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プレゼンテーション。

「ごめん…横浜から寝過ごして、降りる駅を乗り過ごした」とメールが届いて、
素直に、もう少し待ち合わせ気分を楽しめると思った。
待たされたって構わない。
『慌てずにゆっくりどうぞ』と返信し、携帯を手に握ったまま、(このまま時が止まってしまえばいい)
と本気で願った。

始まりは、波打つ。どうして鼓動を敏感に感じて、
切ない思いが生まれて、全身で高揚するのだろう。

抑えようとしても、跳ね返され、勢いよく身体の中心に戻って来る。

SL広場は、いい感じに夕方から夜に落ちこんで、時が週末へスタートした賑やかな解放感に道行く人を包んでいる。
明日は休みなんだから、一目も時計すら見ないで、

今この時を、あの人と過ごせる。

終電すら乗り遅れたとしても構わない。

前日に塗り直したペディキュアと、素足から程良く透ける繊細な甲を覆う官能的なヒールで、歩きながら…改札口まで、ゆっくりと、気持ちは急ぎ足で歩く。

フューシャーピンク色のサンダルなんて、浮かれているのもいいところ。
でも、パンツスーツだから許されるはず。

あの人が改札から、手を振って、
真っ直ぐに歩いて来るのがみえる。

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#繊細なヒールサンダル #官能的は足元から

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