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【23.03.19. 2時間走俳句】そして、一番心に来る17音

2時間走俳句

3月19日、将棋界では藤井竜王が事前収録のNHK杯を優勝し、タイトル戦以外の4つの一般棋戦を完全制覇しました。そして、この日リアルタイムで行われていた棋王戦第4局にも勝利し、タイトルを奪取して最年少六冠となりました。漫画なら原案の段階でボツになりそうですが、ところがどっこいこれは現実に起こっていることなのです。

花冷はなびえのものが色する術後かな   はる筆線屋

さて、棋王戦が佳境に入ってきたタイミングで2時間ランニングをしました。気温は20℃を超えていて「運動着1枚でも大丈夫かな?」と思って外に出てみたら日差しが強い割に風は冷たかったです。道を行けば雑草が青々としていて、これが桜の木の周りを囲えば、写真を撮った時に映えるだろうなぁと思って一句ひねりました。裏テーマは白内障手術です。

一番心に来る17音

将棋界においての藤井竜王は漫画を超越した活躍を見せていますが、競馬界でもそういった存在がいました。1800~2200mの中距離レースを得意にしていたサイレンススズカです。スタートから先頭を独走してそのままゴールする、ゲームでしか実現しない夢のような勝ち方ができるレーススタイルで連勝を伸ばし続けました。中でも1998年金鯱賞の圧勝劇は一度見ると忘れられません。

残念ながら、史実ではサイレンススズカは7連勝をかけたレース中に左前脚(手根骨)を粉砕骨折し、連勝の続きを最後まで見せぬまま安楽死で旅立ってしまいます。体の大きい馬の骨折は、人の骨折とはわけが違います。馬は足が血液の循環を補助する心臓の役目も担っているため、これが上手く機能しなくなるほどの骨折をすると命が尽きるまで延々と苦しみ続けることになるのです。一説では、その快足に耐えられる衝撃を超えてしまったからだと言われていますが、粉砕骨折の原因は今でもはっきりしていません。

こんなことがあった翌年の7月、サイレンススズカが優勝した唯一のGI、グランプリ「宝塚記念」の発走前に杉本アナは優勝に期待を寄せる馬を「夢」と形容してこのように実況しました。

(実況)
全国の競馬ファンの皆さん、どうでしょうか
いつまでも、そしてどこまでも先頭だった、
一年前のサイレンススズカのゴールが思い出されます
そして今年もまたあなたの、私の夢が走ります
あなたの夢はスペシャルウィークか、グラスワンダーか
私の夢はサイレンススズカです
夢叶わぬとはいえ、もう一度この舞台で、
ダービー馬やグランプリホースと走ってほしかった

俳句も含めて、この「私の夢はサイレンススズカです」が自分にとって一番心に来る17音です。他馬が真似できない夢のレーススタイル、一年前の悪夢、叶わない出走の夢、そして「もし生きていたらどこまで勝ち続け、どんな産駒(子供)をのこしたんだろう?」という夢想——。ありとあらゆる思いを夢の一単語に凝縮させた17音には、少し油断をすれば涙が出てしまいます。

2015年、歴代の名馬を集めた「夢の第11レース」でサイレンススズカの出走が叶いました。おそらく競馬に思い入れがない方でも、見れば何か感じるものがあると思います。

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