マガジンのカバー画像

気になる中国

67
中国、台湾などでの取材経験を経て、今は国際ニュース発信に従事。現地の人たちとの交流を通じて知ったこと、考えたこと、また、言葉や、溢れかえる中国情報の中から、「私が気になる中国」を…
運営しているクリエイター

#海外

女性だけわざわざ(女)と書く発想とは?

女性だけわざわざ(女)と書く発想とは?

追悼で、ウェブサイトが「白黒」に

今、中国の公的機関や新華社などのウェブサイトを開くと、どれも同じ「白黒の世界」が広がっている。昨日死去した江沢民元国家主席への追悼の意味らしい。

サッカーワールドカップの記事の写真も白黒に。

ずっと同じ画面で「偉業」を讃えるTV

昨日、死去のニュースを伝えるCCTVの夜のメインニュース「新聞聯播(xinwen lianbo=シンウェンリエンボー)」。ひたす

もっとみる
赤ちゃん産んだら「坐月子(ズオ・ユエズ)」

赤ちゃん産んだら「坐月子(ズオ・ユエズ)」

「坐月子(zuò yuèzi ズオ・ユエズ)」という中国語をご存じだろうか。

日本語で言うと「産後の肥立ち」にあたるのだろうか。女性が出産後、1ヶ月にわたって身体を休めて養生する中華圏独特の「産後ケア」の伝統習慣だ。

私も実際に知らないので色々調べると、「これはダメ、あれもダメ」と1ヶ月間にわたって生活上の制約が加えられることが書かれていて、とにかく1ヶ月静かにしていなさい、というもののようだ

もっとみる
未明の成田空港 中国便に、あの「"ぶっ飛び防護服”の乗客」は、もういなかった。

未明の成田空港 中国便に、あの「"ぶっ飛び防護服”の乗客」は、もういなかった。

先日、まだ空が白み始める前の午前3時半すぎに、成田空港を訪れた。中国東北部に帰る友人を見送るためだ。LCC(格安航空会社)専用の第3ターミナル。外は真っ暗で、ひっそりと静まり返って、人影もない。

フライトは7時半すぎ。「こんなに早く、4時間近く前に来る必要もなかろう。」私はそう言ったが、友人は「いや、中国人は並ぶのがいつも早いから」と言う。

果たして。プレハブのようなつくりのターミナルに足を踏

もっとみる
「民族の伝統」”だから”、席を譲る!?

「民族の伝統」”だから”、席を譲る!?

中国にいると、ちょっとした看板に書かれた何でもない言葉でも、ものすごく違和感を覚えることがある。”政治体制の違う異国”にいるのだとわかってはいるものの、普段目にするものは日本ともそんなに違わないので、すっかり馴染んでいるが、あらためて日本とは全く違う発想で書かれたものを見ると、「おー!ここまで考え方が違うんだ」と、驚かされることが多いのだ。

ちなみに、昔noteの記事で紹介した、街でよく見るスロ

もっとみる
中国当局"御用達" いつもの四字熟語

中国当局"御用達" いつもの四字熟語

ニュース関連で中国外交部の記者会見を見ていると、実に多くの四字熟語、故事成語が出てくる。バシッと「成語」でキメられると、格調高く響き、短い言葉で的確にニュアンスが伝わる。

しかし、それはネイティブや中国語に堪能な人向けだ。生半可な中国語の知識ではすぐに音から分からず、慌てて辞書を引くこともしょっちゅう。外国人泣かせだ。

しかし、いつも見ていると、気がついた。
使われる成語って、結構決まってるじ

もっとみる
”人民”ならクスッと笑える、”間接”政治風刺

”人民”ならクスッと笑える、”間接”政治風刺

「中国で政治風刺はできない」 -- そう思っている人はほとんどで、特にそれが中央政府を批判したものであった場合は、実際そうだろう。しかし、中国の人や中国通の人に言わせると、「みんな結構うまく風刺を楽しんでいる」というのだ。

先日、中国人の友人が以下のようなSNSの投稿を見せてくれた。

「最新消息(=zuìxīn xiāoxi=ズイシン・シャオシ=最新ニュース)」という仰々しいタイトルが目を引く

もっとみる
上海から届いた一枚の「風刺画」

上海から届いた一枚の「風刺画」

先日、中国・上海から、一枚の風刺画が届いた。

きっかけは、中国の「”官製”風刺画」への違和感を書いた私の記事。

上海ロックダウンを生き延びながら、いつも「幽默(yōumò=ヨウモー=ユーモア)」たっぷりに、中国の生の情報を知らせてくれる、「けんいち★人民熊猫1号」さんに、「いつか、けんいちさんの風刺画が見てみたい」とつぶやいたら・・

なんとその直後、本当に描いてくださったのだ! 
こちらをぜ

もっとみる
権力が描く、官製「風刺画」!?

