よこひこ(樋口義彦・陽子)

イスラエルでジャズに出会った2009年から夢中でイスラエルのジャズシーンを追っている夫…

よこひこ(樋口義彦・陽子)

イスラエルでジャズに出会った2009年から夢中でイスラエルのジャズシーンを追っている夫婦です。アーティストだけでなく、彼らの家族、教育者などジャズコミュニティを支えている人たちの声をお伝えします。若く元気なイスラエルジャズの世界へようこそ。時々ジャズ雑誌にも書いています。

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    イスラエルのジャズのおもしろさの秘密はなんなのか? ジャズメン、その家族、未来のアーティストを養成する教育者、ライブハウスのオーナー、プロデューサーなどに話を聞いて、彼らの声を届けます。

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1. イスラエルのジャズとの出会い

近年のジャズ、イスラエルが元気だ。 Avishai Cohen(アヴィシャイ・コーエン)、Shai Maestro(シャイ・マエストロ)、Gilad Hekselman (ギラッド・ヘクセルマン)などな…

13. 《 interview 》 愛されるドラマー: アミール・ブレッスラー

ジャンルを問わず活躍し、広く愛されるドラマーのアミール・ブレッスラー(Amir Bresler)。キリッと引き締まる一打一打、そして人柄の良さに私たちも惚れ込んで久しい。高…

2. 《 interview 》 Shai Maestro 1/2

             *This interview was conducted in January 2023. It's an impressive name. Shai Maestro, it is real name and we immediately became his b…

1. We didn't come to look for music, but music found us.

We were not really big fun of music, still less jazz. However we were fascinated by talented musicians, appealing original music and home-like atmosphere of ve…

12. 《interview》 ヨナタン・ヴォルチョク 後編

ーーどんな家庭で育った? 両親ともイスラエル生まれ。母は先生、父は高校でボランティアを長年やっているけど、90年代後半にはアフリカ(ガーナとナイジェリア)で仕事を…

11. 《interview》 次世代教育に励むトロンボーン奏者:ヨナタン・ヴォルチョク 前編

ーー教育に関わってどのくらい? 学校では何を教えている? 教育に携わるようになってもう11年くらい。現在はアンサンブルと即興のことを教えている。 NYからイスラエルに…

10. 《interview》 ダニエル・ドール: 「文化や愛を表現する演奏が、今は特に大切」

ーー生年月日とかその辺のこと聞かせて 1986年12月2日、来週37歳になる。テルアビブ で生まれた。両親はイスラエルで大人気だったバンド(ポップミュージックのバンドHako…

9. 《interview》 ナオール&オーリィ・ネヘミヤ 後編

軍では兵隊のためにパフォーマンス ーーオーリィ、軍役中のことを教えて。 オーリィ:18歳で軍に入ると、軍のバンドに配属された。兵隊のいる場所を全国渡り歩いて、彼ら…

8. 《interview》イスラエルのジャズドラマー、オフリー・ネヘミヤの両親:ナオール&オーリィ 前編

コチン(Cochin) とは まずはじめに、「コチン」というのは何なんだろう。イスラエル南部のコチン遺産センターに説明がある。  インド南西部ケララ州に居住していたユダ…

7. テルアビブのレコード事情

久々のレコード・フェア 2月24日に「レコード・フェア」が久しぶりに開催された。テデル(Teder)の看板イベントのひとつである。レコードショップ、個人コレクターが段ボ…

6. 《interview》 オフリー・ネヘミヤ (ドラマー) 後編

ーー来週は自身のバンドとして来日するわけだけれども、サイドマンとバンドリーダの大きな違いって何だと思う?(注:このインタビューは2023年3月に実施、2024年3月はGTOで…

5. 《interview》 イスラエルジャズ界のトップドラマー: オフリー・ネヘミヤ 前編

しっかりキャリアを積めば評価してもらえるNY ーーコロナでNYからテルアビブに拠点を移してしばらく経つけれど、NYとテルアビブのジャズシーンを見て日々どんなことを感…

4. 《interview》 テルアビブの音楽シーンの仕掛け人:ツァハ・バール 

「常に音楽が周りにあった。今も音楽のことばかり考えているよ」。 トレードマークは帽子とまるぶち眼鏡、背筋はピンと伸びている。ツァハ・バール (Tzach Bar)、テルアビ…

3. 《interview》 シャイ・マエストロ (ピアニスト) 後編

まだ育てているところ ーオケのプロジェクトのほうはどう?進んでいる? 今は自分が生み出したオケの曲を育てている、というところかな。 幼稚園児がクレヨンでニコニコ…

2. 《interview》 シャイ・マエストロ (ピアニスト) 前編

インパクトのある名前である。シャイ・マエストロ、本名だ。 若干19歳でベースのアヴィシャイ・コーエンのピアニストに抜擢され、『Gently Disturbed』『Seven Seas』など…

