夜鳴猫

ーー夜な夜な言の葉を紡ぎ弦を奏でるーー 【活動】文筆・弾き語り・作詞作曲 【所属】月下水

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ーー夜な夜な言の葉を紡ぎ弦を奏でるーー 【活動】文筆・弾き語り・作詞作曲 【所属】月下水

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  • 夜鳴猫作品集

    夜鳴猫が執筆した詩・歌詞・随筆などの文芸作品集です。

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記事一覧

【詩】飲水

水を注ぐ それが一日の始まり 無色透明な液体も それでいて虹色に輝く 口に含む そして安らかな味わい 無味無臭な液体も それでいて虹色の味を持つ 喉に下す そこに僅か…

夜鳴猫
1日前
4

【歌詞】笑い皺ができるまで

君と出かけるのは もう何度目だろう 君と出かける度に 僕は君を見つめる いつだって愛らしいその顔に 君は笑顔を浮かべてくれるね 君が笑うその顔を ずっと眺めていた…

夜鳴猫
10日前
3

【歌詞】あまのじゃく/つくよみちゃん

いつからだろう あなたのことを ちょっと特別に 想い始めたのは 夕闇に飲み込まれて 紫に染まる体育館で 友達と笑い合うあなたを つい目で追いかけちゃうの ねえ 気…

夜鳴猫
10日前

【詩】靴を脱いで

今日もお疲れ様 どうしたのさ そんなに俯いて 肩を落として 「なんでもないよ」って 君は答えて 微笑みかけたけど 目は笑ってないよ ねえ話してごらん 背伸びしない…

夜鳴猫
10日前
4

【随筆】承認欲求の処方箋

はじめにこの頃、「承認欲求」という単語が独り歩きしているように思えてならない。 元来心理学用語であり、人間の基本的な欲求として想定されていたはずの概念は、いつし…

夜鳴猫
2週間前
4

【詩】未鳴未開

私は不如帰 鳴かぬならば 殺してくれれば いっそ楽だろう 綺麗な声で 歌おうとしても むせぶ涙で うまく声が出ないの 喉を枯らして 叫ぼうとしても 咽る血反吐で 赤…

夜鳴猫
2週間前
2

【随筆】The Last Tune:現存在の遺作

ーー明日世界が滅ぶなら、最期にどんな曲を遺したい?ーー  唐突にそんな問いかけがーー矛盾した問いかけが脳裏によぎる。自身の肉体の死であるならば、それは去りゆく世…

夜鳴猫
1か月前
4

【随筆】雨は雨、雪は雪

いつからだろう 雨を鬱陶しく思うようになったのは いつからだろう 雪にはしゃがなくなったのは ―― 幼少期からインドアだった自分は、どちらかと言えば雨の好きな子…

夜鳴猫
2か月前
4
【詩】飲水

【詩】飲水

水を注ぐ
それが一日の始まり
無色透明な液体も
それでいて虹色に輝く

口に含む
そして安らかな味わい
無味無臭な液体も
それでいて虹色の味を持つ

喉に下す
そこに僅かなる抗い
無毒無害な液体も
それでいて外より来るもの

水を含む
それは海洋の名残
無命無機な液体も
それでいて紅い血の母となる

水を飲む
それは生命の理

【歌詞】笑い皺ができるまで

【歌詞】笑い皺ができるまで

君と出かけるのは もう何度目だろう
君と出かける度に 僕は君を見つめる

いつだって愛らしいその顔に
君は笑顔を浮かべてくれるね

君が笑うその顔を ずっと眺めていたい
その愛らしい顔に 笑い皺ができるまで
君が笑うその顔を 眺め笑っていたい
僕ら二人の顔に 笑い皺ができるまで

君の手をとるのは もう何度目だろう
君の手をとる度に 僕は指を重ねる

いつだって冷たい僕の手に
君はぬくもりを与えて

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【歌詞】あまのじゃく/つくよみちゃん

【歌詞】あまのじゃく/つくよみちゃん

いつからだろう あなたのことを
ちょっと特別に 想い始めたのは

夕闇に飲み込まれて 紫に染まる体育館で
友達と笑い合うあなたを つい目で追いかけちゃうの

ねえ 気づいてよ まっすぐな私の視線
でも 気づきすぎないで まっすぐなこの想いには

どうしてだろう あなたを想うと
ちょっと嬉しいのに 胸が痛くなるのは

宵闇に呑み込まれて 真っ黒に染まる私の部屋で
私に笑いかけるあなたを つい思い描い

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【詩】靴を脱いで

【詩】靴を脱いで

今日もお疲れ様 どうしたのさ
そんなに俯いて 肩を落として

「なんでもないよ」って 君は答えて
微笑みかけたけど 目は笑ってないよ

ねえ話してごらん 背伸びしないで
靴を脱いだらほら おいで裸足のまま

頑張って なんてさ 言わないから
何でって? だってさ もう頑張ってるから

うまくできないことも 言えないことも
君だけのことじゃない 責めることない

ねえ預けてごらん 背負いこまないで

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【随筆】承認欲求の処方箋

【随筆】承認欲求の処方箋

はじめにこの頃、「承認欲求」という単語が独り歩きしているように思えてならない。
元来心理学用語であり、人間の基本的な欲求として想定されていたはずの概念は、いつしか現代ネット社会に巣食う病理のように語られてしまっていないだろうか…?

目的と手段人に認められたいーー社会に生きる人類にとって、これはごく基本的な欲求であり、逆にこれを欠いてしまえば社会で生きることは難しくなる。人間が社会という環境で生き

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【詩】未鳴未開

【詩】未鳴未開

私は不如帰 鳴かぬならば
殺してくれれば いっそ楽だろう

綺麗な声で 歌おうとしても
むせぶ涙で うまく声が出ないの
喉を枯らして 叫ぼうとしても
咽る血反吐で 赤く口が染まるの

もう辞めたい 帰りたい帰りたい
でももうできない 帰るところもない

私は不如帰 鳴かぬならば
殺してくれれば いっそ楽だろう

綺麗な花を 開こうとしても
焦る想いで 無為に時を過ごすの
茎を絞って 咲かそうとして

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【随筆】The Last Tune:現存在の遺作

【随筆】The Last Tune:現存在の遺作

ーー明日世界が滅ぶなら、最期にどんな曲を遺したい?ーー

 唐突にそんな問いかけがーー矛盾した問いかけが脳裏によぎる。自身の肉体の死であるならば、それは去りゆく世界へと手向けられた遺作と呼べよう。しかし、その世界ごと滅亡するというのなら、何も遺りはしないではないか。
 ただ、取るに足らない、バカげた空想と自らを鼻で笑うには、僕は生真面目過ぎたのだろうか。それは何か重要な問いかけに思えてしまったのだ

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【随筆】雨は雨、雪は雪

【随筆】雨は雨、雪は雪

いつからだろう

雨を鬱陶しく思うようになったのは

いつからだろう

雪にはしゃがなくなったのは

――

幼少期からインドアだった自分は、どちらかと言えば雨の好きな子供だった。いや、今だって別段嫌いなわけではない。雨だれの音は外界の騒音を掻き消し、自分の思索の世界へと沈潜させてくれる。雨には雨の良さがある。雪にしてもそうだ。子供の頃なら雪が降ればはしゃいで雪だるまを作ったり、そりすべりをして楽

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