権力が描く、官製「風刺画」!?

「風刺画」と聞いて、どんな絵を思い浮かべるだろうか。私が人生で初めて意識した風刺画は、やはり、あれ、かなあ。

アメリカ人とイギリス人が、彼らより一回り小さな軍服姿の日本人の背中を押して「お前が行けよ」と。その先には、どっかりと座っているロシア人。彼が焼いている「火中の栗」を拾えと迫られている、あれ。世界史の教科書で誰でも一度は見たことがある超有名なやつだ。

日本に住んだフランス人のビゴーという

もっとみる
「上海ロックダウン」と「米中戦争」の関係とは?

「上海ロックダウン」と「米中戦争」の関係とは?

どこまでエスカレートするのか、「上海ロックダウン」をめぐる大混乱。住民が警察や党の幹部に抗議をする動画が、中国のSNSに次々アップされては即座に削除されているが、ある動画の中での警察官の発言に、私は、あまりの違和感に自分の耳を疑った。何度も聞き直したが、確かに次のように言っている・・・

抗議する市民の女性と揉み合いになった警官が、女性の顔に人差し指を突きつけてこう大声で怒鳴るのだ・・・

ん、ん

もっとみる
日本で中国人に「中国の印象はどうですか?」と聞かれたら・・・

日本で中国人に「中国の印象はどうですか?」と聞かれたら・・・

新大久保の散策は面白い。

かつては、といっても、自分が青春時代の頃だが、新大久保=韓国人街だった。今では駅の西側は中国人、そのもっと西はネパール人、北側はムスリムが集まっているようだ。そして最近はベトナムの店の増加が顕著。アジア各国の食を味わい、珍しい食材も買い揃えることができる。ちょっと怪しさもありながら、こんなにエネルギッシュな街もないと思う。

その日、中国系スーパーで食材を買った。店員も

もっとみる
「要物資!不想餓死!(物資をくれ、餓死したくない)」 上海で一体何が起きているのか!?

「要物資!不想餓死!(物資をくれ、餓死したくない)」 上海で一体何が起きているのか!?

けんいち🎈人民熊猫1号さんを始め、何人もの方がnoteでも現地からリポートされている、ゼロコロナのための「上海ロックダウン」。一体、今、何がどうなっているのか?

現地からSNSで届く映像では、夜の高層マンション街で、住民たちが一斉に窓を開けて、「要物资!(yào wùzī ヤオ・ウーズー=物資が欲しい)」と大声で叫び合い、その声が大合唱になって、夜空に響き渡っている。

さらに、大勢の人が集ま

もっとみる
惨劇で世界が震撼した日、中国では? 〜定点観測・「中国」のウクライナ報道〜

惨劇で世界が震撼した日、中国では? 〜定点観測・「中国」のウクライナ報道〜

住民虐殺の映像が世界に溢れる日、中国では?
ウクライナ情勢をめぐる国内外の報道。ここ数日、いくらモザイクをかけても、心への負担を軽減できない、あまりに残虐な映像で溢れている。人間の心には防衛本能があるようで、最近は戦場の映像を見ても、慣れて、以前ほどの衝撃を受けていないような気がする。しかし、今回の映像だけは、もうその防衛本能も何の役にも立たないほど残虐で、無意識のうちに、心が悲鳴をあげているよう

もっとみる
どこまでいくの!? 中国「清零(=ゼロコロナ)」のリアル

どこまでいくの!? 中国「清零(=ゼロコロナ)」のリアル

次のネタは、中国の「清零(qingling=チィンリィン=ゼロコロナ政策)」にしようと思っていた。しかし、けんいち🎈人民熊猫1号さんの記事を読み、書けなくなってしまった。

だって、あまりに凄すぎるから。あまりに恐怖映画の様なリアルストーリーに、中途半端なことは何も書けなくなったのだ。

記事によると、けんいちさん、朝の四時にいきなり家のドアを叩かれ、開けると防護服の人にPCRされ、いきなり「明

もっとみる
中国の人は、どんなウクライナニュースに触れているのか?

中国の人は、どんなウクライナニュースに触れているのか?

夜のTVニュースでは・・・
日に日に凄惨さを増すばかりのウクライナへの侵攻。中国政府はロシアを批判しないスタンスを貫き、むしろこれまで以上にアメリカ批判を強めているが、実際中国国内では、この戦争はどう報じられているのか。どうせロシア寄りだろうとは誰でも想像するが、実際どんな感じなのか、チェックしてみよう。

まずは、TVニュースの代表格、国営放送CCTVの午後7時の「新聞聯播(Xinwen Lia

もっとみる