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未明の成田空港 中国便に、あの「"ぶっ飛び防護服”の乗客」は、もういなかった。
先日、まだ空が白み始める前の午前3時半すぎに、成田空港を訪れた。中国東北部に帰る友人を見送るためだ。LCC(格安航空会社)専用の第3ターミナル。外は真っ暗で、ひっそりと静まり返って、人影もない。
フライトは7時半すぎ。「こんなに早く、4時間近く前に来る必要もなかろう。」私はそう言ったが、友人は「いや、中国人は並ぶのがいつも早いから」と言う。
果たして。プレハブのようなつくりのターミナルに足を踏み入れて、驚いた!
どの航空会社のカウンターもまだ開いてはいないが、ハルビンに向かう春秋航空の前には、すでにもう何十人が長蛇の列を作っていた。やはり、そうだったか。
確かに中国人は日本では一般に、列に割り込むなどというイメージを持たれがちだが、空港などでは、いつもやたら早く来て、黙って素直に並んでいるのをよく見かける。
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中国入国の条件は、この7月から緩和された。
これまでホテルでの隔離2週間+自宅での健康観察1週間だったが、隔離1週間+健康観察3日に、つまり半分以下に短縮されたのだ。
ホテル滞在1日につき500元=約1万円ぐらいが取られるので、この短縮はめちゃくちゃ大きい。この会社もLCC=Low Cost Carrier なのに、友人が買ったチケットは、なんと片道だけで25万円近くもしたという! 2時間半しか飛ばないのに、その値段。ヨーロッパにでも行くかのような。(おっと、2時間半ではなく、ロシアの戦争の影響で航路が変わるため一時間以上到着が遅れるとの通知も、直前に来たという)
私も異国に少し暮らしたことがあるので、わかる気もする。やはり祖国には、いくらお金を払っても、隔離されても、どんなに不便でも、帰りたくなるものだと。
こんな早朝から並んでいる人たちは、一様に顔が晴れやかだ。
中国入国には、2回のPCR検査の結果などを登録した健康アプリで「青信号」を点灯させておく必要や、税関用でスマホへのデータ入力なども必要。あまりに複雑なため、並んでいる人たちの中には、出来ていなくてどうしてよいかわからない人も続出していたが、ここは中国人の良いところ。隣の人が、親切に、根気よく代わりにデータを打ち込んであげたりして、助け合っていた。
中国の人は、日本人に比べて、個人が独立した感じをあまり受けないのだが、その代わり、結構助け合いの精神がある気がする。残念ながら日本ではあまり認識されていない気がするけれど。(また、もたれ合いによる、トラブルや面倒くささもあるけれど)
ちなみに、「清零qīnglíng=チィン・リィン」=「ゼロコロナ」の地、中国への入国前の検査。これも簡素化された。
以前は・・・1週間前のPCR検査、2日前のPCR検査、そして1日前のPCR検査に、さらに半日前の抗原検査、という、とんでもない!規則だったが、7月からは最初と最後がなくてもよいことになった。
(それにしても、この検査数。しかも、中国大使館指定のクリニックでの検査しか認めないとして、大使館のHPにクリニックのリストがある。それって・・・何か嫌なものを想像してしまう自分は、考え方が汚れすぎだろうか。また、日本のクリニックが院内の一室を貸して、そこで中国人が運営しているものも多いようだ。そういう意味では日本のクリニックも関わっている。)
・・・・友人は、無事笑顔で久しぶりの祖国に旅立っていった。
ところで、”そこまでしてでも、祖国に帰りたい”と言えば、去年の1月のこと。
私は、同じ理由で、この同じターミナルに、そして今回よりは遅かったけれども早朝に来ていた。
その時に見た風景には、度肝を抜かれた!!
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なっ、なんだ、この人たちは!?
何かのキャンペーンの着ぐるみ!?
結構多くの人が、今中国のスラングで言うところの「大白=ダーバイ」や「白衛兵=バイ・ウェイ・ビィン」のような防護服を来ていたのにも驚きだったのだが、なかでもこの人たち、一体なんなん?
これって、手作りの防護服!?出来合いの製品!?
上半身が全部覆われてしまっているぞ!いや、防護“服”ではないな。この中で動けるのだから。防護テント?防護被りもの?みたいな。
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うわあ、この女の人は、このビニールの中で、赤ちゃんを抱っこしているのが見えるぞ!窒息しない?大丈夫か?
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ここまでしたら、さすがに、ウィルスも入りようがないだろう。
でも、トイレ、どうすんの? あっ、上半身だけだから大丈夫か。
そもそも呼吸は大丈夫?
そして、何より、この大きさ!
肩のところ、ツンととんがってすごいことになっているが、ただでさえ狭いLCCの機内で、どうすんの!? いや、本人よりも、横の席の人どうすんの?あっ、これじゃ機内のトイレのドアも通過できないよ。
それにしても、そこまでしてでも、祖国に帰りたかったのか・・・
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彼らと一緒の飛行機に乗った友人によれば・・・
この人たち、トイレも行かず、ずっとこのままで、着陸まで座ったまま、だったという。こんないかつい格好で「となりの席の人、超迷惑」と言ったが、「誰も文句言ってなかったよ」とのこと。でも、この“防護被りもの”の中の赤ちゃんは、ずっと泣きっぱなしだったという。そりゃそうだろう。
どないなってんねん!? まあ、そりゃあ子供をウイルスから守るためとはいえ・・・
そこまで、やるか。そこまでして国に帰るか・・・
ものすごいアドレナリンの量だ!
人民熊猫健健さんが、いつも記事を「中国って面白い!」って言って締めるのが
わかる気がした。😀
・・・と、回想から現実に戻ると、
どんどん他の航空会社の乗客も集まり、賑やかさを増してきた。まだマスクはしているものの、乗客は誰も(もちろん)防護服を着ず、談笑している。普段の空港に戻るまで、あと少しだ。
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今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
AJ 😀
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