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芸術一般

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芸術について、なんでも書きます。はじめはヨーロッパ絵画をかなり題材にしていましたが、現在は映画評論・芸術論・文学論などが多くなっています。
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2023年11月の記事一覧

<閑話休題・映画>『2001年宇宙の旅』の最後の食事をする場面から

<閑話休題・映画>『2001年宇宙の旅』の最後の食事をする場面から

 衛星放送で『2001年の宇宙の旅』を放映するのを知って、ちょっとわくわくしている。もちろん、このスタンリー・キューブリックの映画史上最高の傑作を、もう無くなってしまった東銀座にあったテアトル東京で観た後、苦労した末にビデオテープ(昔のべーターマックス方式)を買った時は、まるで最高級の芸術作品を手に入れた気分になって、ひどく感激した。

 その後は、ビデオからDVDに進化したので、マイアミの専

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<書評>『錬金術 タロットと愚者の旅』

<書評>『錬金術 タロットと愚者の旅』

『錬金術 タロットと愚者の旅』 ルドルフ・ベルヌーリ著 種村季弘訳 青土社 1972年

 錬金術及びタロットについての研究書。訳者は、日本でこの分野の研究をしている第一人者で澁澤龍彦と並ぶ研究者。澁澤がフランス語なら、種村はドイツ語を基本にしていることが二人の相違になっているが、内容はかなり重複しているように思う。

 一方、錬金術という言葉や概念は、私が中学の歴史の教科書に書かれていた記述を未

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<芸術一般>マンレイと写真について(『ユリイカ』1982年9月号「マンレイ特集」から)

<芸術一般>マンレイと写真について(『ユリイカ』1982年9月号「マンレイ特集」から)

 1982年の雑誌『ユリイカ』はマンレイの特集をしたが、文芸誌では日本で初めてマンレイを特集したと説明されている。私は、シュールレアリスムに関心があったので、たまたまこの時に『ユリイカ』を買い求めたが、当時の日本でマンレイとは、シュールレアリスムの本流から外れた(主に肖像)写真家というイメージが強かったように思う。

 一方、私のマンレイの写真で当時知っていたのは、この有名な「バイオリンダングル」

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自由律俳句(その8)

自由律俳句(その8)

〇 2023年9月27日。酷暑の夏が終わり、久々に公園を散策する。季節的に花は少ないが、曇天の中に見える太陽が力強い。そして、トンボが飛び、鈴虫が草の中で音楽を奏でる。ふと見ると、大木の下に草花の芽が大きく出ていた。私もようやく芽が出るのか?散歩をすると、詩作が浮かぶ。不思議だ。

腰が伸びない私を 傍で見守るトンボよ お前よりは長生きしているぞ

無視すれば近寄り 探せば逃げるトンボ お前の名は

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