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生きづらさとか。

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今の私を支えているもの

今の私を支えているもの

 気がつくと私は笑わなくなっていた。

 昔はテレビが大好きだった。寝るときも友達と遊ぶときも全てテレビが中心にあった。そんなテレビが私から遠ざかる。鬼ごっこやかくれんぼをやらなくなるように私はテレビから自然に離れていった。
 あれだけ好きだったテレビを見ても笑えない。CMで伸ばしに伸ばして、次週〇〇と期待を弄ばれた。後から足したような笑い声に無理やりこちらの感情をコントロールされている気がした。

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「明けましておめでとう」が詰まる

「明けましておめでとう」が詰まる

 「明けましておめでとうございます」

 年が明けると否が応でも聞こえてくる挨拶。私はその一言を自然に発せられない。それだけじゃない。仕事納めのときもそうだった。「良いお年を」が言いだしにくくて同僚がみんな帰るまで残業をした。

 思い返すと「誕生日おめでとう」の一言もそうだった。頭の中では浮かんでいる「ありがとう」「ごめんなさい」だって簡単には言えなかった。

 冒頭の一言に戻ると、年が明けるこ

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トイレで心の安定を。

トイレで心の安定を。

 私にとってトイレは排泄物を吐き出すだけの場所じゃない。

 仕事中に上司からきついことを言われたとき、お客さんから理不尽なクレームを受けたとき、同僚のやり残した仕事が回ってきたとき、推しのアイドルが卒業を発表したとき、ミスをしたとき、抱えきれない業務を抱えて涙がこぼれそうになったとき。

 私はトイレに駆け込む。1mと少しの空間で私は心を落ち着かせる。自分の心の声に耳を傾けて、感情と向き合う。

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HSPを自覚する一番古い記憶

HSPを自覚する一番古い記憶

パトカーのサイレンを聞くたびに思い出すことがある。

 あれは確か保育園生くらいだったと思う。祖母の家で親戚と食事をしていた。遠くから聞こえてくるサイレンの音。次第に音は近づいてきた。

 親戚の1人がこういった。「◯◯(わたし)を捕まえにきたよ」と。当時のわたしはパニックになった。幼いながらの必死の抵抗でテーブルの下に身を隠す。呼吸でバレてしまわないようにと息も潜める。ピーポーパーポー。サイレ

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理由が知りたい。

理由が知りたい。

 職場の同期が退職することになって送別会があった。みんな同じことを聞いていた。なぜ辞めるのか。と。

 人が何かを辞めるとき、その理由を知りたくなる。誰かと仲違いしたのか。家族の事情。色々あるだろう。でもそんなことはどうでもいい。辞めた理由は過去に過ぎない。その後の未来の話がしたい。

 同じ質問を何度もされる。もちろん幸せなことだったらそれはいいのかもしれない。でも物事の引き際には必ずしも幸せが

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ご機嫌斜めなときには。

ご機嫌斜めなときには。

 大人になったら自分の機嫌は自分でとらないといけない。

 子どもの頃は周りの大人が私のために動いてくれた。行きたいところに連れてってくれたり、食べたいものを買ってくれたり、誕生日にはお祝いをしてくれた。いつも誰かが自分のご機嫌をとってくれた。

 むしろ子どもには自分のご機嫌を自分でとる方法があまりにも少ないのかもしれない。お金があるわけでもないし、ひとりで好きなところに行けるわけでもない。だか

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現状維持人間

現状維持人間

 1年半通った美容室を変えた。アパートを改装して、席も2席しかない隠れ家的なお店。美容師さんもお店の雰囲気も良くてできることなら一生ここに通いたいと思うくらいだった。

 半年前、お店から電話がかかってきた。予約を取るときにこちらから連絡することはあってもお店からかかってくることはない。嫌なことがよぎる。案の定、お店を閉めることになったという悲しいお知らせだった。最後の予約をとってお気に入りの美容

