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#12 心不全 命がけの運動に注意を。

 循環器医によると、心不全は癌に劣らない位予後不良であるにも関わらず、その認識が乏しいじゃないか。つまり心不全は良性疾患だと思われてるじゃないですか、と言われるんですね。(進行)癌は早くに亡くなるけれど、心不全はずっと長く数年の経過を辿ることが多いですね。それも関係しているのだと思います。

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 歳をとると、皆最期は心不全で亡くなる、と今も思われています。統計を紐解くと、日本人の死亡第2位は心疾患であり、多くは心不全と書かれています。心不全の有病率は80歳から急速に増える、心不全患者の多くは85歳以上、心不全死亡の86.5%が後期高齢者とも記載されています。ー出典 平原, 心不全の緩和ケア(改定2版)  C.在宅医療の視点から, p17, 南山堂。ただ現場では心不全でお亡くなりになった、という判断は意外に難しく、肺炎や癌や他の診断名がつかない場合、正直心不全としか記載できません。老衰と言って良いのかもしれません。元々慢性心不全があったり、急な心筋梗塞の発症であれば、心不全と言って良いとは思いますが。。。

 癌と、心不全(あるいは他の疾患)の大きな違いは、余命が予測できるか、ほとんど分からないかと言う点だと思います。いったいどうなったら余命が短いのか、そもそもどこから悪化がスタートするのかも見えない。そこに特徴と問題があるのだろうと思います。

 さて、心不全のオリジナルは、収縮機能が落ちるというメカニズムでした。その原因は心臓の筋肉が薄くなり筋力が落ちたり、逆に分厚くなって収縮しづらくなったりで、超音波検査でそれが目に見えることに昔は感動していました。左室駆出率(拡張時に対する収縮時の容積変化の率)、Ejection Fraction(EF)何%とか言って、全部わかった気になってました。

 ところが高齢者は、EFが下がらない心不全(heart failure with preserved ejection fraction: HFpEF)が多いのです。循環器科の先生はこれを『ペフ』と呼称されます。実際上、若年者に比べあまり活動をされない高齢者では、労作性呼吸困難が現れません。この症状は心不全においては最も感度が高く診断に有用であると教えられました。この症状が出ない高齢者では、元気がない、食べない、活気がない、という特異的でない症状が現れるようです。そして私たちは血液検査をしてみます。

 BNP, NP-proBNPをご存知でしょうか?心室から分泌されるホルモンで、血管を広げて尿の排出を促す作用があります。最初は脳で発見されたため、Brainの頭文字が残っているのですね。これらが上がっていることは、心臓がしんどい、きついと叫んでいる現れで、心不全の指標として確立されています。先ごろ美智子皇太后様が散策中に息切れがあり、この指標が上がっていたことが報道されていました。

 この値が高いことが診断の目安になり、500位だと循環器科に紹介しなさいと言うことになっています(昨年(2023年)10月、日本心不全学会は『血中BNPやNT-proBNPを用いた心不全診療に関するステートメント』を10年ぶりに改訂。第88回日本循環器学会(3月8~10日)ではプレス発表が行われ、信州大学循環器内科学教授の桑原宏一郎氏が改訂点について説明。「プレ心不全例への予防的介入と心不全の早期診断が重要である。B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)が35pg/mL以上またはN末端プロBNP(NT-proBNP)が125pg/mL以上の場合は、循環器専門医への紹介を検討してほしい」と呼びかけた。) 。ただご高齢だとほぼ全員がそれ位の値です。全員ご紹介すると大変なことになろうかと思っています。

 中々本題に入れないのですが、元気に運動をされている方全員にすぐ計りましょうと言うのではありません。ウオーキング中に初めて息切れがあった方、少し食事をしたらやめてしまう方、といったお二人が記憶に新しいのですが。前者の80歳間近のお一人は心臓の冠動脈3本のうち1本が完全閉塞、後者の80歳台の方も心不全でした。安静時や普段はなんら症状はなく、心疾患の既往も全くお持ちではありませんでした。

こういった『無症候性心不全』こそ高齢者や運動志向の方は注意が必要です。

 無症候(症状がない)ですと、循環器科や専門病院に紹介受診をするには二の足を踏んでしまいます。そこで、このNT-proBNPを測定しましたら、思いがけなく高値であることを確認しました。

 命がけの運動と申しますのは、ご自身の運動負荷の耐用力を測らずに運動をされることを意味します。ジムなどでロードランナー、ウオーキングやランニングといった負荷が身体にどのような変化をきたすか、それを見、また経過を追跡することが大事だと思います。アスリートを対象としたスポーツ医学の知見も大変参考になります。

 具体的な詳細についてはご相談の都度、お一人ずつ回答をさせていただきたいと思います。

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