らいどん

食品セレクトショップ店長。保存食品や酒を扱っています。オリジナルソング弾き語りや100…

らいどん

食品セレクトショップ店長。保存食品や酒を扱っています。オリジナルソング弾き語りや1000文字小説を書いています。

マガジン

  • オリジナル小説

    昔書いてたものや、最近思いついたものを投稿しておきます。

  • オリジナル曲

    ボクらのアコースティックバンドJUNKO=JOY=RIDEオリジナル曲をまとめました。未熟者ですがお楽しみいただけたらと思います。

最近の記事

1000文字小説 野菜を売る男

けたたましく呼び鈴が鳴り続いた。まだ朝の6時。こんな時間に俺をベッドから引きずり起こす知人は最近できた記憶はない。おもむろに煙草に火を着けた。鬱屈とした空気にゆらり煙が立ち昇ってゆく。煙の奥の呼び鈴は鳴りやまず、次第に激しくドアを叩く音に変わる。 ドア向こうから野太い声がする。はっきりと苛立ちが含まれていた。俺の名前も住所もどうやらすでに承知のようだ。 「起きてんだろ。さっさと判子を押してくれよ」  寝癖を掻きむしった後、仕方なくドアを開けてみた。早朝から近所迷惑だし長居され

    • 1000文字小説 体毛をかぞえる

      「もし時間があったら、私の首の後ろの毛を数えてもらえないだろうか?」 迫田先生が静まり返った理科室でひとりフラスコを洗う僕に唐突に投げかけた一言は少し異様だった。 「毛を数える?」 「後ろに目がついていないもんだから、はかどらなくていけない」 迫田先生は理科の先生だ。変わり者で通っているらしいが、直接会話をしたことがなかったので何がどう変わっているのかは知らなかったし、わざわざ人に聞いてまで知ろうとは思わなかった。 実験中、間断なく届くメッセージに返信しているうち、いつの間に

      • 1000文字小説 オッサンの傷あと

        オッサンの左腕には大きな傷あとがあった。いつもは物静かでひとり酒場のカウンター席を温めてはチビチビ決まって同じ焼酎を呑んだ。 週末になると深酒して皺だらけの顔を赤らめ人が変わったように饒舌になる。偶然居合わせた隣客に絡んでは毎回同じ話をうんざりするほど繰り返すのだった。呑むと古傷がうずくのか左腕の傷あとを真っ赤になるまで摩るのがオッサンの癖だった。 オッサンの話はいつも唐突に始まった。話は決まってヒソヒソ小声からだった。 ある日のことオッサンが近所の川で釣りに興じていると

        • 1000文字小説 玉子焼き戦争

          ごく一般的な家庭である山田家内部で巻き起こった戦争は些細なことから始まったのだった。食卓を囲んでいた夕飯時のこと、一家の主人であるヒロシが昂然と言い放った言葉に一同唖然とした。 「だいたいお前が作る玉子焼きは甘過ぎるんだ。やっぱり玉子焼きはだし巻き玉子だ」 お前とはヒロシの妻サチコである。ヒロシとサチコは同居して20年。苦楽を共にしてきたいわば戦友のような仲であった、はずだった。20年にして今更な主張にサチコはあっけにとられ、しばらくは開いた口が塞がらなかった。 「玉子焼きは

