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1000文字小説 野菜を売る男
けたたましく呼び鈴が鳴り続いた。まだ朝の6時。こんな時間に俺をベッドから引きずり起こす知人は最近できた記憶はない。おもむろに煙草に火を着けた。鬱屈とした空気にゆらり煙が立ち昇ってゆく。煙の奥の呼び鈴は鳴りやまず、次第に激しくドアを叩く音に変わる。
ドア向こうから野太い声がする。はっきりと苛立ちが含まれていた。俺の名前も住所もどうやらすでに承知のようだ。
「起きてんだろ。さっさと判子を押してくれよ」
1000文字小説 体毛をかぞえる
「もし時間があったら、私の首の後ろの毛を数えてもらえないだろうか?」
迫田先生が静まり返った理科室でひとりフラスコを洗う僕に唐突に投げかけた一言は少し異様だった。
「毛を数える?」
「後ろに目がついていないもんだから、はかどらなくていけない」
迫田先生は理科の先生だ。変わり者で通っているらしいが、直接会話をしたことがなかったので何がどう変わっているのかは知らなかったし、わざわざ人に聞いてまで知ろう
1000文字小説 オッサンの傷あと
オッサンの左腕には大きな傷あとがあった。いつもは物静かでひとり酒場のカウンター席を温めてはチビチビ決まって同じ焼酎を呑んだ。
週末になると深酒して皺だらけの顔を赤らめ人が変わったように饒舌になる。偶然居合わせた隣客に絡んでは毎回同じ話をうんざりするほど繰り返すのだった。呑むと古傷がうずくのか左腕の傷あとを真っ赤になるまで摩るのがオッサンの癖だった。
オッサンの話はいつも唐突に始まった。話は決まっ
【短編小説】バスドライブ
母からの言いつけはいつも絶対だった。住民票の写しが必要だというので、市役所までの道中、バスに乗ることになった。市バスに乗るのは約10年ぶりのことだ。 面倒なことはなんでも決まって僕の役回りになっていた。
車窓からは車内たっぷりに暖かい日差しが指し込んでいた。乗客はみんな、うつらうつらとしていて、ゆっくりとした時間が流れていた。
自分の頭の四倍はあろうかという大きなリュックサックを背負いながら、
ツリーハウスに憧れた中年オジサンの話。
RIDEです。年をとってきたせいか、色んなことのルーツを考える癖がついてしまって。昔の自分って今に思えば、こういう因果関係のもとにこうなっちゃったよね~ってことありませんか?
例えば大学生の頃、日本を飛び出してインドやネパールを放浪したことがあるんですが、今に思えば中学生の頃に観た映画インディ・ジョーンズの二作目『魔宮の伝説』がきっかけでインドへ行ってしまったのかもしれないなあって。映画の舞台は もっとみる
納豆の歌史上、最高にクールな歌を作りました!
どおも、RIDEです。納豆の歌史上って…納豆の歌に果たして、どんな歴史があるのかはわかりませんが、自分で言うのもなんだけど、クールな歌を作っちゃいましたので、よろしければ聴いてみてください。
ボクはふだんの何気ない会話からヒントを得て歌を作ることが多いんですが、今回も友達と雑談してたのが発端になりました。たまたま愛犬の話題になって、
「毎朝、モモ(愛犬)と一緒に納豆食べるよ」
「え?犬って納豆食 もっとみる
オリジナル曲『だけど会いたいな』弾き語り
コロナ自粛が数ヶ月続いて、会いたくても会えなくなった大切な人に向けて作った歌です。ぼちぼち世の中は動き出していますが、まだ会えないでいます。
今はLINEやらメールやらSNSやらで簡単に連絡がとりあえる時代ですが、やっぱり生で会いたいなあと。言葉が必要ないコミュニケーションって、一緒にいるときにだけできるもの。目だけの会話がしたいなあって思います。
オリジナル曲『廃線WALK』
どおも!はじめましてJUNKO=JOY=RIDEのRIDEです。廃線を歩きながら遊ぶ大人の男女をコミカルに描きつつ、また人生になぞらえた比喩的な意味を含めて作ったオリジナル曲です。
先日、バンドで初合わせしたんで、まだまだ完成度は低いですが、とりあえず動画撮ってみました。
最近、動画編集はじめました✨4〜5年前に挫折してから放置してましたが、この間の技術革新ってか、発展の速度に驚かされ、また興