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眠れない夜のラブレターたち

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本人に知られたら恥ずかしいわたしの弱みたちです。
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記事一覧

さよならの代わりにはしないけど。

さよならの代わりにはしないけど。

「もう酔っ払った私からの電話に出たらだめだよ」
おどけて言ったそのセリフがすべてだった。
身勝手この上ない話だが、
ずっとずっと一緒にいると思っていたのは私の方だったから
私は自分の倦怠機という心変わりをなかなか受け入れられなかった。

note上で20本近くのラブレターを書き、便箋上で40通以上のラブレターを書いた恋は
10数分の穏やかな穏やかな電話で終わった。
暑い暑い夏の夜だった。(最近まで

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醜い感情の正体は。

醜い感情の正体は。

深呼吸をした。
なんならドラマチックに目もつぶった。
それでも止められなかった。

「ねえ、その子恋人いるんだっけ」

私のプライドが敗北した瞬間だった。
その答えはわかっていたし、そしてそのわかっている答えが私たちの間に亀裂をいれることもわかっていたのに、どうしても聞かずにはいられなかった。
大げさな深呼吸も、まばたきも私を止められやしなかった。

「それって関係ある?」
という予想通りの彼の答

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お寿司の記憶

付き合うまでに食べたご飯は3回とも全部お寿司。1回目はカウンターだった。
食べる姿なんて全然気にしなくてよかった。セーフ。

だから2回目を油断した。テーブル席だった。箸の持ち方もおぼつかなくなるくらい緊張した。(大抵)ひと口(もしくは、ふた口)サイズで、たこ焼きみたいにアツアツトラップもないのに、全然口を開けられなかった。

彼が食べるタイミングや食材を見るタイミングを見計らって口に入れていた。

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こんな真夏にマフラーなんて

こんな真夏にマフラーなんて

気温35℃。
私の頭の大部分を占めているのは、マフラーだった。
イライラした気持ちがくっついているから体の外側だけでなく内側までカッカと火照っているのに、頭の中には私を包むもふもふのマフラー。
いや、もふもふかどうかはわからない。
私の頭の中にいるのは、私が見たことも触ったこともないマフラーだから。
見たくも触りたくもないマフラーだ。

彼氏が元カノにプレゼントしてもらったマフラー。
彼はそれが捨

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彼はまいぴろう

彼はまいぴろう

驚いたことに、頭はすっぽりとおさまった。
太古からそこに私の頭が入ることが決まっていたみたいで、私はとても安心して眠りにつくことができる。

眠れない夜、いつも彼氏の肩の感覚を思い出す。
隣で眠るときに、いつも頭を乗せていた肩の感覚を。
腕枕ではなく、肩枕。
どうやら想像力が豊からしい私は、それだけで自分を眠りに誘うことができる。とてもおめでたいやつだ、と自分でも思う。

昔やっていたスポーツのお

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「そんなことないよ。」の温度

「そんなことないよ。」の温度

君からのやさしさを最も感じられる言葉は、「そんなことないよ」だ。

「好き」「だいすき」「かわいい」「楽しい」「会いたい」などなど
たくさんの肯定の言葉をもらって、それを養分にして私は毎日をすくすくと生きているのに、1番を選ぶなら「そんなことないよ」という否定の言葉になる。

それにはきっと温度が関係している。

君からの愛や肯定の言葉を疑っているわけじゃないけれど、好きの温度は一緒にいた時間が長

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君といたい理由

君といたい理由

ひとりでも3食きちっとご飯は食べられる。
朝になったら目が覚めるし夜は明日のために寝る。
洗濯もできる。
掃除機もかけられるしなんなら大掛かりな掃除にだって取り組める。
近所のスーパーへの買い物へも、ちょっと街なかへのショッピングにも行ける。
明日の準備だって今日の反省会だってこなしている。
たぶん、わたしはなかなかひとり暮らしができている。