        1000文字小説 野菜を売る男

        マガジン

        • オリジナル小説
          5本
        • オリジナル曲
          7本

        記事

          +19

          コスパ最高!通勤定期でゆく途中下車の旅

          コスパ最高!通勤定期でゆく途中下車の旅

          +19
          再生

          オリジナル曲『かさぶた』 かさぶた剥がしたろか~

          RIDEです。 かさぶたについて記事を書こうとしてさっそくググってみたら、予想以上に深刻な画像ばかりが襲い掛かってきたので怯んでしまったRIDEです。ボクが書きたいのは、ほんのちょっとしたかさぶたについてなんだけど。 毎朝のルーチンとしての髭剃りを30年近くはやっているのですが、それでもうっかりと顔を切ってしまうことがボクの場合だとだいたい3カ月に一度くらいはあります。 これって多い方なのかな。そーいえばそんな話、イイ年の男同士ではなかなかしないもんですね。 他の人の事はよくわからないからボクの場合のお話しを続けますが、切ってしまう場所はいつも同じだったりします。学習しないんですよ。 ちょうど3カ月くらいで忘れてしまって、また同じところを切ってしまう。一度切れてしまうとなかなか血が止まらないから、結局絆創膏を貼って出社するんです。 朝の支度で忙しい中、どこを探しても絆創膏が見つかないときは、ワイフが持っていたキティちゃんの柄がついたものをして出社したことさえありました。 切ってしまう場所は決まって左あご。 左利きが影響してるのかどうか、決まって左あごなんです。そうしてキティちゃんの絆創膏がはずれた頃、ボクの左あごには見事なかさぶたが造形されているのでした。 ボクにはとてもユニークな友達がいます。彼女はもういい大人なのに(ボクよりも少しだけ年上です)自分の髪を自分で切っているんですが、カミソリで後ろ髪を切る際には、3カ月に一度くらい首も一緒に切ってしまいます。 ある日、首に貼ってあった絆創膏が真っ赤に滲んでいたので、 「うわっ、どうしたん。血だらけやんか」 「あっ、これ違うねん。赤チン塗ってるねん」 「赤チンって、今どきどこで売ってるん」 今ではすっかり見なくなってしまった赤チンの正式名称はマーキュロクロム液。実は2019年5月31日をもって製造販売が禁止されています。彼女とのやり取りがあったのは昨年2019年のこと。彼女は最後の赤チンユーザーだったのでしょう。そう思うと感慨深いものがありますね。 赤チンはさておき、3カ月に一度くらい首を切ってしまう実にキュートな彼女と並んで歩いていたときのこと。 ボクの左あごにできたかさぶたを見つけるや、 「かさぶた剥がしたろか~」 首の後ろにできた自分のかさぶたを棚上げにして、彼女が意地悪そうに言うのでした。 そのときにひらめいた曲が今回の『かさぶた』です。 かさぶたをめぐってベッドトーキングする大人の男女を描いた、ちょこっとセクシーな歌になっています。

          オリジナル曲『かさぶた』 かさぶた剥がしたろか~

          再生

          【短編小説】バスドライブ

          母からの言いつけはいつも絶対だった。住民票の写しが必要だというので、市役所までの道中、バスに乗ることになった。市バスに乗るのは約10年ぶりのことだ。 面倒なことはなんでも決まって僕の役回りになっていた。 車窓からは車内たっぷりに暖かい日差しが指し込んでいた。乗客はみんな、うつらうつらとしていて、ゆっくりとした時間が流れていた。 自分の頭の四倍はあろうかという大きなリュックサックを背負いながら、老婆がじっと腰掛けていた。 小学生の親子連れは、紙袋の音を煩くクシャクシャさせな

