一人クリニック商店

救命救急医23年、在宅医療15年目。スタッフ3名とコロナ禍5500人のオンライン初診に…

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救命救急医23年、在宅医療15年目。スタッフ3名とコロナ禍5500人のオンライン初診に対応し、セルフメディケーション(自分療法)に目覚め、『おうちがクリニック』の実践と自分療法講座を提供中。離島、僻地はもとより、時間がなさすぎるサラーリーマンの方々へ。今すぐ受診する前の心得の錠。

記事一覧

#10 怪我と傷。『ほったらかし』の利点。

 昔(昭和40年頃)は外で遊んで転んで、手足に擦り傷や切り傷を作ることが割にしょっちゅうありました。それほどやんちゃでもなかった私でも記憶があります。水道で傷口をす…

いつでも閉めれる超ミニマム開業希望の皆様は注目!(第2弾)

  6月になり、新しい生活習慣病管理が開始されました。外来で、身長と体重を測ってもらい、体重、食事や運動の目標設定をご相談し、管理計画書を作って印刷してはサイン…

#1. 急性上気道炎?それとも、どこかの細菌感染?

 急性溶連菌感染症が1000人を超えました!RSウイルスが流行!新型コロナが再燃!といった報道がちょくちょくなされています。コロナ陽性が最近多いな。インフルエンザ、コ…

救急医から在宅医へ~生と死の狭間で見えたこと、伝えたいこと〜

◆すべての人に共通する“老化の尺度” 「この頃、やけに疲れやすくて・・・。歳かなあ。」「最近、夫(妻)が寝てばかり。会話もろくに成り立たなくて・・・」といったよ…

今、在宅医療なのか?(医療者向け) その4

 このタイトルの第一弾を投稿した時に、こんなことを書いていました。ーこの仕事はhome care (在宅医療の英訳)の名前の通り、患者さんだけを見るのではなく、周辺事情、お…

生活習慣病管理#1 それで、糖尿病って何が怖いんですか?

 意外なことに糖尿病の薬をなぜ飲んでいるのか、すぐ答えられない方が多いのです。『血糖まだ高いからな、薬増やしとくよ。はい、お大事に。』と先生言ってたけど。この6…

番外補 #2 便秘を自分で診る 第二弾。

 ある日のこと、うら若い美しい女性が、お腹の激痛で救急車で運ばれてきました。もしや子宮外妊娠かと若い医師は身構えています。そこへ10人近い同僚の男性がゾロゾロと付…

#2. 老化の分岐点はどこか。筋肉は老化の目安。

 誰でも簡単に計測できる老化の尺度は<筋肉量>です。  「最近やけに疲れやすくなりました、歳ですかね。」「最近寝てばかりなんです、ろくに会話もしないし。。。」とい…

#14 レントゲンの要らない骨折の見つけ方

 日常怪我をして皆さんがまず心配するのは、骨は折れていないか、です。骨が折れてないことが分かればホッと胸を撫で下ろします。折れてるかどうかをすぐに知りたいから、…

老後に備えておきたいこと。

 急になんですが、私はこれから老後に突入します。そんな大袈裟なものでもないですが、このセルフメディケーションコーナーをちょっと休憩して考えてみました。老後に備え…

#3 最強の尿検査を利用しましょう。

 口渇甚だしく、排尿回数多きもの『消渇(しょうかち)』という病名で古く漢方で知られていた糖尿病。尿に蟻が群がったり、尿を舐めて甘みがあれば、消渇を疑ったとも言わ…

番外補編#1 とんでもない痛み。

 前回の、#15 便秘を自分で診る では腹痛の多くを占める便秘のセルフメディケーションをお話ししました。ところが、それどころではない七転八倒の とんでもない痛み …

#15 便秘を自分で診る (基礎編)

 腹痛で受診される方の9割は便秘です。ちょっと乱暴ですが、そう言ってよいかと思います。そのまた9割の方は、便秘であることを即座に信じようとはされません。曰く「便は…

#12 心不全 命がけの運動に注意を。

 循環器医によると、心不全は癌に劣らない位予後不良であるにも関わらず、その認識が乏しいじゃないか。つまり心不全は良性疾患だと思われてるじゃないですか、と言われる…

医師との交換日記 マイ・健康カルテ

 その昔、心ときめきながら交換日記をした経験がおありでしょうか。私は遂に果たせませんでしたが。。。このマイ・健康カルテはあなたと医師が、病気のことや健康情報をメ…

医師が案内するセルフメディケーション講座

 昭和の早い頃、もしかすると戦争前から、こんな箱が一家に一つありました。救急箱と言いましたか、「早く薬箱持ってきて!」と母親に言いつけられた覚えがあります。お腹…

#10 怪我と傷。『ほったらかし』の利点。

#10 怪我と傷。『ほったらかし』の利点。

 昔(昭和40年頃)は外で遊んで転んで、手足に擦り傷や切り傷を作ることが割にしょっちゅうありました。それほどやんちゃでもなかった私でも記憶があります。水道で傷口をすすいで、赤チン(マーキュロクロム。水銀を含む製品を規制する水俣条約で2020年12月に製造中止)を膝や肘に塗られていた。ちょっとませてくると、あちこち赤く染まるのが、カッコ悪い、恥ずかしい。そう言うと、代わりにヨーチン(ヨードチンキ)を

