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何度も読み返したい素敵な文章の数々vol.10

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2018年5月の記事一覧

同じ釜の飯を食う

同じ釜の飯を食う

パンと日用品の店「わざわざ」にはちょっぴり変わった賄い制度があります。それは飲食店では珍しくもない賄いというシステムを、そのまま会社に流用して、わざわざで働いている人には毎日福利厚生として昼ごはんを一食提供するというシステムです。

大きな会社になると社食というものがあって、その中で格安でご飯を食べられるということになると思いますが、わざわざでは、全て無料で全員一緒に昼ごはんを食べることを9年間続

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わざわざで働くということ

わざわざで働くということ



写真左:わたし平田、右:入社6年目ゴトウさんです。

ゴトウさんはわざわざのお客様の中で言わずと知れたわざわざの最古参のスタッフです(最古参ってもう言わないか)。勤続6年目、今はわざわざ実店舗の店長を務めてくれています。わざわざの働きかたにも書きましたが、ゴトウさんがわざわざで働き続けてくれたことが原動力になって、ゴトウさんの雇用環境をよくしたい一心で、様々な取り組みを始めたのが私の経営者とし

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仕事に行くのが億劫な人のために

仕事に行くのが億劫な人のために

月曜日。仕事の始まり、学校の始まり、なんか色々大変だなぁと暗くなる月曜日の朝。おはようございます。寝れずに日曜日の深夜に猫を撫でながら早めに書いております。

寝れないとき、何をするのかというとデスクの掃除をします。あ、僕は自宅で仕事をしているんであれですが、部屋の掃除をしてるに近いです。デスクトップとかも綺麗に整理しちゃいます。本当、月に何回かだけど、オフィスで働く人は金曜日の帰り際にちゃちゃっ

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「安心安全な場」を作りたい

「安心安全な場」を作りたい

先日、天狼院書店さんにて有賀薫さんの『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』刊行記念を兼ねた、「ごはんの話を聞かせてください」のイベントを行った。

有賀さんがこちらのレポートにも書いてくださっているように、ごはんや家事の悩みを通して、コミュニケーションの問題が浮き上がってくるように感じた2時間だった。1週間経った今、もう一度振り返ってみて特に印象深かったことをまとめてみる。

・「洗い物が嫌」と

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いくつもの道があっても、やることは1つ

いくつもの道があっても、やることは1つ

今まで「途中でやめる」ということをあまりしてこなかった。やめることが少し怖かったのかもしれない。学生時代に途中でやめた経験と言えば、3ヶ月間入っていたテニサーくらい(信じられないくらい友達が1人もできなかった)。

なので新卒で入った会社をやめたことは、かなりの肝試しだった。

考えて出した結果だし、特に後悔していることも無い。けれど半年くらい前までは、日々の中でうまくいかないことが起こると、「前

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人との関わりが、人を変える

出会いは人を変える。人との関係性によって、人は変わることができる。映画『レオン』をみて、そう強く感じた。

マチルダの可愛さはさることながら、彼女との出会いによって起こる、レオンの変化が強烈に印象に残っている。
自己を開示し、語り合い、笑い合う姿。親のような、1人の男性のような、相手を思う目の動き、態度、言動。文字を覚えようとすること。”もしものことがあったら”と、それまでよりも、未来を考えること

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微睡の中で

最近、よく思うことがある。
「あぁ、僕は前に進めていないな」と。
自分という人から漂う閉塞感みたいなものを感じるのだ。ただし前といっても何か指標があるわけじゃないし、ましてや目に見えるものでもない。

一般的に"前"というものには2種類ある。1つは客観的に良いと言われている"前"だ。お金持ちになったり、給料を上げたり、昇進したり、Twitterのフォロワーを増やしたり。世の中で善とされていること。

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「愛される」ということは「独りで生きる」ということ

「愛される」ということは「独りで生きる」ということ

「愛される」とは、
「ありのままに生きることを善しとされる」
ということだと僕は思っている。

人は愛されると、愛されたことに感謝し、自由を手に入れる。
中には欲望に溺れてしまう人もいるが、多くの人は共同体のため自らの魂を磨くだろう。それは「らしさ」を磨くといってもよい。

「らしさ」を磨く。
それはもっと言えば、
自分の"好き"、"得意"、"貢献の仕方"を見つけ、動く。
そうした行動のことだろう

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「よくできた」「大丈夫」だと声をかけられないのは無責任なのだろうか

"助け"といっても悩みの吐露から、応援を求める声まで色んなものがある。
実のところ自分はその"助け"の行為に対してかける適切な言葉が見つかっていない。自分の心にしっくりくる言葉が見当たらず、「いいね」とか「すてき」とか、なんとなくな言葉が出てくる。「大丈夫」でも「応援してる」でもしっくりこない。なんだかその"勇気"にかける言葉として失礼な気がする。

いまのところ一番しっくりくる言葉は「ありがとう

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書店という「場」

書店という「場」

「この20年で変らなかったのは、本への思い入れを読者に伝えようとし続けた書店員たちの存在である。彼ら、彼女たちがこれからも書店を支え続けるのである。・・・」 学芸出版社営業部の名物社員・藤原がお送りする、本と書店をめぐる四方山話。

先日新聞で、南相馬の小高駅前に10坪弱の書店が開業するというニュースを読んだ。住民は2500人ほどで、電車が1時間に1本または1時間半に1本。店主は小高駅で電車を待つ

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初めての採用で考えたこと

初めての採用で考えたこと

5月は採用活動を急に初めて目下面接中の日々を過ごしている。
前社では任せっきりだったので全部一人でゼロから考えてみた。いや、もう採用って究極に難しい。健忘録としても考えたこと、やったことをまとめておく。

履歴書なんていらないこれしょっぱなに決めたんだけど、履歴書とかいらん。学歴とか、普通免許持ってるとか、この仕事において無用である。なので最初に不要と添えた。学歴やら、そういうものは一定規模の組織

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1/3の速度で得られるもの

1/3の速度で得られるもの

この前、ゆっくり歩くおじいさんが目の前にいた。
打ち合わせまでには少し時間があるので、試しにこのご老人の速度で打ち合わせ場所まで向かってみようとググッと速度を落とした。

歳を重ねることで体の衰えがそうさせるのかもしれない。
最初はそう思っていたけど、歩いてると違うかもしれない。なんて思ったのだ。

みんながいつもどの程度の速度で暮らしているか、わからないけどなんとく今の1/3の速度に落とし見てる

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あなたの表現の裏に隠れるもの

「ありのままに生きる」
この生き方は自分にとって色んな気づきを与えてくれた。
自分の中にあった、ある種の生き苦しさというのは拭えた気がする。

だけど、まだ心のどこかで
「自分の価値観や美意識、『らしさ』ってどこにあるんだろう」
と考えており、凝りが残っていた。

「ありのままでいいんだ」と思いながら、
自分が進む目標となるような「端的で明瞭な一言」を待っていたんだ。

だけど、そうやって悶々と考

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この時代にこそ本を読むことは大事だと思うんです(幾分、おそるおそる)

この時代にこそ本を読むことは大事だと思うんです(幾分、おそるおそる)

文学研究者でありながら、つい最近まで僕は「小説や文学も、いずれ役割を終えるコンテンツなのかもしれない」と思っていました。というのも、読むのにものすごく時間がかかる文字、特に小説のような大部のテクストは、あらゆるコンテンツが充実し始めている現代社会においては、もはや時代遅れに見えたからです。

さらには、適切に集約されたネットの情報は、集合知の塊のようにも見えました。ネットにアクセスすれば、大体の「

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