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9月後半、充実したゲンロンカフェのイベントをまとめてお届け!

こんにちは!ゲンロンのアルバイトスタッフの青山俊之です。ただ今、ゲンロン友の会12期から13期への移行期間中です。昨今、この「ゲンロンの楽屋から」も含め宣伝が多くなってしまっていますが、ゲンロンではコンテンツ制作に向けた新たな準備を始めています!

8月某日、出勤スタッフ一同でのゲンロンカフェの企画会議の様子

例えば、これまでゲンロンカフェの企画会議には一部の担当スタッフが会議に参加してその内容を決めていましたが、ひと月に一度、出勤スタッフ総出での企画会議を8月から始めました。そのほかにも、新しい「ゲンロン」文化を打ち出す企画が水面下で進められています。乞うご期待!

さて、とはいえ9月後半のゲンロンカフェも充実したイベントが集まっています。今月は東浩紀の4カ月ぶりとなる通常イベントの登壇・その一部をYouTubeで無料サイマル放送、話題の『中国における技術への問い』刊行記念イベントと、後半も注目のイベントがもりだくさん!好奇心と思考をゆさぶるイベントをまとめて紹介しましょう!

9月後半のゲンロンカフェ

9月16日 (水) 19:00 - 21:30(配信のみ)
稲垣諭 × 戸谷洋志 × 吉川浩満
システムの暴力と生の哲学──アーレント、村上春樹、アウシュヴィッツ

※ 本イベントはインターネット配信のみ(会場は無観客)となります。シラス・ニコニコ生放送のゲンロン完全中継チャンネルからご覧ください。

本イベントは、東洋大学教授の稲垣諭さん、関西外国語大学准教授の戸谷洋志さん、文筆家の吉川浩満さんによるトークイベントです。イベントの企画の背景として、今年の春、稲垣さんは『絶滅へようこそ──「終わり」からはじめる哲学入門』(晶文社)を、戸谷さんは『スマートな悪──技術と暴力について』(講談社)をそれぞれ同時期に刊行したことがありました。

『絶滅へようこそ』は、人類が「絶滅」した億年単位の宇宙の遠い先を想像するなど、途方もなく視野を拡張するところから、いまと未来をどう生きるかの哲学を探究します。『スマートな悪』は、テクノロジーが発達し、私たちの生活が便利で「スマート」になることの倫理的な問題について考察を広げます。

両書に共通するのは、官僚的なシステムの暴力を回避し、抵抗するための思索です。官僚的なシステムがもたらした最悪な出来事として、アウシュヴィッツ強制収容所のユダヤ人大量虐殺が挙げられます。しかし私たちは、官僚的な組織のあり方を真っ向から否定し、共同体のいかなるシステムにも属さずに孤立して生きていくことはできません。

ではどうすればいいのか。両書は、それぞれの道筋で官僚的なシステムによって成り立つ世界において、私たちがより良く生きていくためのあり方を追求していきます。

そのほかにも、技術に対する問いかけなど、さまざまにテーマがクロスする両書。『理不尽な進化』『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』などで進化や絶滅、諸科学の技術の発展を取り上げながら哲学的な考察をしてきた吉川さんの司会進行のもと、気鋭の哲学者おふたりにたっぷりと議論を展開していただきます。どうぞご期待ください。

9月20日 (火) 19:00 - 21:30
さやわか × 東浩紀
いまこそ振り返るゼロ年代——安倍的なものと2ちゃんねる的なものの行方

安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、KADOKAWAの幹部が五輪汚職で逮捕された2022年夏。時代が大きな節目を迎えています。そんな今こそ、9.11に始まり東日本大震災に終わった、あの「ゼロ年代」の空気をもういちど検証するのが本イベント「いまこそ振り返るゼロ年代——安倍的なものと2ちゃんねる的なものの行方」です。日本社会におけるゼロ年代は、小泉内閣で構造改革が進み、ニコニコ動画が生まれた時代。それは政治も文化もすべてが「記号のゲーム」に還元されていく時代でした。そしてそれは今も続いています。

小泉内閣のワンフレーズ政治は安倍長期政権を用意し、ニコニコ動画は2ちゃんねる的感性を社会全体に押し広げました。2022年の今、わたしたちは、安倍的なものと2ちゃんねる的なものがリアルでもネットでも圧倒的に支配的になった時代に生きています。

