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TABLO連載【加筆修正】

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ニュースサイト「TABLO」に連載をした過去記事に加筆修正をしてまとめています。
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#機能不全家族

DVが生むのは反撃じゃなく自己肯定感のなさ 祖父に暴力されたわたしは他人に暴力をふるわない

DVが生むのは反撃じゃなく自己肯定感のなさ 祖父に暴力されたわたしは他人に暴力をふるわない

怒りよりも先にあるもの港区南青山に、児童相談所と母子シェルターなどの施設が入る「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の建設が予定され、さまざまな声があがっています。

テレビでは影響力のあるタレントさんが、「親に暴行されて『キーッ』となってる子が外にボーンと飛び出して、暴力をふるったりカツアゲしたりするかもしれない」といった発言をされました。



その発言を知ったときには、正直、「はあ? まじ

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都合がいい他人同士だからこそできること。酔っ払ったおじさんが忘れた『男はつらいよ』のこと

都合がいい他人同士だからこそできること。酔っ払ったおじさんが忘れた『男はつらいよ』のこと

わたしだけが覚えている、『男はつらいよ』「はい、今日はもうおしまい。この一杯で帰ってね」

小さな居酒屋さんで、店員さんから席を立たされたおじさんを前に、わたしは、「仕方ないなぁ」と焼き鳥の串を手にとりました。

そのおじさんはさっきまでわたしに、『男はつらいよ』の寅さんがいかにかっこいいかを熱心に説明していました。「寅さんは、ちょっと俺みたいなところがあるな」と笑うおじさん。わたしは寅さんシリー

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自分が世界から不在になりたかったころ

自分が世界から不在になりたかったころ

自分の不在を求めていた夏になると流れてくる、幼いころの夏休みの思い出や切なすぎる恋愛の歌を聴いてると、ぶわーっと風景や情景が浮かび、「ああ、この気持ち、懐かしい…エモい…」と思い出して泣きそうになるのですが、ふと考えてみると、それは全て実体験でもなければ実写でもなく、今まで見てきたアニメやマンガの風景だということに気がつき、愕然としました。

思えば、これまでわたしは、世界に対して自分の不在を求め

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わたし、おかあさんになれない

わたし、おかあさんになれない

わたし、おかあさんになれない「子どもが欲しい」と思えたことがない、ということが、わたしの一番大きなコンプレックスです。

SNSで #あたしおかあさんだから というタグが作られ、さまざまな意見が飛び交いました。このタグは、絵本作家さんが書いた「あたしおかあさんだから」という曲の歌詞への意見としてはじまりました。
これから書く文章は、この曲についての分析や批評ではないので、歌詞に興味のある方は検索を

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わたしたちは人を殴らず誰も殺さずとも生きていける

わたしたちは人を殴らず誰も殺さずとも生きていける

怒りのフラッシュバック人の死や、心ない言葉、悲しいできごとのフラッシュバックのほかに、受けた暴力や罵倒に対しての「怒りのフラッシュバック」にすっかりやられてしまうことがあります。

わたしは、DV家庭で生まれ育ったので、人が声を荒げたり暴力をふるおうとする場面に遭遇すると、体調によっては昔のことが全部ぶりかえしそうになります。そんなタイミングで連日続くお相撲の「かわいがり」という名の暴力ニュースを

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家族の愛憎は、決して美しいものではない

家族の愛憎は、決して美しいものではない

自分の家のおかしさに気づくきっかけ『ドラえもん』や『セーラームーン』と同じようにSFマンガだと思って見ていた『ちびまる子ちゃん』がエッセイマンガだと知ったときの衝撃は忘れられません。

もしかして 、他の家は家族団らんの日常を過ごしているのか……!?

わたしは、いわゆる家庭崩壊のテンプレのような環境で育ちました。

性格に難アリの酒乱男性が2名いた家は、家族が揃えば大声でのケンカがスタート。DV

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