「中世哲学入門」 神学者や医学者、政治家になるにはアリストテレスの知識は不可欠で、それを学ぶためにイスラームの思想家を学習する必要があった。特にアリストテレスの論理学(オルガノン)は万人にとって必須のツールで、これを使いこなせなければ生きていけないほどの基本的リテラシーであった。
アリストテレスに関するイスラム思想家たちの中では イブン・シーナー(アヴィセンナ)のものはアリストテレスの著作を章ごとに要約したものもありわかりやすい。またイブン・ルシュド(アヴェロエス)のものは、一語一語にまで註釈を施しており、正確で厳密な理解が得られるものとして重宝された。
山内志朗『天使の記号学』(岩波現代文庫) 私が知りたいのは、〈私〉と〈存在〉の関係なのだ。それは、いわば「超越的内在」というあり方を基本にし、だからこそ忘却されることによってしか、自らを示さないということがあるのではないだろうか。――p.238