          【短編小説】バスドライブ

          再生

          ツリーハウスに憧れた中年オジサンの話。

          RIDEです。年をとってきたせいか、色んなことのルーツを考える癖がついてしまって。昔の自分って今に思えば、こういう因果関係のもとにこうなっちゃったよね~ってことありませんか? 例えば大学生の頃、日本を飛び出してインドやネパールを放浪したことがあるんですが、今に思えば中学生の頃に観た映画インディ・ジョーンズの二作目『魔宮の伝説』がきっかけでインドへ行ってしまったのかもしれないなあって。映画の舞台はインド。もちろん、当時は何ら意識してませんが潜在意識にすり込まれていたかも。まあ、他にも色んな本の影響は受けていたとは思いますけど。 インディ・ジョーンズシリーズを観たのはボクがまだ中学生の頃ですが、小学校に入るか入らないかの頃から冒険ものが大好きだった覚えがあって、中でもトム ソーヤの冒険が本当に好きでよく観ていましたね。ハウス食品シリーズ懐かしい。今の若い世代の人にはわからないかな。 それにしても、自分はなんでツリーハウスの歌を作ったんだろう?って いつもの癖で、遡ってルーツを考えていると、ブルーハーツの歌『1000のバイオリン』の歌詞「ハックルベリーに会いに行く~♪」が頭の中で流れてきました。 そうだ、そうだった。思い出した。 ボクも夜中にこっそり家を抜け出して、ハックルベリー フィンに会いに行きたかったんだ。あのツリーハウスへ行きたかったんだ。 きっとここがこの歌のルーツですね。潜在意識にすり込まれていたんです。 冒険→ハックルベリーフィン→ツリーハウス 自由気ままに生きるハックが住むツリーハウスはヒリヒリするような冒険と自由の象徴で、そういったものに焦げるほど憧れていたんだと思います。 大人になったボクが作った歌『ツリーハウス』の中では冒険は歌ってはいませんが、木を植えてから30年間、ツリーハウスが建つ木に育つまで仲良く暮らそうってメッセージを込めました。 だけど夫婦やパートナーとの30年間って、ある意味冒険かもしれませんね。紆余曲折あってそれでもなんだかんだで一緒にいるみたいな。 最後に、ツリーハウスといえばもう一つ。ボクが大好きだった絵本『大きな木がほしい』は今でも書店に必ずと言っていいほど置いてある不朽の名作。小学生の頃にボロボロになるまで読んでいた記憶があります。むらかみつとむさんの絵がまた絶妙にいい感じ。 以上、ツリーハウスに憧れた中年オジサンの話でした。

          ツリーハウスに憧れた中年オジサンの話。

          再生
          再生

          納豆の歌史上、最高にクールな歌を作りました!

          どおも、RIDEです。納豆の歌史上って…納豆の歌に果たして、どんな歴史があるのかはわかりませんが、自分で言うのもなんだけど、クールな歌を作っちゃいましたので、よろしければ聴いてみてください。 ボクはふだんの何気ない会話からヒントを得て歌を作ることが多いんですが、今回も友達と雑談してたのが発端になりました。たまたま愛犬の話題になって、 「毎朝、モモ(愛犬)と一緒に納豆食べるよ」 「え?犬って納豆食べるん?」 愛犬と一緒に毎朝納豆かあー。なんとなく面白い絵面だなあって、そのときはその程度でした。 時を同じくして、海外ドラマにどハマりしてたボクは、ウォーキング デッド(ゾンビもの)を毎日のように観ていたんですが、そのうちに通勤途中に出くわす人混みがみんなゾンビだったらどーしよー的な妄想に囚われるようになっていて。 人混みから逃げるように早足で歩いていたそのとき、突如頭の中に流れてきたのは、クランベリーズの名曲『Zombie』でした。 この歌、好きなんです。たまーに遊びで弾き語ったりしていて、コード進行がEm C G Dの簡単単純ループなんで、テキトーな英語に合わせてテキトーに弾いても、それなりに格好がつくんです。 で、ここでボクの中で何かがつながってしまったんですね。 納豆→腐ったもの→ゾンビ→クランベリーズのZombie→納豆の歌→愛犬と毎朝納豆食べる→毎日一緒に納豆食べたいラブソング 同じコード進行を使った歌なんて、世の中には無数にあります。Em C G Dのコード進行をそのまま引用して作りました。 毎朝、納豆を一緒に食べたい!って告る相手は、愛犬もいいんですが、やっぱり異性に向けたいところ。 そして、ボクらのお父さん世代のプロポーズの言葉『毎朝、俺に味噌汁を作ってください』が割と支持されていたのを想い出して(古風なのが逆にいいかと)毎日一緒に納豆食べたいって、ある意味プロポーズ的な、同棲でももちろんいいし、そんな愛のメッセージになるかもなぁって感じで歌詞を書き上げました。 たった4つのコード無限ループは、ストロークのやり甲斐MAXでストレス発散になります。どなたかカバーしていただけたら最高に嬉しいです。

          納豆の歌史上、最高にクールな歌を作りました!