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もう頑張らない

もう頑張らない

 「死ぬ気で頑張れ」と誰かに言われた。

 学生時代の私はその言葉通り、睡眠時間を削って死ぬ気で頑張った。あのときにそうしたからこそ、今の自分があって、今の生活があることは間違いない。

 だけど社会人になって「死ぬ気で頑張る」ことはやめた。与えられた仕事には全力で取り組むし責任を持ってやり遂げる。だけどそこに命をかける必要はないんじゃないか。そう思う。

 所詮私は会社のほんの一部でしかない。今

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中学生の私へ。 〜過去を肯定できるその日まで〜

中学生の私へ。 〜過去を肯定できるその日まで〜

中学生の私へ。

 これからあなたの中学時代の黒歴史を成仏する意味も込めてここに残そうと思うよ。

 中学生のあなたは顔にニキビができたことをきっかけに人と接することに苦手意識を持つ。人と会話をすると自分のそれがみられているような気がして目を合わせて会話ができなかったね。

 小学校の頃、仲の良かった友達とも疎遠となっていき、中学3年の夏休みは部活以外、外に出る機会はなかったよね。

 ゲーム

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真面目だねって言わないで

真面目だねって言わないで

 小学校の頃から周りの友達からお前は真面目だな。そんなことを言われてきた。でも真面目に、いや真面目なフリをしているのには理由がある。

 昔から人から怒られるのがしんどかった。自分が怒られているわけでもないのに、誰かが怒られているのを見ると心臓のドキドキが止まらなかった。普通の人と比べて怒られることへの耐性が低いみたい。

 だからできるだけ怒られないように、先生や周りの大人から目をつけられないよ

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いろんな顔を持つと言うこと

いろんな顔を持つと言うこと

 小学校、中学校、高校、大学、社会人。ライフステージが変わるごとに付き合う人も変化していく。現在進行形で社会人というライフステージにいるんだけども、一部の人を除いて大学以前の同級生に会うのがしんどい。

 今でも鮮明に覚えている出来事がある。それは高校のとき、文化祭か何かでクラスの出し物としてダンスをやることになった。高校時代といえば部活と勉強だけに集中すると言い聞かせていた私は、それ以外のことに

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ずっと心に残っていること

ずっと心に残っていること

 友人Aとインターンシップのために上京したときの話。

 インターンシップとは言っても名ばかりで会社の見学を半日してから残りは観光したからほぼ旅行だった。見学が終わって会社の偉いさんと飲み会に行くことになった。Aは年上、特に役職のあるような人になぜか気に入られることが多かった。お酒に強くて酒好きのおじさま達は、その飲みっぷりに感心する。

 でもその日はいつも以上に飲んでいた。だから私はほどほどに

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孤独と思い込んでいたけど、実は孤立していた話。

孤独と思い込んでいたけど、実は孤立していた話。

 「ういんたぁ〜す」。さまぁ〜ずのYouTubeチャンネルでお2人とふかわりょうさんがコラボして「夏も冬も」という曲を出した。そのなかでふかわさんのフレーズにこんな言葉があった。

孤独じゃないです。孤立です。

 これを聴いた瞬間にそれ以後の歌詞が全く頭に入ってこなくなった。薄々気づいてはいたけど、言語化しないようにしていた言葉だった。今の私を表す最適な言葉。

 中学校の頃から自分が周りから浮

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敢えて、世の中を知らないでいること

 枕元に置いていたスマホが目覚めの時間を知らせる。目覚ましを消すのと同時にTwitterを開く。なんだか気分が落ち込んだまま仕事に向かうのが習慣化していた。

 坂道グループの誰かがトレンドに上がるたびに卒業かスキャンダルかとヒヤヒヤする。今、一番日本で偉いとされている人が叩かれている。地震が起きてそれを心配する声がある。スポーツ選手が活躍してそれを祝福している。

 良いことも悪いことも世の中で

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