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『バイバイ、ブラックバード』 伊坂 幸太郎

『バイバイ、ブラックバード』 伊坂 幸太郎

あらすじ
星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」──これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
ふたりのなんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー 。


お人好しの5股男星野一彦と5人の女たちとの別れ話の物語。
『世にも奇妙な物語』の脚本の原作を読んでいるような小説。

本作の主人公である5股男の星野一彦は”憎めない人”であり、
行動を共にする謎の女”繭美”もまた粗暴だけど”憎めない人”。

現実の世界の5股男は、2人ほど知っているが、”なぜ?”と疑問符ばかりが浮かぶ男たち。
一人は”自称四国のお寺の跡取り”、もう一人は”自称アーティスト”だ。
どちらも”中肉中背の普通の男”で、
どちらも常時少なくとも5人以上の彼女がいた。
イケメンでもなければ、ごくごく普通の男。
道ですれ違っても、バスや電車で隣にいても印象にすら残らないようなごくごく普通の人。
そんな”普通の男”が5人以上の複数の女性たちと付き合い、女性たちから貢がれていたのだから不思議でならなかった。

考え方を変えれば、
男がモテていたのではなく、
“貢いでくれる女性たち”を見つける臭覚に優れていたのかもしれない。

そんなことを考えながら読んだ小説でした。











概要
2009年に双葉社が企画した「ゆうびん小説」の企画として執筆された。書店で配布されているフリーペーパー『LOVE書店!』10号に付いている応募券で応募した中から抽選で50名限定で1届けられた。それをまとめ、書下ろしの最終話を追加した単行本が2010年に発売された。
太宰治の未完の小説『グッド・バイ』のオマージュとして書かれた。基本設定である「何人もの女性と同時に付き合っていた男が、その関係を清算する為に、全く恋愛関係になかった女性の協力を得て一人ひとりを訪ねて歩く」を踏襲した。ちなみに繭美はキヌ子から影響を受けている。
タイトルは1926年に発表されたジャズ「Bye Bye Blackbird」を元にしている。Wikipediaより引用

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