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【カリスマ創業者引退】ニデック

今回は「ニデック」をリサーチしました。
「日本電産」の名前のほうが聞き馴染みがあるかもしれませんね。
世界最大手のモーターメーカーです。
それでは、さっそく見ていきましょう〜


①概要

1-1 基本データ

企業理念:「モータを始めとする製品の、一層の効率化追求により地球環境保全のために不可欠なソリューションを提供するとともに、人々のより良い生活の実現に貢献いたします。
事業内容
:精密小型モータ、車載及び家電・商業・産業用モータ、機器装置、電子・光学部品、その他の開発・製造・販売
設立
:1973年
上場市場:東京プライム市場
時価総額:3兆4100億円
従業員数※:連結105945名 単体2210名(平均年齢40.0歳)
平均年収※:686万円
※会社四季報 2024年1集 新春号より

1-2 事業内容

ニデックは、1973年に創業者で現会長である永守重信氏によって、京都で創業されました。永守氏は当初から、ニデックを世界一の企業とすることを目指し、新しいモーターの開発や工場の新設、外国への進出などを進めていきました。

最近のトピックスでは、創業から50年間会社を指揮していた永守氏が、今後数年をかけて引退し、次期社長にバトンを渡すことが発表されました。長らく後継者問題に苦しんでいた同社にとって、大きな転換点となります。

同社は、創業以来幅広い用途のモーターを製造・販売しています。
エアコンや冷蔵庫といった家電向けモーターでは、高い技術力を活かして省エネ性能静音性を高めています。

また、売上高の25%を占める車載関連では、自動運転関連のレーダーやカメラ関連、また車の制御に必要なトランスミッション関連の製品を製造しています。

②業績

2-1 直近の決算

営業利益:本業で稼いだ利益
経常利益:営業利益+本業以外の損益の合計
純利益:税金などを引いたあとの最終的な利益

2023年度の3Qは、利益水準が前年度までに比べて大きく改善し、売上高・利益ともに過去最高を更新しました。
特に為替の影響と、前年不振だった車載事業の黒字化が要因としてあげられます。永守氏もかねてより、「車載事業の立て直しが急務」としていましたので、3Qの成果には一定の安心感があるのではないでしょうか。

決算説明資料より

とはいえ、特に中国の景気減速と、それに伴うEVの販売鈍化によって、今後の市場環境は予断を許しません。
同社は中期経営計画において、インド・アフリカへの展開を進めるとしています。今後の打ち手にも要注目です。

決算説明資料より

2-2 貸借対照表(B/S)

続いて貸借対照表を見てみましょう。
貸借対照表(バランスシート=B/S)は、その会社が持つ資産を可視化したものです。

流動資産:現金にしやすい資産(現金・受取手形など)
固定資産:現金にしにくい資産(土地・建物など)
流動負債:1年以内に返済が必要な負債(短期借入金・引当金など)
固定負債:1年以内に返さなくても良い負債(長期借入金・社債など)
自己資本比率:総資本のうち自己資本が占める割合。高いほど健全。

非常にバランスの取れた財務状態だと思います。各資産と負債がほぼ均等ですし、自己資本比率も50%を超えています。
製造業なので固定資産が多いのかなと思っていましたが、優れた財務戦略を実行していると感じました。

2-3 損益計算書(P/L)

続いて損益計算書です。
損益計算書(P/L)は、その会社がどう稼いで、何にお金を使ったのかを可視化したものになります。

売上高:本業で稼いだ収益
売上原価:売上を上げるために直接かかった費用
販管費:商品の販売や管理にかかった費用(広告費や賃料など)
営業利益/損失:本業で出た利益/損失
営業利益率:売上高のうち営業利益が占める割合。高いほど効率よく稼いでいる。営業損失の場合は算出できない。

モーターのメーカーですので、やはり製造原価が多く1兆円を超えています。また、販管費の中には研究開発費も600億円含まれており、先端技術の研究にも余念がありません。
製造業で営業利益率が約10%あり、効率的に稼げていると言えるのではないでしょうか。

2-4 株価の動向

次に、直近5年間の株価推移です。

近年は低迷してしまっています。要因としては、揺れに揺れた後継者問題や、中国での景気減速懸念、車載事業の不透明感などが挙げられると思います。また、3Qでは過去最高益を更新しましたが、特にEV関連の不透明感を理由に通期での業績予想を下方修正しましたので、しばらく株価の上値は重いかもしれません。

③社員の口コミ

最後に、社員クチコミサイト「openwork」より社員評価を見てみましょう。回答者数が少ない場合がありますので、あくまで参考値となります。

総合評価は2.93と、比較的低い水準だと感じました。
「20代成長環境」こそ4.1点と高いですが、それ以外の項目、とくに「人材の長期育成」や「待遇の満足度」は非常に低い印象です。
”知的ハードワーク”を精神に掲げる同社。働く環境としては魅力的とは言えないのかもしれません。

④まとめ

以上、「ニデック」についてリサーチした結果、
・カリスマ創業者が率いてきた大手モーターメーカー
・用途に応じた製造が強みで、海外展開も加速
・財務状態はバランスが良く健全
・市場環境の変化や後継者問題から株価は低迷

でした。

今後も個人的に気になった企業についてどんどんリサーチしていこうと思います。

参考資料


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