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わたしの書いたお気に入りnote

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#エッセイ

これがきっと恋だから、

これがきっと恋だから、

これはわたしと恋人との話。

付き合う前日の夜、わたしたちはデートをしていた。

付き合う前の、甘すぎるけど、ちょっとだけ苦い時間。
今しかできない会話、今だからこそ意味をなす表現、
そういったものが、確実にしっかりと存在していた。

「結婚して子どもができたら、深夜のコンビニに手を繋いでいくことが2人の特別な時間になる」

デートの帰りにコンビニに寄ったとき、ホットカフェラテを作る待ち時間に、彼

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ふたりじめ

ふたりじめ

彼とお付き合いをはじめて、半年が経った。
長くもあり、あっという間でもあり、
初めての景色で満ち溢れた幸せな毎日だった。

些細なことで子どものようにはしゃいで笑い合い、時には意見が合わないことがあろうとも、お互いの価値観の違いを楽しみながら二人の時間を重ねてきた。

彼とお付き合いをはじめてからの私は、確実に良い方角へと歩みを進められている自信があった。

もちろん、楽しいことばかりではない毎日

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君がくれた、わたし色

君がくれた、わたし色

これはわたしと恋人との話。

お付き合いを始めて、二か月が経った頃。
彼はわたしに、花束をプレゼントしてくれた。

彼が手渡してくれた花束の中で、彼がわたしのイメージで選んでくれたという明るい色の花々が、楽しそうに、満面の笑みで笑っていた。

春を思う存分に満喫して、夏の訪れをワクワクと待っているような、そんな雰囲気が感じられて、とても晴れやかな気分になった。

けれども、どこかでこんな話を聞いた

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拝啓

拝啓

あなたへ

あなたはいつも頑張っていて偉いです

あなたはいつも笑っていて偉いです

あなたはいつも毎日を必死に生きていて偉いです

あなたはいつも全ての人に優しくできて偉いです

けれど

あなたは生きていく上で必要な嘘のつき方を知らないからダメです

あなたは心が泣いているのを隠して作り笑顔をするからダメです

あなたは気持ちが萎えて死にたいと思うときにきちんと死にたいと言えないからダメです

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あたためた想い

私が「ただの映画好き」から「映画監督未満」になったのは、今から約1年ほど前の話。普段は一晩のうちに2つ以上必ず夢を見る私が一切夢を見なくなったのも、ちょうどその頃の話。映画を作ってみたいという漠然とした願望に脳内が支配された私は、お風呂に入っているとき、歯を磨いているとき、寝支度を済ませ布団に入ったとき、そんな、日常にありふれた何も考えなくてよい瞬間でさえも、答えの出ない問いを永遠に巡らせていた。

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始まりの始まり

始まりの始まり

2021年4月1日

私は、今後きっと幾度となく、今日という日を思い出すだろう。

ぱきっとしたスーツに身を包み、おろしたてのネクタイを締め、ピカピカの靴を履いて、入社式の会場へと向かう。

それは、私が経験しなかった、もう一つの日常だ。

就活中。満員電車に揉まれながら、説明会の会場に向かうときの気持ちを思い出す。

都内を走る電車の広告の大半は転職に関するものばかりで、それ以外は、大体が自己啓

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新しい旅

新しい旅

「泣きながら飯を食ったことがある人間は、きっとこの先、どんな困難も乗り越えられる。」

高校時代、親しくしていた先生が私に教えてくれた言葉だ。

当時の私も、昨日までの私も、きっとそんな日が訪れることなどないだろう。漠然と、そう思っていた。

しかし、そんな矢先。

「泣きながら飯を食う日」は、唐突に訪れた。

そう。まさに今日だ。

今日は、初めて泣きながら飯を食った記念日だ。

正直、涙の味で

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