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高井宏章 雑文帳

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徒然なるままに。案外、ええ事書いてます
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2020年9月の記事一覧

「勉強のやり方」を知らない子どもたちに 『東大式節約勉強法』

「勉強のやり方」を知らない子どもたちに 『東大式節約勉強法』

私事で恐縮だが、著者の布施川天馬さんと私は、年は二回り以上離れているものの、境遇が少し似ている。

家庭が貧しく、塾や予備校に通うお金もなく、かといって自宅で学習する習慣もなく、働きながら大学受験に臨み、地理的・金銭的な制約で「地元の国立大学」に入った。

私は現役で名古屋大学、布施川さんは一浪で東大と「着地」は違っているが、似たようなコースだ。

『東大式節約勉強法』扶桑社 布施川天馬/著

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タペストリーのような大風呂敷 『三体2 黒暗森林』

タペストリーのような大風呂敷 『三体2 黒暗森林』

翻訳モノには、独特のマゾヒズム的な楽しみ方がある。

もう「新刊」は出ている。
でも、読めない。
ギリギリ行ける英語でも大作は躊躇する。
原書を読んだ人たちから「傑作」といった評が耳に入ってくる。
ジリジリしながら、訳を待つ生殺しに耐える日々。

『三体』3部作にそんな思いを抱く方は多かろう。

『三体II 黒暗森林』早川書房
劉慈欣/著 大森望、立原透耶、上原かおり、泊功/翻訳

私もこれほど「

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下町動物園は、やっぱりカオス

下町動物園は、やっぱりカオス

下町がカオスな緑の楽園なのは皆さん、もうご存知の通りである。

オアシスは、動物の憩いの場でもある。
錦糸町、押上あたりを散策する下町写真集シリーズ第3弾は動物園。
第1弾の昭和な街並みはこちら。

お供はこの子です。今回はほとんど単焦点の方で撮りました。

では、ゆるりと。

タヌキのご用心皇居まで地下鉄で20分というロケーションなのに、下町にはたくさんタヌキがいる。

日本全国津々浦々にいるの

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Wikipediaの寄付圧を「タダ」でかわした小さな奇跡の連携プレー

Wikipediaの寄付圧を「タダ」でかわした小さな奇跡の連携プレー

みなさん、きょうもWikipedia、使ってますか?
私は「本業では使わないが、noteでは使いまくる」派です。
そうすると、出ますよね、最近、また、アレが。

これ。
鋼の意思で無視してスクロールダウンすると。

スクロール先に、

「スクロールせずにご覧ください。」

って、「貴様を見てるぞ」という威圧感。
もうね、21世紀の日本は自宅PCのスクロールまで筒抜けな監視社会なワケですよ。

「う

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下町は、ちょっとカオスな緑のオアシス

下町は、ちょっとカオスな緑のオアシス

最近よく、錦糸町から押上、曳舟あたりをカメラ片手にお散歩している。

お楽しみのひとつは、「小さな緑」をみつけることだ。

公園や並木などの「パブリックな緑」ではなく、個人宅やお店の前に並ぶ鉢植えなどの「プライベートな緑」が味わい深い。
「街歩きwith一眼レフ」シリーズ第2弾は、ちょっとカオスな下町の緑をご紹介します。第1弾はこちら。

お供はいつものこの子、Nikon D3300です。

醍醐

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「すべての男」が読むべき傑作 『ザリガニの鳴くところ』

「すべての男」が読むべき傑作 『ザリガニの鳴くところ』

「2019年アメリカで一番売れた本」
「全米500万部突破」

そんなパワーワードが踊る帯には強力な布陣で、

「とにかく、黙って、読め」

と言わんばかりの推薦の言葉が並ぶ。

『ザリガニの鳴くところ』早川書房
ディーリア・オーエンズ/著 友廣純/翻訳

この上に私が贅言を重ねても意味がなさそうなので、個人的な体験を少々ご紹介する。

私が本書を購入したのは、文学YouTuberのベルさんのこの

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