#エッセイ
純喫茶②「カフェ激戦区」蔵前でカフェに行かない理由【シャレード珈琲】
東京都台東区にある下町・蔵前。Googleで「蔵前」と検索すると、上位に出てくるのは「蔵前カフェ」「蔵前カヌレ」などのおしゃれワード。
「東京のブルックリン」とも呼ばれ、ここ数年でカフェだけでなく、雑貨店や革小物屋さん、うつわ屋さんなど、あらゆる角度から「おしゃれ」を詰め込んだ街になりました。
私も散歩でよく行きます。しかし、私が行くのはいつでもどこでも純喫茶。浅草〜蔵前〜浅草橋間を歩きまくり
北村早樹子のたのしい喫茶店 第15回「南千住 coffeeオンリー」
文◎北村早樹子
わたしは大阪のことは嫌いだが、西成のことだけは愛している。西成? となる方もいらっしゃるかもしれないので簡単に説明すると、西成とは大阪にある日雇い労働者の街で、ドヤと呼ばれる簡易宿泊施設が立ち並んでいる、ちょっと特殊な街だ。だいたい一泊500円~2000円くらい。ホテルとうたってはいるが、殆どは日雇い労働者や生活保護のじいさんが住居として使っている。ひと部屋だいたい三畳一間(狭
北村早樹子のたのしい喫茶店 第10回「シルビア 綾瀬店」
文◎北村早樹子
東京に出て来てもう13年が経つ。引っ越しが特別好きというわけではないが、一度家に飽きるともうすべてが嫌になるので、これまでに6回引っ越ししている。その中でいちばん長く住んだのが、足立区綾瀬だ。アパートを2回更新して、結局5年半ほど住んだ。
なんで綾瀬か。綾瀬に引っ越した当初は友人知人に驚かれた。文化的な匂いが全然しない街だというのは知っていた。駅前には大衆酒場とパチンコ屋しか
北村早樹子のたのしい喫茶店 第13回「千駄ヶ谷 カフェ泥人形」
文◎北村早樹子
28歳くらいから生理がこなくなり、最初は楽チンでいいやと思っていたのだが、1年経つとさすがに不安になって、近所の産婦人科に行った。当然妊娠はしておらず。あらゆる漢方薬を出されたが、一向に生理はやってこない。万策尽きたと医者に告げられて、大学病院を紹介された。
そんなわけで、わたしは信濃町にある慶應義塾大学病院に通うことになった。慶應大学病院の産婦人科。噂には聞いていたが、大
北村早樹子のたのしい喫茶店 第14回「目白 珈琲伴茶夢」
文◎北村早樹子
上京してきて、はじめて住んだ街は目白だった。実際には、住所的には西池袋なのだが、池袋のがやがやは苦手なので、目白駅を使っていた。何故、目白になったかというと、当時東京に住んでいる唯一の友人が目白に住んでいたからだ。彼女は後に魔女になる、るみたんで、当時は彫り師の旦那さんと目白駅前の高級マンションに住んでいた。
わたしはその頃、大阪に住んでいたが、2か月に一回ぐらい東京にライ
北村早樹子のたのしい喫茶店 第6回「新橋 パーラーキムラヤ」
文◎北村早樹子
わたしには、るみたんという魔女の友達がいる。
これは比喩ではなく、本当に、職業が正真正銘の魔女。そんなアホな、魔女なんて実在するのか? しかも日本になんて。そうお思いの方もいらっしゃることだろう。それがまさかのまさか、本当に実在するのである。
魔女というと、老婆が黒いワンピースを着て、とんがり帽子を被って、ほうきに乗って空を飛ぶ、みたいなイメージ。大鍋でぐつぐつと謎の液