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いつでも閉めれる超ミニマム開業希望の皆様は注目!(第2弾)

いつでも閉めれる超ミニマム開業希望の皆様は注目!(第2弾)

  6月になり、新しい生活習慣病管理が開始されました。外来で、身長と体重を測ってもらい、体重、食事や運動の目標設定をご相談し、管理計画書を作って印刷してはサインを貰っています。10分15分かかってしまい、以前のような3分診療はできなくなり、大雑把にいうと回転は悪くなりました。待ち時間が増えて面倒な作業を強いられているのに、意外に不満げな方はおられず、生活の話をむしろ進んでされるので、かえって時間が

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#1. 急性上気道炎?それとも、どこかの細菌感染?

#1. 急性上気道炎?それとも、どこかの細菌感染?

 急性溶連菌感染症が1000人を超えました!RSウイルスが流行!新型コロナが再燃!といった報道がちょくちょくなされています。コロナ陽性が最近多いな。インフルエンザ、コロナ共PCR陰性なのに、随分と高熱なんだな。喉が痛い人が多いなあ。確かに外来でこういった実感を持ちますので、今月最後のタイトルはこれに致しました。

 今増えてきている、溶連菌感染症。これはコロナやインフルエンザなどのウイルス性感染症

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救急医から在宅医へ~生と死の狭間で見えたこと、伝えたいこと〜

救急医から在宅医へ~生と死の狭間で見えたこと、伝えたいこと〜

◆すべての人に共通する“老化の尺度”
「この頃、やけに疲れやすくて・・・。歳かなあ。」「最近、夫(妻)が寝てばかり。会話もろくに成り立たなくて・・・」といったような言葉を、あちこちで耳にします。「老化ですね」と、ばっさり申し上げるのはいささか気がひけるので、「一種の加齢現象でしょうか」とやんわり済ますわけですが、実は内心、抵抗を感じていました。“老化ってどこが?”根拠あるの?“という、モヤモヤした

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今、在宅医療なのか?(医療者向け) その4

今、在宅医療なのか?(医療者向け) その4

 このタイトルの第一弾を投稿した時に、こんなことを書いていました。ーこの仕事はhome care (在宅医療の英訳)の名前の通り、患者さんだけを見るのではなく、周辺事情、お家や家族の状況といった社会的な問題を最期まで引き受ける、医療のおまけ付きサービス事業なのです。ー

 2024年6月、訪問診療について、再度の報酬の改定が発信されました。もう10年も前になりますか、施設総管(施設等医学総合管理料

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生活習慣病管理#1  それで、糖尿病って何が怖いんですか?

生活習慣病管理#1 それで、糖尿病って何が怖いんですか?

 意外なことに糖尿病の薬をなぜ飲んでいるのか、すぐ答えられない方が多いのです。『血糖まだ高いからな、薬増やしとくよ。はい、お大事に。』と先生言ってたけど。この6月から外来で生活習慣病管理という制度が始まりました。なんか計画書にサインされてるのではないでしょうか。国もいよいよ重症疾患の予防に本腰を入れ始めました。

 まず、血糖とは血液の中の、ブドウ糖(グルコース)濃度です。よく果物は果糖(フルクト

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番外補 #2  便秘を自分で診る 第二弾。

番外補 #2 便秘を自分で診る 第二弾。

 ある日のこと、うら若い美しい女性が、お腹の激痛で救急車で運ばれてきました。もしや子宮外妊娠かと若い医師は身構えています。そこへ10人近い同僚の男性がゾロゾロと付き添ってこられ、我先に「大丈夫でしょうか。」と彼女の身を案じて駆け寄って来られました。患者さんに小声で診断を伝えますと、小声で「皆さんには病名は言わないで下さい。」とおっしゃいました。「勿論です。」と私は頷きました。

 こんな激しい痛み

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#2. 老化の分岐点はどこか。筋肉は老化の目安。

#2. 老化の分岐点はどこか。筋肉は老化の目安。

 誰でも簡単に計測できる老化の尺度は<筋肉量>です。

 「最近やけに疲れやすくなりました、歳ですかね。」「最近寝てばかりなんです、ろくに会話もしないし。。。」といった言葉をあちこちで普通に耳にします。老化でしょう、とばっさり申し上げるのは気がひけます。一種の加齢現象でしょうか、くらいで済ますわけですが、内心抵抗を感じていました。それ、なんか根拠あるの?老化てどこが?という反論の気持ちが湧きますが

