナンバーの紐づけが進めば、住居がない人もマイナンバーカードの保有をもって本人確認をできるので、住所の代わりとして使われるようになるかもしれません。

この場合、マイナンバー(に紐づけられた銀行口座)が経済活動のためのオンラインの「住所」になります。今後は、その「住所」へのマイナポータル以外のアクセスサービスを巡って、民間事業者(上のニュースでは銀行)が競争することになるかもしれません。

オンラインの「住所」としては、中銀デジタル通貨もマイナンバーに似た機能を持ち得ますが、そちらについてご興味があれば、以下の記事をご覧いただければ幸いです。

今後のお金の形がどうなるかを考える際には、本人確認の新しいやり方が登場するかどうかに注目するとよいと思います。