見出し画像

番外補編#1 とんでもない痛み。

 前回の、#15  便秘を自分で診る では腹痛の多くを占める便秘のセルフメディケーションをお話ししました。ところが、それどころではない七転八倒の とんでもない痛み がこの世にはあるんです。それを知っておいて下さい。比較的多い代表的な痛みは、胆石症と尿管結石症によるものです。

 さて、正式名、胆嚢結石症という名の通り、胆嚢の中に石の塊ができて起こります。右の肋骨の下(みぞおちから肋骨に沿って右に寄った)あたりに、ギューと差し込むようなちょっと違う痛みが出ます。でも、みぞおち、背中、おへそ、肩、腰と違う場所が痛むこともあります。

 便秘でも、下腹部だけでなく右上やみぞおち、おへそあたりが痛むことはあります。じゃあ、便秘じゃなくて胆石かもしれないじゃないですか?間違っていたらどうするのですか!というご不満を述べられるかもしれません。

 もちろん!そうかもしれません。水分を十分摂り、お風呂に入り、カイロでお腹を温めて、排便があってすう〜と痛みがなくなれば、便秘だったんだ、とその時点で確信できるのです。腹痛は便秘のことが圧倒的に多いですよ、それから除外していきましょうという意味なのです。

 それと、もしも熱が出ると、これは危険サインです。便秘では普通それはありません。セルフメディケーションはそこまでと撤退を判断するのがポイントです。

 肝臓で作られた胆汁は胆嚢という筋肉の袋に一旦濃縮貯蔵されています。食べ物特に脂ものが胃に入ると、胆汁は細い管を通って絞り出されて、胃の続きの十二指腸へ送り出されます。胆石が胆汁の出口を塞ぐと、絞り出せなくなり内圧が上がり、ここで痛みが出ます。これは便でいっぱいになった腸が便を押し出そうとして、痛みが出るのと似ていますね。


 毎度みぞおちの右辺りだけが痛む、食べたら痛み出す、熱も出てきた。他には、黄色から緑の色の胆汁は、便を黄色に着色します。胆汁が流れないと、なんと!便が白くなるのです。全然流れないと、顔や白目が黄色くなります(黄疸)。これはもはや病院の出番です。超音波検査ですぐ分かります。

 2つめの尿管結石症、それこそ痛いなんてもんじゃありません、と経験者は語ります。大の男が脂汗を流して苦しみます。それを小耳にはさんだ傍の女性に言わせれば、お産 の痛みに比べたらまだまだ、男は情けない、とのこと。腎臓で作られた尿は尿管という細い管を通って膀胱に届けられます。この尿管は背中側を下に走行していますので、石で流れが止まるとやはり尿管が激しく収縮拡張する。それで背中や下腹部が激烈に痛みます。

 ギザギザした石が細い尿管の中をあっちに当たりこっちに当たり落ちていくので、尿管に傷がついて、尿中に目に見えない血が混じるのも特徴です。尿を採って血が混じってるかどうかは、実はお家でも検査できます。ともかく飲み物をたくさん摂って、尿の流れを増やして、石を膀胱まで運んでゆくまでは痛みと戦わなければいけません。

 このように見ていくと、便、胆石、尿管結石が流れを遮断すると、それを出そう出そうと、腸管、胆(のう)管、尿管がひとりでに収縮拡張する。そのために痛くなるというわけです。この種の痛みを和らげるには、一時的に収縮を抑える薬、強力な鎮痛薬が必要です。時には、芍薬甘草湯(こむらかえりの特効薬)が効くことがあります。但しです。

 とんでもない痛み は、深追いしてはいけません。排便があっても治らない、熱が出てきた、見えない血尿が危険のサインです。診察でも時に分かりにくい、腸間膜動脈血栓症 という腸が壊死する怖い病気もあります。このセルフメディケーションを撤退する勘所を押さえることが、セルフメディケーションの極意かもしれません。

本記事のInstagramもご覧下さい。
https://instagram.com/p/C7vAdOFP7SK/?utm_source=qr

2024年5月30日

当院では便秘と腸活外来、生活習慣病外来を定期的に行なっております。オンラインでの診察も可能です。お問い合わせ下さい。

なのはなヘルスサポート(ドクターノア)ホームページ
https://nanohanahealth.simdif.com

なのはなヘルスサポートYouTube
https://www.youtube.com/@user-xb1dx9oe8i

なのはなヘルスサポート(Instagram)
https://www.instagram.com/nanohana.dr?igsh=Z2ZmYnk4eXA5Zm9k&utm_source=qr

ドクターノア LINE公式アカウント
https://page.line.me/753upmqo

みんなの医療(ご希望回答フォーム)
https://qqi.jp/l/u/G2NGzo0SWDAAR5JC

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?