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東京近辺の喫茶店

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東京近辺の喫茶店に関する記事をまとめただけです。
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#エッセイ

純喫茶⑥純喫茶界のレジェンド【珈琲王城】

純喫茶⑥純喫茶界のレジェンド【珈琲王城】

Googleで「純喫茶 東京」と検索すると、どんなお店が出てくると思いますか?有名なのは荻窪とか吉祥寺かな。神保町も多いと聞くし、銀座に高級喫茶があったような?

全国に数多く残る純喫茶ですが、中でも純喫茶激戦区だと思うのは、喫茶店発祥の地・上野。創業50年以上の老舗も多く、「上野三大純喫茶」というワードがあるほどです。

その「三大純喫茶」の一つ、“レジェンド”と呼ばれるお店が、上野のど真ん中に

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純喫茶⑤「行きつけの喫茶店」を見つけたくて【珈琲店桂】

純喫茶⑤「行きつけの喫茶店」を見つけたくて【珈琲店桂】

「上野」といえば、上野動物園に美術館、アメ横商店街など、見どころ満載の観光スポット。観光のイメージが強い上野ですが、実は「喫茶店発祥の地」でもあります。

日本初の喫茶店は1888年に誕生。「可否茶館(かひさかん)」という名前のお店でした。経営不振により1892年に幕を下ろしたものの、その後銀座や大阪に相次いで喫茶店が誕生し、今に至ります。

そんな喫茶文化の根付く土地に、私の行きつけの純喫茶があ

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第1回「本郷三丁目 名曲・喫茶 麦」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第1回「本郷三丁目 名曲・喫茶 麦」

文◎北村早樹子

 

 わたしは誕生日が大嫌い。一年でいちばん嫌いな日が誕生日で、誕生日の前後1週間ぐらいはずっと機嫌が悪く、何をしても楽しくない。
 それはもう三十路も後半戦に差し掛かり立派な中年になったからでしょ、と言われると全然そんなわけでもなくって、なんなら20年前の思春期、高校生の頃からからずっと嫌いだった。
 最初に断っておくと、加齢が嫌だと言っているわけではない。時間と言うものは全

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純喫茶③雑誌に載らないツウな店【待合室】

純喫茶③雑誌に載らないツウな店【待合室】

『Oz magagine』2023年5月号のタイトルは「浅草さんぽ」。浅草在住の私、興味津々。自分の住む地域が特集されていると、「あ〜ここ良いよね!」「ここは知らなかった」など新しい発見もあり、ついつい手に取ってしまいます。

目次には「ツウな名店案内」なんてページもあり、知っているお店が載っているとめちゃくちゃ尊大な気持ちになります。(まだ浅草歴3年目のくせに)喫茶店紹介ページには、有名店が名を

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純喫茶④注文がむずかしいお店【寿花】

純喫茶④注文がむずかしいお店【寿花】

銀座線田原町駅と聞いて、「あ〜あそこね!」とすぐに分かる人は少ないのではないでしょうか。田原町駅は、上野駅と浅草駅の間、歩いて蔵前にも行ける、観光に便利な場所にあります。

田原町駅から浅草寺までは徒歩10分。かっぱ橋道具街までだと徒歩3分。浅草のホテルは宿泊料が高いので、手前の田原町で探すと少々安くなっておすすめです。

蔵前も近いので、下町の純喫茶とおしゃれなカフェが同居する、散歩が楽しいエリ

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純喫茶②「カフェ激戦区」蔵前でカフェに行かない理由【シャレード珈琲】

純喫茶②「カフェ激戦区」蔵前でカフェに行かない理由【シャレード珈琲】

東京都台東区にある下町・蔵前。Googleで「蔵前」と検索すると、上位に出てくるのは「蔵前カフェ」「蔵前カヌレ」などのおしゃれワード。

「東京のブルックリン」とも呼ばれ、ここ数年でカフェだけでなく、雑貨店や革小物屋さん、うつわ屋さんなど、あらゆる角度から「おしゃれ」を詰め込んだ街になりました。

私も散歩でよく行きます。しかし、私が行くのはいつでもどこでも純喫茶。浅草〜蔵前〜浅草橋間を歩きまくり

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第15回「南千住 coffeeオンリー」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第15回「南千住 coffeeオンリー」

