マガジンのカバー画像

詩集

15
歌詞、詩、日記、そのようなもの。 無断転載や無断使用・引用等はお控えください。
運営しているクリエイター

記事一覧

緑のにおい

「緑のにおい」

私たちはなぜ
緑のにおいを
緑のにおいだと知っている

記憶は思考と言うならば
懐かしさとは何だろう

君が居たことが当たり前の
心細さとは何だろう

教わらずとも頭を垂れる
尊さとはなんだろう

窓を開けると 夏の風
もうすぐ8月のきらめき
鼻をかすめる 緑のにおい

熱と香

「熱と香」

時をとめる 針と糸

重きを知らぬ 静と動

頬をかすむ 熱と香(こう)

風に数う 三と四と

夏に揺れる 賛と美と

辿り着けない焦燥と
それを忘れる一瞬と

眠れぬほどの勝敗を
越え得た場所に微笑みを

いくつの夜を信じては
その手に握る輝きを
#五輪 #オリンピック

smoke

「smoke」

言葉の成すこと限りある
ただ解りたい 得たい高揚

私を隠せ 藍のジャケット
君を見せて 宵の賭け事

不束な鼓動 騒ぐ星の夜
ふたつの灯籠 落とす影の様

また遡る 読めぬ愛想
そこはかとなく 募る焦燥

あくまで静かにすすむ程
目立ちたがるこの脆い感情

カゲロウと子リス

「カゲロウと子リス」

反射して子リス
こそこそ鳴いた

謳歌して子リス
丸太を飛んだ

集まって子リス
背を並べた

仲良しの子リス
また輪になった

8月は暑く
また木に潜る

陽炎のゆらめき
眺めて笑う

loop

「loop」

道標をわざと失くすような
思考にメスを入れるような
破壊の快感はもうやめだ

作り物に気づくように
探し物を忘れるように
手品のトランプをめくるように

単純を悟っては
数秒後には星屑の中にいる私は

参るほど遅い歩みで
深夜2時までループに浸る
#私譚 #日記 #深夜のつぶやき

ひと

ただ一の透の地に
ただ湧き起こり 生まれつく
意味や名を剥ぎ取れば
ただ一に戻るのみ

早々に 違いなく
足元に 枯れえたる
明日さえ 怖くなる
闇雲に 叫びたる

雪融けは 遠くなる
信ずれば 咲き誇る
この水は とめどなく
運命を 奏でたる

再会

「再会」

君にも 君にも
出逢う前の私に戻る
此処が心地良いんだ

何も知らず 背中の上
木漏れ日が解ける
初めて見る色 眺めてた

君にも 君にも
出逢う前の私に戻る
此処が心地良いんだ

電話の音 悲しげな顔
庭の金木犀
それが遣る瀬ないから

今日にも 明日にも
鼓動さえもこの手に戻る
音が絶え間ないから

またきっと逢える
出逢い直せる
あの夏が確かだから

true true true

「true true true」

思い出したんだ
あなたにおぶわれていたこと
あなたの隙間でテレビを見たこと
米の研ぎ音 三味線の音
長い長い数え唄
愛をすでに知っていたこと

幼い場所
true true true
西の空が晴れならば
しだいにここも晴れること

幼い場所
true true true
そこにいればよかった
そこに戻ればよかったんだ

思い出したんだ
愛を知っていたことを

もっとみる

「畝」

坂の上の夜の階段で
何も考えるなって
笑ったじゃない

その時僕はようやく行き詰まり
思考の濁流を抜けて
狭い路地を抜けて
あの松の木も越えて
夕暮れの空の先の
計り知れない大きな何かに
ただただ身を任せた

休もう

息詰まりそうな畝の夜を
また堂々と 時に細々と
歩き出すまで

夕闇と三十

「夕闇と三十(みそ)」

夕闇と三十、時々僕は
生の階段の 妙な薄暗さよ

気味が悪いって
こういう事?

坂の上の数雨(かずうな)は
ただ僕に 鮮明に強い灯りを見せて
声の限り笑った

水を得たさかなの様だ

君が悪い 僕が悪い
知らない話

抹茶のice

「抹茶のice」 #言葉あそび

夏がきた 、窓から

抹茶色、ハイカラ

その緑、high color

懐かしい、愛なら

申し分ない、他意では

この熱を、引いては

伝えたい、ここから

夜汽車

「夜汽車」

甘い、甘い、荒野草
続け、続け、広野草

長い、長い、
混じり気のない思いは千を成して
ビロウドに固くたゆたう

あの懐かしい香りは夜汽車のもの
決して間違うことのない
君のもの

僕はただひたすら
その線を辿って
遥か先の何も見えない道を
行くのだ

紺と日常

「紺と日常」

靴を揃える
すこし躓く
落としきれないメイク
面倒くさいからさって
そのまま寝てしまえ

壊せ前夜
交わる夏の香り

どうしようもない静けさと
寂しい尾瀬の香り

落ちた蛍光灯
激しい紺の香り

帰りが遅い
それも懐かし君の香り

明日になれ
明日になれ
僕の日常

自愛賛歌

「自愛賛歌」

プラマイのない 優劣のない
エネルギーがあるだけ

自分を愛しても誰にもバレない
それなら愛したほうがいい

外側の彼らによって
君の価値は変わらない
それなら愛したほうがいい

シティポップに憧れて
君は筆をとる

午後 四角い画面に快楽を求めた
あの人の承認欲求が
ほら懐かしい