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#14 レントゲンの要らない骨折の見つけ方

#14 レントゲンの要らない骨折の見つけ方

 日常怪我をして皆さんがまず心配するのは、骨は折れていないか、です。骨が折れてないことが分かればホッと胸を撫で下ろします。折れてるかどうかをすぐに知りたいから、レントゲンを撮ってもらいに走る。骨折はありませんという一言が欲しいために、物凄く痛いのを何とか我慢して、何がなんでも今すぐ病院に行きますよね。

 折れた骨が皮膚を突き破っている時、下から皮膚が盛り上がる、骨がポッキリと折れて大きなズレ(転

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老後に備えておきたいこと。

老後に備えておきたいこと。

 急になんですが、私はこれから老後に突入します。そんな大袈裟なものでもないですが、このセルフメディケーションコーナーをちょっと休憩して考えてみました。老後に備えて何が必要かと言うことがちょくちょく議論になっています。少し前にはさる政治家がお金が2千万必要とのたまい、物議をかもしていました。でもその方も十分老後と言っていいお歳なんですね。でも他人事のようにそんなことをおっしゃるのは、月並みですが現役

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#3  最強の尿検査を利用しましょう。

#3 最強の尿検査を利用しましょう。

 口渇甚だしく、排尿回数多きもの『消渇(しょうかち)』という病名で古く漢方で知られていた糖尿病。尿に蟻が群がったり、尿を舐めて甘みがあれば、消渇を疑ったとも言われています。中世には、尿を見て、病状だけでなく運命まで占う専門業者が居たとか。実は、歴史上、最も古くから行なわれてきた臨床検査の基本は、「尿検査」だったのです。精密検査の現代においては検尿の価値は一見下がったように見えます。

本記事のIn

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番外補編#1 とんでもない痛み。

番外補編#1 とんでもない痛み。

 前回の、#15 便秘を自分で診る では腹痛の多くを占める便秘のセルフメディケーションをお話ししました。ところが、それどころではない七転八倒の とんでもない痛み がこの世にはあるんです。それを知っておいて下さい。比較的多い代表的な痛みは、胆石症と尿管結石症によるものです。

 さて、正式名、胆嚢結石症という名の通り、胆嚢の中に石の塊ができて起こります。右の肋骨の下(みぞおちから肋骨に沿って右に寄

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#15 便秘を自分で診る (基礎編)

#15 便秘を自分で診る (基礎編)

 腹痛で受診される方の9割は便秘です。ちょっと乱暴ですが、そう言ってよいかと思います。そのまた9割の方は、便秘であることを即座に信じようとはされません。曰く「便は出ていますから絶対便秘じゃありません、いえ、違うと思います。」と。今までに便秘と言われたこともなければ、下剤を使った経験もないのですから、まあ無理もありません。「胃カメラでは、胃炎と胃から食道への逆流があると言われ、モサプリドクエン酸を飲

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#12 心不全 命がけの運動に注意を。

#12 心不全 命がけの運動に注意を。

 循環器医によると、心不全は癌に劣らない位予後不良であるにも関わらず、その認識が乏しいじゃないか。つまり心不全は良性疾患だと思われてるじゃないですか、と言われるんですね。(進行)癌は早くに亡くなるけれど、心不全はずっと長く数年の経過を辿ることが多いですね。それも関係しているのだと思います。

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医師との交換日記 マイ・健康カルテ

医師との交換日記 マイ・健康カルテ

 その昔、心ときめきながら交換日記をした経験がおありでしょうか。私は遂に果たせませんでしたが。。。このマイ・健康カルテはあなたと医師が、病気のことや健康情報をメールでやり取りして創っていく、いわば双方向の電子カルテです。

 あなたが申告される過去現在の病気や薬の記録を、アドバイザー医師(当方の担当医師)が適宜質問をしながら協力して見やすくまとめていく。メールのやり取りで完成させていく、あなたのお

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医師が案内するセルフメディケーション講座

医師が案内するセルフメディケーション講座

 昭和の早い頃、もしかすると戦争前から、こんな箱が一家に一つありました。救急箱と言いましたか、「早く薬箱持ってきて!」と母親に言いつけられた覚えがあります。お腹が痛い時は正露丸、怪我をすれば赤チン。ピンセットやガーゼに包帯も入ってました。これ飲んで寝たら良くなる、これ塗っとけば勝手に治る、という大雑把な民間療法でしたが、意外に治り駄目なら病院に行きました。

昭和の薬箱の写真(公開中)。

 今

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