文◎北村早樹子

 わたしは大阪のことは嫌いだが、西成のことだけは愛している。西成? となる方もいらっしゃるかもしれないので簡単に説明すると、西成とは大阪にある日雇い労働者の街で、ドヤと呼ばれる簡易宿泊施設が立ち並んでいる、ちょっと特殊な街だ。だいたい一泊500円~2000円くらい。ホテルとうたってはいるが、殆どは日雇い労働者や生活保護のじいさんが住居として使っている。ひと部屋だいたい三畳一間(狭

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第4回「虎ノ門 喫茶フーガ」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第4回「虎ノ門 喫茶フーガ」

文◎北村早樹子

 わたしは27歳から、所謂難病の類の病気を患っている。
 最初は膝が痛くなり、次に脚、肩、首、顎、腕、最終的には朝、顔を洗おうとして水を両手で掬おうとしたら水圧で手指に激痛が走り、もう駄目かと思った。
 わたしはピアノを弾いて歌をうたう活動をしているのだが、とてもじゃないけどピアノなんか弾けない。鉛筆を持つのもたいへん、おはしを使うのがつらいので一時期なんでもスプーンで食べていた

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第10回「シルビア 綾瀬店」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第10回「シルビア 綾瀬店」

文◎北村早樹子

 東京に出て来てもう13年が経つ。引っ越しが特別好きというわけではないが、一度家に飽きるともうすべてが嫌になるので、これまでに6回引っ越ししている。その中でいちばん長く住んだのが、足立区綾瀬だ。アパートを2回更新して、結局5年半ほど住んだ。
 なんで綾瀬か。綾瀬に引っ越した当初は友人知人に驚かれた。文化的な匂いが全然しない街だというのは知っていた。駅前には大衆酒場とパチンコ屋しか

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第13回「千駄ヶ谷 カフェ泥人形」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第13回「千駄ヶ谷 カフェ泥人形」

文◎北村早樹子

 28歳くらいから生理がこなくなり、最初は楽チンでいいやと思っていたのだが、1年経つとさすがに不安になって、近所の産婦人科に行った。当然妊娠はしておらず。あらゆる漢方薬を出されたが、一向に生理はやってこない。万策尽きたと医者に告げられて、大学病院を紹介された。
 そんなわけで、わたしは信濃町にある慶應義塾大学病院に通うことになった。慶應大学病院の産婦人科。噂には聞いていたが、大

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第14回「目白 珈琲伴茶夢」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第14回「目白 珈琲伴茶夢」

文◎北村早樹子

 上京してきて、はじめて住んだ街は目白だった。実際には、住所的には西池袋なのだが、池袋のがやがやは苦手なので、目白駅を使っていた。何故、目白になったかというと、当時東京に住んでいる唯一の友人が目白に住んでいたからだ。彼女は後に魔女になる、るみたんで、当時は彫り師の旦那さんと目白駅前の高級マンションに住んでいた。

 わたしはその頃、大阪に住んでいたが、2か月に一回ぐらい東京にライ

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北村早樹子のたのしい喫茶店 第6回「新橋 パーラーキムラヤ」

北村早樹子のたのしい喫茶店 第6回「新橋 パーラーキムラヤ」

文◎北村早樹子


 わたしには、るみたんという魔女の友達がいる。
 これは比喩ではなく、本当に、職業が正真正銘の魔女。そんなアホな、魔女なんて実在するのか? しかも日本になんて。そうお思いの方もいらっしゃることだろう。それがまさかのまさか、本当に実在するのである。
 魔女というと、老婆が黒いワンピースを着て、とんがり帽子を被って、ほうきに乗って空を飛ぶ、みたいなイメージ。大鍋でぐつぐつと謎の液

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神保町古書街と喫茶店

神保町古書街と喫茶店

本の街・神保町の中心的存在の三省堂書店が来年3月をもって営業を終了し建て替え工事に入るとのこと。新店は2025~6年を目途に竣工予定とか。建物の老朽化は如何ともしがたいけれど、学生時代から何度通ったかわからないあの佇まいが失われてしまうのは寂しくて仕方がない。

神田神保町。神田といえば古書街、といつの頃からか刷り込まれていた。上京したばかりの頃に知り合った方々から「文学部?じゃあ神田の古本屋街に

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