でも、スーパーへの道々ですれ違う車のナンバープレート

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君と食べられないもの

君と食べられないもの

自分ルール。好きなものに嫌いなもの。頭の中にはいつだっていくつものリストがある。
その中で群を抜いてつらつらと項目が並んでいるのが「好きな人と食べられないもの」のリストだ。

・まず圧倒的に麺類。
 特にパスタ。
 巻き方の正解が未だによくわからん。
 高校のときに友達に、サイゼリヤで指導してもらったのに、スプーンとフォークを使った巻き方をマスターした頃には、周りはスプーンを使わない巻き方を習得し

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君との境界線

君との境界線

「あのねえ」と彼が言った。
あ、諭される。と私は思った。
何ヶ月かに1回私は年下の恋人に諭されている。内緒だけれどそれは少し心地良い時間でもある。
恋人とはなんなんのかを考える時間でもある。

彼は滅多に怒らない。滅多にというと何回かはありそうな感じがするが、脳内全部をひっくり返しても彼に怒られた記憶は出てこない。反対に私が怒った記憶はぼろぼろこぼれ落ちた。
でも私は最近気がついた。
私の「怒り」

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君のこころのどこにいたいか。

君のこころのどこにいたいか。

「僕のこころの中心にいる」
付き合い初めて半年がすぎる頃、君はわたしのことをそう言った。なんだか複雑だった。どちらかといえばあんまり嬉しくはなかった。

こころの中にいるのは、「理想のわたし」や「過去のわたし」のような気がする。
まだまだ君のこころの外側の存在でいたかった。

1年と少しが過ぎたけど、まだ外側の存在でいたい。目の前のわたしを見てほしい。
だって、内側にいたら抱きしめることもできない

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君に夢中で君のとりこで、

君に夢中で君のとりこで、

わが家にアラジンがやってきた。
それは空飛ぶ絨毯ではなく、配達日指定のゆうパックでやってきた。
こんな誰もが何回でも思いつくような言い回しを恥ずかしげも惜しげもなく使ってしまう。
つまりわたしは浮かれている。
24時間で6枚切りの食パンを6枚とも全部食べた。
これが浮かれているんでなかったらなんなのだ。

QOLという言葉を猛烈に感じている。家庭科で学習したあと、とんとお目にかけなくなった言葉。去

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私にとっての花束は誰で、何なんだろう。

私にとっての花束は誰で、何なんだろう。

約1年前に見た映画の感想が、メモに眠っていた。映画の感想というよりは、彼氏との思い出の殴り書きのような眠り方だった。

恋愛ものの創作物は、自分の置かれている環境によって感想が変わる最たるものだと思う。一般的にはどうかわからないが、少なくとも私はそうである。

どんな状況のときにどんな気分になるかはここでは割愛するが、これからは彼氏と恋愛映画を見るのはよそうかなーと思った。
今が幸せであればあるほ

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水族館問題と四色問題と。

水族館問題と四色問題と。

どうやら彼氏は水族館が好きらしいぞと気がついてから、デート場所に水族館を選ぶようになった。
疲れた心を癒すのは、睡眠と甘い物と彼のにこにこわくわく顔だ。
魚を見て、魚に夢中な彼を見て、無粋に夜ご飯のお寿司のことを考えたりするそんな時間がわたしも結構好きだ。
でも困ったな。水族館には限りがある。

なんだか自分の投稿を見返して、思った
「君の指は、『か』と『れ』と『し』にしかフリックできないのかね」

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このラブレターは800字

このラブレターは800字

#片思いのラブレター

気がつくと君がいない世界線で君ではない誰かが隣にいる。その人と手を繋いで歩きながら、反対の手でもやもやを抱えている。
わたしこの人じゃない人と幸せになるはずじゃなかった?わたしもっと違う人と一緒にいるはずじゃなかった?
あれ、この人でいいんだっけ?違う人だった気がするのに。
だめだ。だめだ。助けて。助けて。誰かわからないけれど絶対にわたしを助けてくれる「誰か」に助けを求めな

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