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【映画評】アスファルト
サミュエル・ベンシェトリ監督の『アスファルト』をアマプラで鑑賞した。おそらくこの映画を観る人の大部分がそうじゃないかと思うが、イザベル・ユペールが出ているという以外の予備知識はまったくなかった。他の役者さん達の中にはヨーロッパで有名な人もいるらしいが、私は全然知らなかった。監督はフランス人で、映画の舞台はフランスのどこか郊外の町にある団地である。
基本的に、分かる人だけ分かればいいというスタンス
【短編小説】ホテル・パンプキア
そう、ホテル・パンプキアの失墜はあまりにも急激で、かつスキャンダラスなものだった。旅行愛好家なら必ずや耳にしたことがあるこのホテルの名声が赫赫たるものだったのは、まだそう遠い昔のことではない。一流のファッション誌にして旅行誌であるT****誌の格付けでは、2007年、2011年、そして2015年と三回にわたってこのホテルが「世界でもっとも美しいホテル」に選出されたし、もちろん、そのことを知らない
もっとみる【映画評】エム・バタフライ
デヴィッド・クローネンバーグ監督が『戦慄の絆』『裸のランチ』に続いてリリースした、1993年公開のフィルム。この当時私は心からクローネンバーグに心酔していて、その彼が「マダム・バタフライ」に想を得た映画を作ると聞いて大興奮したものだ。あの、悲恋のオペラ「蝶々夫人」、プッチーニの「蝶々夫人」。そのエキゾチズムとメロドラマの美しきオペラを、クローネンバーグが解釈して映像化する! しかも主演は『戦慄の絆
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