2011年の震災で日本は変わったと言われました。少なくとも、変わると期待されてきました。けれども蓋を開ければ、わたしたちはいまだに記号の時代を生きています。そんな時代はこれからも続いていくのでしょうか。ゼロ年代のカルチャーをタイムラインでふり返り、その功罪を検証しながら、記号の時代を脱出するヒントをゼロ年代を駆け抜けた批評家のさわやかさんと東浩紀が探ります。

東浩紀がどなたでもお越しいただけるゲンロンカフェでのイベントに登壇するのはじつに4カ月ぶり。そして、突発放送などを除き、さやわかさんと2人の座組でのイベント、というのは実は初めてなのではないかという歴史的な日!会場も増席していますが残り僅か。絶対に見逃すな!

そして、本番組は冒頭の無料放送部分をゲンロンのYouTubeチャンネルでサイマル放送する予定です。どんな雰囲気なのか知りたい!という方はまずはこちらの放送をご覧ください。

9月21日 (水) 19:00 - 21:30
司会 = 斎藤哲也  戸田山和久 × 山内志朗
だれでも使える論文入門──書くことでひらく知の世界

「卒業論文なんてなんで書かなきゃいけないんだろう…?」

大学に入るのはいい、専門的に学んでみたいことはあるし、就職するのだって大学を出ていた方が有利だ、それになにより大学生には「自由な時間」がある!卒業に必要な大学講義の単位を取り終わるのに、なぜ卒論なんか……

同じとは言わなくとも、他人の似たようなぼやきを聞いたり、自分がそんな思いを抱いたりした人は多いのではないでしょうか?一方で、「大人」として社会に出て仕事をしながら、あらためて「大学で学ぶことの意味」を振り返る人もいることでしょう。本イベント、「だれでも使える論文入門──書くことでひらく知の世界」は、「論文を書く」ことでひらかれる「知」について、名古屋大学大学院教授の戸田山和久さん、慶應義塾大学教授の山内志朗さんを迎えた対談を実施します!さらに司会に編集者・ライターの斎藤哲也さんに加わっていただきます。

司会の斎藤さんいわく、山内さんと戸田山さんは「論文の書き方」本の二大巨頭です。というのも、戸田山さんの『論文の教室』(NHKブックス、初版:2002年)と山内さんの『ぎりぎり合格への論文マニュアル』(平凡社新書、初版:2001年)はいずれもロングセラーの論文指南書。ゲンロンにもこの2冊にお世話になった!というスタッフもいます。
とはいえ、これらは必ずしも硬派な指南書ではありません。共通するのは、論文執筆法であるにもかかわらず「笑える本」であり、かつ小さな段階を少しずつ登りながら論文に入門することができる「ハードルの低さ」です。さらに、斎藤さんはこうも紹介しています。

どちらの本も、ダメ論文を熟知しているお二人だからこそ書けたもの。イベントでもきっと「ダメ論文」トークに花が咲くことでしょう。

斎藤哲也さんからのメッセージ | ゲンロンカフェ

「お手本」からではなく、「ダメ」から学ぶことは数多くあります。それは論文も同じ。「正しさ」ばかりではなく、「間違い」から得た経験や学びが山内さんと戸田山さんからどのように語られるのか。そんな掛け合いが、どんな「知の世界」を見せてくれるのか。きっと、広く知に関心のある方にお楽しみいただけるイベントになるはずです。ご来場、ご視聴をお待ちしております!

9月22日 (木) 19:00 - 21:30
石田英敬 × 原島大輔 × 伊勢康平
宇宙技芸の世紀にむけて──ユク・ホイ『中国における技術への問い』刊行記念

8月30日、香港の哲学者ユク・ホイさんの主著『中国における技術への問い──宇宙技芸試論』(伊勢康平訳)の邦訳がゲンロンから刊行されたことを記念したのが本イベントです。かつて西洋を中心に発達した機械技術は今や、ITをはじめとした高度情報技術産業によってグローバルに広がっています。本書では、「技術」をめぐる歴史や地域的関係性に着目し、技術の多様性を「宇宙技芸」としてその多様なあり方を哲学的に考察するものです。

本書の刊行を記念して、東京大学名誉教授の石田英敬さん、今年2月に青土社より邦訳が刊行されたホイさんの『再帰性と偶然性』の訳者である原島大輔さん、そして本書の翻訳を手がけたゲンロンのスタッフでもある伊勢康平によるトークイベントを開催します。

かねてよりホイさんと親交を深め、その仕事を日本で紹介してきた石田さんは「いつか世紀はユク的になるだろう──Un jour le siècle sera yukien!」と語ります。ホイさんの哲学が切り開くあらたな「世紀」は、一体どんな姿をしているのか?宇宙技芸の概念は、技術や哲学、ひいては世界をどのように変えうるのでしょうか?好奇心旺盛なみなさまの参加をお待ちしております!

