マガジンのカバー画像

ハッピーソング 詩のようなもの (計72作品)

71
PV順 掲載
運営しているクリエイター

記事一覧

寝癖(ねぐせ)の学生

寝癖(ねぐせ)の学生

寝癖の学生が、電車に乗り込んできた。

逆立った髪の毛が、なぜだか、美しくみえた。

いつか、寝癖のまま、電車に乗ってみたいと、おもった。

ネコ社会

ネコ社会

先日、近所のノラ猫が、うちの玄関ドアに、小便をしていた。 

昨日、見知らぬノラ猫2匹が、うちの室外機の上と、玄関先で、昼寝をしていた。

今朝、首輪のついた三毛猫が、 『 ニャ〜、ニャ〜 』と鳴きながら、家の前を横切っていった。

昼、白と黒のまだらのノラ猫が、うちの塀によじ登って、私を威嚇し始めた。

家(うち)のまわりは、知らないうちに、"ネコ社会" に変わったのかもしれない。

看板を背負った人

看板を背負った人

世の中には、いろんな看板を、背負った人がいる。

家族の大黒柱という看板を、背負ったお父さん。
役職という看板を、背負ったサラリーマン。
安全第一という看板を、背負った工事現場の監督。
スターの看板を、背負った役者。

背負うべき看板が、見あたらない私には、看板を背負った人の人生が、格好良くみえてしまう。

ただ、そんな私でも、『人様には、迷惑をかけない人間です』という看板は、背負って生きようと、

もっとみる

あるサラリーマンのつぶやき

言いたいことが、言えない職場と

言いたいことが、なんでも言える自宅を

行ったり来たりする生活を、もう何年も続けています。

カゲロウ

カゲロウ

窓の隙間から、カゲロウが、飛びこんできた。
照明のまわりを、グルグル飛びまわったあと、『パタッ』と、テーブルの上に落ちた。

照明に照らされたカゲロウは、薄い緑色の透き通った羽と、細い針のような尻尾(しっぽ)や、触角をもち、美しく繊細だった。

なんの警戒心もみせない、この生命体が、愛おしくおもえてきた。
そっと指でつまんで、部屋の外へ逃がした。
カゲロウは、真っ暗な夜の中へ、『ヒラヒラ』と、飛ん

もっとみる
日曜日の夜

日曜日の夜

子供の頃、日曜日の夜になると、よく、学校を、休む理由を考えていた。

大人になって、日曜日の夜になると、会社を、休む理由を考えたりする。

日曜日の夜になると、僕は、憂鬱(ゆううつ)になる。

緑の丘の夢

緑の丘には、大きな樹がありました。

その樹の下で、よくお友達と、おしゃべりしたり、歌を歌ったり、お弁当を食べたりしていました。

今、緑の丘の、大きな切り株をみると、たくさんの葉っぱをつけた樹の下で、お友達と語り合った夢が、頭の中によみがえります。

気の毒な犬

気の毒な犬

公園で出会った おばさんは、自分の子どもにでも話しかけるように、飼い犬に話をしていました。
その犬は、ちょっと困ったような表情で、おばさんの顔を見ては、時々うなだれた様子でした。
その犬が、いつも人間のおばさんの話を聞かされていると想うと、気の毒に感じました。

ポンコツ人間

ポンコツ人間

朝寒くて、ベッドから起き上がるのに、時間がかかりました。

会社で、同僚と話をしても、話題についていけませんでした。

お昼ごはんを食べても、美味しく感じませんでした。

なんだか、ムシャクシャして、一日中、自分の気持ちが、落ちつきませんでした。

僕は、会社の帰り道、僕自身に、『ポンコツ人間!』と、つぶやきました。

デジャビュ 【déjà vu】

はじめて通った道なのに、なぜか、懐かしさを感じた。

歩いているうちに、誰かとお別れした情景が、映画のシーンのように、スッーと、頭の中に浮んできた。

その光景を、何度も、思い返してみたのに、いつのことだったか、思い出せない。

もしかしたら、生まれる前から、私の命が、覚えていた記憶だったのかもしれない。

ストリートビュー のおばさん

ストリートビュー のおばさん

おばさんは、ショーケースの前で、並べられた携帯電話をずっと眺ていた。
しばらくすると、ある携帯電話を指差しながら、
「あれ、知り合いが持っていたのと同じだわぁ」
「あの携帯を使えば、昔、私が住んでいた家や、街を見ることができますよね」と、店員に尋ねていた。

店員は、おばさんの言ってることが、最初はよくわからない様子だったが、しばらくすると、携帯アプリの、ストリートビュー検索のことを聞いているのだ

もっとみる
よしこさんのポートレート写真

よしこさんのポートレート写真

私の家には 、不自然に腕を組み、悲しそうな微笑みを浮かべる、若い女性の写真がある。

写真の裏書きには、よしこ 19才 と書いてあるので、彼女の名前は、よしこさんのはずだ。

よしこさんは、遠い親戚の人で、その写真を撮った数日後に、病気で亡くなった話を、聞いたことはあるが、詳しいことはわからない。

たまに、その写真のことを思い出すと、よしこさんの悲しそうな微笑みと、 

"命短し 恋せよ乙女、 

もっとみる
ある青年

ある青年

  電車の座席の上で、足を伸ばして、仰向けで寝ている青年を見かけた。
その青年は、作業着のような服を着ていて、死体のように寝入っていた。
たくさんの人たちが、電車に乗り込んできても、眠り続けていた。

電車が、ある駅に到着すると、ホームにいた駅員さんが、青年に気づき、彼を起こそうと、声をかけながら、体を揺すっていた。

すると、彼は、体を起こしながら、『キョロ、キョロ』と、まわりを見つめ、あわてた

もっとみる
出世坂

出世坂

昔、坂道の途中にある古いアパートに住んでいました。
長くて急な坂道を登らないと、アパートにたどり着けませんでした。
私は、この坂道を勝手に、出世坂  と名づけていました。 

坂を、会社の役職に見立てて、坂道の始まりを、係長と言ったり、家の近くまでたどり着くと、「専務まで、登り詰めた。もう少しで、社長だ」などと、独り言を言ったりしてました。

ただ、私のサラリーマン人生は、今でもずっと、坂道の始ま

もっとみる