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2020年4月の記事一覧
Automatic。
スタイリストの補助をしていた頃。
衣装を運び込む作業の途中で、
ある女性と少女を見かけた。
少し手前で止まり、通路を譲った。
二人は、ドアを開けられて、入室して行く。
小柄ながら、背筋の伸びたスタイル
あの強い眼差し。自分の親世代。
リアルタイムには知らないけど、有名な歌手だと
いうことは分かっていた。
その後ろから、線の細い、大人びた少女が、
戸惑いを隠せないような雰囲気で付いて行く。
プレゼンテーション。
「ごめん…横浜から寝過ごして、降りる駅を乗り過ごした」とメールが届いて、
素直に、もう少し待ち合わせ気分を楽しめると思った。
待たされたって構わない。
『慌てずにゆっくりどうぞ』と返信し、携帯を手に握ったまま、(このまま時が止まってしまえばいい)
と本気で願った。
始まりは、波打つ。どうして鼓動を敏感に感じて、
切ない思いが生まれて、全身で高揚するのだろう。
抑えようとしても、跳ね返され、勢い