◆ note「ゲンロンの楽屋から」にて、伊勢康平が『中国における技術への問い』について解説しています。ぜひご覧ください!

また、編集担当の横山が聞き手となっての突発放送もおこなっています!

◆ 2022年5月26日におこなわれた、シラスチャンネル「石田英敬の『現代思想の教室』」の放送「No7「ユク・ホイと『現代思想』を語る」のアーカイブはこちら。石田英敬さん、原島大輔さん、伊勢康平と東浩紀が登壇したトークです。

9月22日のイベント来場チケットの購入はこちら。ご来場、お待ちしています!

9月26日 (月) 19:00 - 21:30
辻田真佐憲 × 西田亮介
「安倍晋三」とはなにものだったのか──国葬前日にふり返る足跡と功罪【メディア戦略から政治を読む #7】

近現代史研究者の辻田真佐憲さんと社会学者の西田亮介さんの連続トークシリーズ「メディア戦略から政治を読む」、第7回目として実施するのが本イベント「「安倍晋三」とはなにものだったのか──国葬前日にふり返る足跡と功罪」です。お二人は、メディアと政治の関係について議論を重ね、安倍長期政権を分析してきました。

2018年の第1弾「なぜ自民党だけがうまくいくのか?」では、戦前からの情報戦略のあり方を見通しながら、安倍(当時)首相と昭恵夫人のメディア発信について考察。2020年の首相電撃退任直後に行われた第5弾「安倍政権の過去と現在、日本のこれから」では、森友・加計問題、「桜を見る会」問題、公文書の改竄など度重なる不祥事にも関わらず崩れなかった「安倍1強」の理由、政治広報やSNSとのかかわり合いを徹底検証しました。第5弾までの議論は『新プロパガンダ論』として2021年にゲンロンから書籍化されています。本イベントの開催にあたり、最終章「安倍政権とはなんだったのか」の一部を無料で公開しています。

安倍政権とはなんだったのか──『新プロパガンダ論』より|辻田真佐憲+西田亮介

暗殺と国葬の話題が取りざたされるいま、安倍元首相の政治姿勢について語られる機会はかえって減っているのではないでしょうか。一方で、SNSを主戦場とした政治論争は変わらず行われています。政権を冷静に振り返り、現在の政治状況を距離を保って考えるうえで示唆に富んだ対談です。

この対談から2年。安倍晋三という政治家は日本社会に何をもたらしてきたのでしょうか。国葬前日というタイミングに、安倍長期政権の功罪、SNSを中心としたメディア戦略、連日報道が続く統一教会との関係などを振り返り、彼がなにものだったのかを考えます。お見逃しなく!


ゲンロン友の会&ゲンロン完全中継チャンネルのサービス拡充中!

現在、ゲンロンでは、ゲンロンを支援する人々の会であり、ゲンロンのサービスをお得に得られる「ゲンロン友の会」への参加を大募集中です!というのも、友の会は一年に一回の更新を行う会員制で、現在は12期から13期への移行期間中となっています。12期は9月末、13期は10月からスタート!友の会に入会すると、ゲンロンから刊行する書籍やさまざまな入会特典を得られます。

特に現在は、12期と13期のサービスをまとめて得られる割引入会セットを提供しています!具体的には、通常購入で31,570円相当のものが18,700円となり、さらに非売品でゲンロンゆかりの方々からのメッセージ入り手ぬぐい東浩紀サイン入りの雑誌『ゲンロン13』(10月刊行予定)が手に入ります。

「ゲンロン友の会」に関する詳細は下記の記事にまとめられています。詳しくはこちらの記事でぜひご確認ください。

さらに今なら、10月末刊行予定の『ゲンロン13』に掲載する記事をWebゲンロン上で先読みもできるほか、さまざまなキャンペーンも実施中!

年明けに実施予定の年に一度のお祭りである「ゲンロン総会」も友の会の会員の皆様限定の企画です。12期から13期へと移行するこの機会にぜひ友の会への加入をご検討ください!

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