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#傷心

【詩】上塗り

【詩】上塗り

他の痛みや苦しみで

上塗りしている間ですら

微かに安らぎ感じるほど

独りでいることが怖いんだ

ちょびっとの悲劇(93日目)

【詩】気付けばまた

【詩】気付けばまた

期待をすればするほど

希望を持てば持つほど

それが無意味だった

そう知ったときが

余りにもつらくて

だから願ったりしたくないのに

気付けばまた

君のことを待っている

ちょびっとの悲劇(95日目)

【詩】配色

【詩】配色

本気を出していたって出していなくたって

僕が生きていたって生きていなくたって

周囲は何も変わらず周り続ける

世界の色付きは僕の配色なんて覚えていない

それでも君だけの

君だけを作るひとつの色に

もしかしてなれていたなら

それだけでいい

僕はそれだけでいい

生きていたんだって

そう思えるんだ

ちょびっとの悲劇

【詩】死にたがりの涙

【詩】死にたがりの涙

手当たり次第の愛を投げ捨てて

足当たり次第の心を蹴飛ばした

なんにも見えなくなった網膜に

忘れたはずの笑顔がこびりついて

死にたがりの涙が

靴も揃えずまぶたの縁を蹴るんだ

ちょびっとの悲劇

【詩】投げ掛けているんだ

【詩】投げ掛けているんだ

隣にいることがあまりに幸せだった

君を失ったことは 喜ぶべきことだったろうか

去っていく姿に胸がひどく痛んだ

君と出会えたことは 悲しむべきことだったろうか

どんなものより大切な人を失くして

その中で確かに大きくなったこころ

からっぽになったところであの日々は

目が痛くなるような輝きを

けれど淡く優しい光を

当然のように投げ掛けているんだ

ちょびっとの悲劇

【詩】みんな放り投げることができたなら

【詩】みんな放り投げることができたなら

僕がかけらしか持っていないものを
君は抱えるほどに持っていたから

君がひとつまみしか持てないものを
僕は両手いっぱいに持つことができたから

そうやって並んでいられることを
当たり前のように感じていたんだ

それなのにいつしか少しずつ
君の持ってもらいたいものが
なんなのかわからなくなっていた

だから君の涙だってもう
ほかのものでいっぱいになった
この手じゃ拭うこともできない

それをみんな放

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【詩】こぼれる涙だけが

【詩】こぼれる涙だけが

君へ思いの丈を告白したことも

握ったその手のひらの温かさも

記憶の内側から消えてしまえばいいと思った

ぬくもりなんて知らなければ

こんな苦しみを感じることはなかっただろう

君の温かさがあった手の内には

もうなにひとつとして残っていないから

心が冷たく苦しくなってゆく中で

こぼれる涙だけが妙にあついんだ

ちょびっとの悲劇

【詩】君の心はあたたかい

【詩】君の心はあたたかい

どこか知らないところにいる

君の心はあたたかい

今ではもう記憶でしかない

君の心はあたたかかった

どこかの知らない誰かに向けられた

君の想いはあたたかい

今でもここからなくならない

君への想いが苦しいんだ

ちょびっとの悲劇