微睡の中で

最近、よく思うことがある。
「あぁ、僕は前に進めていないな」と。
自分という人から漂う閉塞感みたいなものを感じるのだ。ただし前といっても何か指標があるわけじゃないし、ましてや目に見えるものでもない。

一般的に"前"というものには2種類ある。1つは客観的に良いと言われている"前"だ。お金持ちになったり、給料を上げたり、昇進したり、Twitterのフォロワーを増やしたり。世の中で善とされていること。もう1つは個人の善や幸せで、これは個々人が自身で定義して進んでいく。
この2つの"前"が存在する中で、僕は自分自身がどちらの前に進んでいるのか考え、そして気付く。「僕は前に進めていない」と。

客観的な"前"に進んだ先にある虚しさと、自身にとっての"前"が見つからない絶望とが混ざり合った泥沼にずぶずぶと足が絡め取られていく様は深い溜息と清々しいとも思える諦念を齎す。

ただし実のところ、解決策は見えている。
「つべこべ言わず、動け。どの方向でもいいから足を一歩踏み出せ」だ。
なんて快活な台詞なんだろう、と自分でも思う。だけど僕はその選択肢を選んでいない。

恐らく僕はこの泥沼の中で微睡んでいたいんだと思う。もしかしたらこのまま泥沼の中に埋もれて窒息死するのかもしれない。だけどもう少しだけ、前に向かおうとするまで待ってみたいと思う自分が存在するのもまた事実なのである。

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