#2. 老化の分岐点はどこか。筋肉は老化の目安。
誰でも簡単に計測できる老化の尺度は<筋肉量>です。
「最近やけに疲れやすくなりました、歳ですかね。」「最近寝てばかりなんです、ろくに会話もしないし。。。」といった言葉をあちこちで普通に耳にします。老化でしょう、とばっさり申し上げるのは気がひけます。一種の加齢現象でしょうか、くらいで済ますわけですが、内心抵抗を感じていました。それ、なんか根拠あるの?老化てどこが?という反論の気持ちが湧きますが、反証するだけの根拠もなく、モヤモヤした疑問を胸の奥にしまっていました。
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最期は心臓が止まるのだから、人は皆心不全で亡くなる、と考えられている方が多いと思います。日本人の死亡第2位は心疾患であり、心不全の有病率は80歳から急速に増えますー出典 平原, 心不全の緩和ケア(改定2版) C.在宅医療の視点から, p17, 南山堂。従って老化とは心臓が弱ることだから、心機能の検査が老化の尺度になるでしょう、は実は飛躍した考えです。
心機能以外に腎機能、甲状腺機能、造血機能、蛋白合成能も、人によっては老化に伴い低下していきます。色々な臓器機能が加齢により衰える、という事実は、『○○○の有病率は80歳から急速に増えます』、○○○に入るのは他のどの臓器機能でも当てはまることを意味しています。死因は人それぞれで色々な臓器不全が候補に上がり、その人その人の個性であって、臓器の経年劣化の結果と考えられます。各臓器機能の検査は、言うなれば身体の各部品の耐用年数を予測していることに他なりません。そしてその部品の取り替えや修繕をすることが、現今の医療であろうと言うのは言い過ぎでしょうか。
<老化・老衰>は万人に共通するさだめ(運命)です。老化の尺度として共通する現象を逐一探してみたところ、唯一、全身の筋肉の減少がそれにあたります。加齢に伴い筋肉が減少する現象はサルコペニア(加齢性筋肉崩壊症)と呼ばれています。でも、脚の筋肉が減ったとて、必ずしも直接死亡につながらないじゃないですか、という意見が出てくると思います。
サルコペニアは、元々脚力と筋量の減少によって定義されました。全世界で健康運動が推奨され、サルコペニアの予防が図られてきました。どちらかと言うと、すでにサルコペニアになった人よりも、なる前の人が対象とされてきた傾向があります。加齢に伴い筋量が低下する経過や実態を追跡した研究業績は意外にも乏しいことはそのためであることを知りました。
すでにサルコペニアに該当する方々を対象に、年単位で筋量の推移を観ていくと、加齢に伴い自然に減少してゆくことが明らかでした。そして、筋量が半減すると突然高率に誤嚥性肺炎を発症することも分かりました。嚥下に関連する筋肉は、呼吸や発語にも関与し生涯使用するので、他の筋肉に比べると衰えるのが遅いと言われます。実際車椅子を利用されている方でも、食欲旺盛の方は大勢おられます。それでも筋量が半減すると、流石に代償作用(機能を補完する体の自然の働き、嚥下の場合は咳や喀出で誤嚥を最小限にしようとする働き)が効かなくなるようです。
今日ではサルコペニア自体による嚥下障害の概念が定着し、呼吸障害や膀胱直腸障害など他臓器への影響の研究が目下学会ではトピックスになっています。つまり、サルコペニアは老化老衰をよく反映します。筋量を計測することが、老化老衰度を数値化することにつながります。
そしてもう一つ、サルコペニアがある程度進んでも、回復の余地が残されていることも明らかになりました。従来の考えではサルコペニアは回復が困難とされていましたが、ある意味画期的な結果であると思います。筋肉量を計測する簡単な手法により、老化の程度<老衰度>を評価することは、リハビリテーション、筋肉運動、食事療法の成果はもとより、様々な治療の影響を考える材料になると考えています。
全身の筋肉量を計測する簡便で正確な方法を実施しています。従来の体組成法(BIA法:体抵抗からの予測の方法)とは異なります。立てない、歩けない方でも利用できます。
詳しくは下記よりお問い合わせ下さい。あなたの老衰度、筋トレやリハビリテーションの成果を計測しましょう。
2024年6月9日
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