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君と食べられないもの

自分ルール。好きなものに嫌いなもの。頭の中にはいつだっていくつものリストがある。
その中で群を抜いてつらつらと項目が並んでいるのが「好きな人と食べられないもの」のリストだ。

・まず圧倒的に麺類。
 特にパスタ。
 巻き方の正解が未だによくわからん。
 高校のときに友達に、サイゼリヤで指導してもらったのに、スプーンとフォークを使った巻き方をマスターした頃には、周りはスプーンを使わない巻き方を習得していた。とほほ。
あと、麺類はスープやソースが最も服に飛び散りそうな点でも避けたい。

・ハンバーガー
 口を大きく開けてがぶっとするのは恥ずかしい。かといって小さくかじると反対側から中身が溢れ出しそう。ナイフとフォークでハンバーガーを切り分ける文化はまだ私のところまで届いていない。

・たこ焼き
 ひと口サイズなのに、ひと口で食べたら口の中が死んで無様な姿をさらす未来しか見えない。

・焼肉
 どっちが焼くかで悶々としそう。任されるのは荷が重いけれど、任しっぱなしもなんだかそわそわしてしまう。あと部位の好き嫌いが分かれそう。

・中華
 小籠包などなどこれまた食べ方の正解がわからんものが多い。

・焼き鳥
 串から外す?外さない?前者は最後の何個かが難しい。後者は力の入れ具合が終始難しい。

・焼き魚
 妹は修行してきたんかってくらい綺麗に食べる。同じ家で育ったのに私は……。

・ピザ 
 手で?フォークで?折るの?巻くの?切るの?

・ナイフとフォーク使う系
 いや使えるのよ。でもできれば避けたい。

・もうなんか取り分ける系
 正解の量と形式を教えてくれ。あとタイミング。というわけで、「サラダ取り分ける系女子」とかは幻なんだ。一人で完結する料理を頼もうぜ。

などなど、たくさんある。
母だけでなく祖母にまで笑われた。付き合ったり結婚したりしたら、いや、しなくたって、過ごす時間が長くなることを望めば食事の場面は多いのにそんなに一緒に食べられないものがあってどうするんだ、と。

食事の場面が多いから食べられないのだ。
食の好みとか食べ方とか、「食」が合わない人と人生の一部も全部も一緒に過ごすことを思い浮かべられない。だから好きな人との食事にはより慎重になる。付き合ったとしても。

幸い恋人は、私のリストを「いつかは食べるリスト」にしてね、と笑って受け入れてくれた。
そして1年と半年を迎えた今、なんと麺類以外はほとんどコンプリートした。
「なんと」というようなほどでもない。
リストに全く抵触しない物だけ食べ続けるのにも飽きてくる。

恥じらいがなくなったわけじゃない。
好きの気持ちが減ったわけでもない。
なんでかな。
君が、私の食べ方が好きだと言ったからかもしれない。
なんにせよ、金科玉条のはずのリストを少し折りたたんでもいいくらい君とのご飯はおいしい。

とは言いつつも、まだ麺類は君と食べられないから、いつかのパスタの食べ方の先生に、また指導をお願いするかもしれない。


 




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