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TABLO連載【加筆修正】

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ニュースサイト「TABLO」に連載をした過去記事に加筆修正をしてまとめています。
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#アダルトチルドレン

ふっと意識が自分だけになる「自分スイッチ」

ふっと意識が自分だけになる「自分スイッチ」

ふっと意識が自分だけになる「自分スイッチ」思えば、小学校のころからそうでした。

「2組の転校生、なまってるけどかっこいいよね」「音楽の先生、すぐ怒るし、むかつかない?」「新しい文房具屋さん見つけたんだよ」

近所の女の子たちと、集団登校で盛り上がっている途中、なにげないことをきっかけに、たとえば道が日陰から日向になるとき、アスファルトがふっと明るくなったあの瞬間に、「自分スイッチ」のようなものが

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都合がいい他人同士だからこそできること。酔っ払ったおじさんが忘れた『男はつらいよ』のこと

都合がいい他人同士だからこそできること。酔っ払ったおじさんが忘れた『男はつらいよ』のこと

わたしだけが覚えている、『男はつらいよ』「はい、今日はもうおしまい。この一杯で帰ってね」

小さな居酒屋さんで、店員さんから席を立たされたおじさんを前に、わたしは、「仕方ないなぁ」と焼き鳥の串を手にとりました。

そのおじさんはさっきまでわたしに、『男はつらいよ』の寅さんがいかにかっこいいかを熱心に説明していました。「寅さんは、ちょっと俺みたいなところがあるな」と笑うおじさん。わたしは寅さんシリー

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同世代に会わないように、イトーヨーカドーの紳士服売り場のトイレの前の白いベンチに座っていたわたしへ

同世代に会わないように、イトーヨーカドーの紳士服売り場のトイレの前の白いベンチに座っていたわたしへ

定期的にくる「やばい! 取り残されている」という波絶対地雷だろうな、と思いながら買った新発売の缶ジュースを片手に、スマホアプリに、「20時 改札待ち合わせ」と書いてふと思いました。大人になると遊ぶ約束の時間が遅くなります。夕方から会う約束をすることが普通になったのは、何歳からだったか思い出せません。

定期的に、かつて『有名ネトア』(※ネットアイドル)と呼ばれたひとのブログを読みに行きます。そこに

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わたし、おかあさんになれない

わたし、おかあさんになれない

わたし、おかあさんになれない「子どもが欲しい」と思えたことがない、ということが、わたしの一番大きなコンプレックスです。

SNSで #あたしおかあさんだから というタグが作られ、さまざまな意見が飛び交いました。このタグは、絵本作家さんが書いた「あたしおかあさんだから」という曲の歌詞への意見としてはじまりました。
これから書く文章は、この曲についての分析や批評ではないので、歌詞に興味のある方は検索を

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わたしたちは人を殴らず誰も殺さずとも生きていける

わたしたちは人を殴らず誰も殺さずとも生きていける

怒りのフラッシュバック人の死や、心ない言葉、悲しいできごとのフラッシュバックのほかに、受けた暴力や罵倒に対しての「怒りのフラッシュバック」にすっかりやられてしまうことがあります。

わたしは、DV家庭で生まれ育ったので、人が声を荒げたり暴力をふるおうとする場面に遭遇すると、体調によっては昔のことが全部ぶりかえしそうになります。そんなタイミングで連日続くお相撲の「かわいがり」という名の暴力ニュースを

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家族の愛憎は、決して美しいものではない

家族の愛憎は、決して美しいものではない

自分の家のおかしさに気づくきっかけ『ドラえもん』や『セーラームーン』と同じようにSFマンガだと思って見ていた『ちびまる子ちゃん』がエッセイマンガだと知ったときの衝撃は忘れられません。

もしかして 、他の家は家族団らんの日常を過ごしているのか……!?

わたしは、いわゆる家庭崩壊のテンプレのような環境で育ちました。

性格に難アリの酒乱男性が2名いた家は、家族が揃えば大声でのケンカがスタート。DV

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