          再生

          クリエイター幸福の7か条

          どおも。RIDEです。春から京都へ転勤になって早いもんで4カ月ほどたちました。兵庫県にある自宅からは往復4時間の通勤。最初聞かされたときはマジかぁ~とは思いましたが、人間はどんな環境にも上手く適応できるようにできているもんで、今ではむしろ毎日通勤を楽しんでいます。 多くの人がそうであるように、しあわせって何だろな~がボクの人生のテーマで、たぶん10代の頃からずーっとその答えを探してきたように思います。考えても考えても答えが見つからなかった10代のボクが最後に頼った先は、未来

          クリエイター幸福の7か条

          再生

          オリジナル曲『200mだけのポルカ』弾き語り

          京都は四条大橋の歌舞伎座から八坂神社へ向かって歩くアダルティーな男女が織りなす淡い恋模様をコミカルに描いた歌です。200mだけ憧れの彼女と並んで歩くことができた男の心境は如何に。

          オリジナル曲『200mだけのポルカ』弾き語り

          再生

          ギタリストの指先

          ども。RIDEです。どのくらいのレベルからギタリストと自称できるんだろ?問題にはきっと根深いものがあるんだろうけど。 ちなみにボクは自分で自分のことをギタリストだと思ったことは一度もないから、このタイトルを付けるのに躊躇したんだけど、いやいや自分は弾き語リストでギタリストなんておこがましいとか、そんなことをグダグダ言っても話がややこしくなるから、便宜上ギタリストであることを前提に進めて行きますね。 上の写真は今日のボクの指先。ギターを弾くようになって10年くらいのブランク

          ギタリストの指先

          再生

          オリジナル曲『イタリアへいこう』弾き語り

          ボクには病気がちな友達がいて。その日も顔色が冴えなくてうつむいてたから、冗談のつもりで言ったんです。イタリアへいこうって。顔色が良くなったらねって。でも気圧の変化に対応できないから飛行機なんか乗れないし、多少顔色が良くなったくらいじゃイタリアへなんか行けっこない。 だったら長い時間をかけて船で行こう。それだったらボクらがリタイヤしてからかなあとか、それまでにたっぷりと時間はあるからぼちぼちお金を貯めておこうねとか、ほとんどが冗談のつもりで言ってたのがなんだか盛り上がってしまって、歌をつくってしまいました。 ボクは歌をつくるとき、たった一人の人のためにつくることが多いんです。歌をつくる人はみんなそうなのかなあ。創作だけど作り込まないようにしたいというか、一人の人に届くように歌えば、たくさんの人に届くのかなって思います。

          オリジナル曲『イタリアへいこう』弾き語り

          再生
          再生

          オリジナル曲『だけど会いたいな』弾き語り

          コロナ自粛が数ヶ月続いて、会いたくても会えなくなった大切な人に向けて作った歌です。ぼちぼち世の中は動き出していますが、まだ会えないでいます。 今はLINEやらメールやらSNSやらで簡単に連絡がとりあえる時代ですが、やっぱり生で会いたいなあと。言葉が必要ないコミュニケーションって、一緒にいるときにだけできるもの。目だけの会話がしたいなあって思います。

          オリジナル曲『だけど会いたいな』弾き語り

          再生

          オリジナル曲『廃線WALK』

          どおも!はじめましてJUNKO=JOY=RIDEのRIDEです。廃線を歩きながら遊ぶ大人の男女をコミカルに描きつつ、また人生になぞらえた比喩的な意味を含めて作ったオリジナル曲です。 先日、バンドで初合わせしたんで、まだまだ完成度は低いですが、とりあえず動画撮ってみました。 最近、動画編集はじめました✨4〜5年前に挫折してから放置してましたが、この間の技術革新ってか、発展の速度に驚かされ、また興奮しながら、必要以上に編集してしまっていることをお許しください…。

          オリジナル曲『廃線WALK』