見出し画像

【散文詩】『きれいごと』

『きれいごと』赤黄緑紫

眩んで見えない 夜の浜辺で 波の音に翻弄される、お母さん。お母さんの本当の気持ちを 教えてくださいーーー言うてくれていいよ、お母さんは お母さんという窮屈な部屋の中で もう居たくないって。それは自然なこと、それは懺悔することでも罪でもない。そのことに花丸を贈るため咲いた路端の蒲公英(たんぽぽ)。
花を綺麗というたお母さん、お星も蝶々も綺麗と言うてくれたお母さん。あんな得体のしれん“バッタもん”綺麗というてくれた、だのに お母さん自身の本当の気持ちを綺麗と言えないのは、何故ですか。花も星も蝶々も全部単なる=うんこ=なのに。
自然の自然な態度を美しいと定義してもいい未来を可哀想なお母さんのために私は作りたいよ。お母さんが罪だと思ってきた幾許を許してあげたい、星空を見上げ固ったい“うんこ”しながら心に誓う。
津波が覆いかぶさる、だけど平気 自然とはそういうこと 私も母親になって 同じ気持ち 報われるべきだった、灯台の様に。吃驚(びく)ともしてはいけないという貴い気持ちなど糞くらい。せっかく言葉を手に入れたのに 言うてくれていいんよ、こんなしんどい汚水の中でも息をしてきたお母さん、もう嘘をつかずに綺麗事を言わずに噎(む)せて泣いていい、私のために我慢してくれた総てが浜辺に打ち明けられた貝殻の屑になって寄せてきている それを阿呆みたいに拾う ただ阿呆みたいに綺麗綺麗言うて でも貝殻なんて綺麗でもなんでもないやん 見てみ横、うんこ/////落ちとる//よ。
それくらいの世界になんでお母さんと私は生まれてきたんやろう 濾過されてきた今は全部阿呆な存在、何一つ綺麗なものはない お母さんも私も阿呆や、格好をつけても意味がないよどうせ明日には=うんこ=するもん。
地平線は実をいうと何も見ていないー
無意識故に 綺麗に見える、ただそれだけ。地球に始めて来た宇宙人みたいに、恐る恐るゆーっくり地上に足を伸ばす、酸素を吸って太陽を浴びて暫くの間辺りの様子を伺って呆然とするーそして差別なく皆を優しく包み込むー。それこそがーうんこ、なんや
さあ、すべてを水に流し
出てゆこう、新しい世界への扉をひらいて。

あかきみどりむらさき
2024ねん

この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?