1. イスラエルのジャズとの出会い

1. イスラエルのジャズとの出会い

近年のジャズ、イスラエルが元気だ。

Avishai Cohen(アヴィシャイ・コーエン)、Shai Maestro(シャイ・マエストロ)、Gilad Hekselman (ギラッド・ヘクセルマン)などなど、日本でも知られるアーティストは増えている。NYのジャズ・シーンにもイスラエル人アーティストは欠かせない。

私たちは、そのことを知っていたのではなく、徐々に知ることとなった。

きっかけはアヴ

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13. 《 interview 》 愛されるドラマー: アミール・ブレッスラー

13. 《 interview 》 愛されるドラマー: アミール・ブレッスラー

ジャンルを問わず活躍し、広く愛されるドラマーのアミール・ブレッスラー(Amir Bresler)。キリッと引き締まる一打一打、そして人柄の良さに私たちも惚れ込んで久しい。高三で初ステージを踏んで以降、数々の大物ミュージシャンと共演し続け、現在34歳にして十分な存在感が漂う。他のアーティストのようにNYに行くことはなく、イスラエルを拠点としていたが、最近ベルリンに移住し新たなキャリアを歩み始めた。ラ

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1. We didn't come to look for music, but music found us.

1. We didn't come to look for music, but music found us.

We were not really big fun of music, still less jazz. However we were fascinated by talented musicians, appealing original music and home-like atmosphere of venues and the community. We didn't come t

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12. 《interview》 ヨナタン・ヴォルチョク 後編

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ーーどんな家庭で育った?

両親ともイスラエル生まれ。母は先生、父は高校でボランティアを長年やっているけど、90年代後半にはアフリカ(ガーナとナイジェリア)で仕事をしたこともあった。僕には兄と弟がいて、兄は理学療法士、弟は高校の先生。

両親とも音楽好きで、高校時代に母はアコーディオン、父はギターを弾いていたらしい。だから家ではいつも音楽が流れていて、イスラエルの歌、ポルトガルやブラジルの音楽、ジ

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11. 《interview》 次世代教育に励むトロンボーン奏者:ヨナタン・ヴォルチョク 前編

11. 《interview》 次世代教育に励むトロンボーン奏者:ヨナタン・ヴォルチョク 前編

ーー教育に関わってどのくらい? 学校では何を教えている?

教育に携わるようになってもう11年くらい。現在はアンサンブルと即興のことを教えている。
NYからイスラエルに戻って以降、テルマ・ヤリン高校、コンサバトリアム、リモンでも教壇に立っている。(いずれもジャズを学べる代表校で、テルマ・ヤリンは芸術系高等学校。コンサバトリアムは高卒以上でNew Schoolとの共同課程を、リモンは高卒以降でバーク

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10. 《interview》 ダニエル・ドール: 「文化や愛を表現する演奏が、今は特に大切」

10. 《interview》 ダニエル・ドール: 「文化や愛を表現する演奏が、今は特に大切」

ーー生年月日とかその辺のこと聞かせて

1986年12月2日、来週37歳になる。テルアビブ で生まれた。両親はイスラエルで大人気だったバンド(ポップミュージックのバンドHakol Over Habibi)で活躍していた。母は今でも歌っている。母と僕は時々一緒に演奏していて、今週もライブがある。父は今はあまり音楽には関わってなく、コーチングのようなことをしている。父と会う時は、そういう話をする。

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9. 《interview》 ナオール&オーリィ・ネヘミヤ 後編

9. 《interview》 ナオール&オーリィ・ネヘミヤ 後編

軍では兵隊のためにパフォーマンス

ーーオーリィ、軍役中のことを教えて。

オーリィ:18歳で軍に入ると、軍のバンドに配属された。兵隊のいる場所を全国渡り歩いて、彼らのためにパフォーマンスをする。軍隊のためのバンドなんだけど、評判が良くて歌がラジオで流れたりし始めて、ときどき頼まれて軍以外でも歌った。

ーー 兵士を励ましたりとか、そういうこと?

オーリィ:そうそう、例えば、パラシュート部隊が降

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8. 《interview》イスラエルのジャズドラマー、オフリー・ネヘミヤの両親:ナオール&オーリィ 前編

8. 《interview》イスラエルのジャズドラマー、オフリー・ネヘミヤの両親:ナオール&オーリィ 前編


コチン(Cochin) とは

まずはじめに、「コチン」というのは何なんだろう。イスラエル南部のコチン遺産センターに説明がある。
 インド南西部ケララ州に居住していたユダヤ人コミュニティ。1950年代に大半の約2500名がイスラエルに移住し、今インドに残るのは数名のみ。歴史的には紀元前10世紀に商人としてインド南西部に到着し、やがて現在のコチン市に根付いたとされる。(by Cochin Jewi

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7. テルアビブのレコード事情

7. テルアビブのレコード事情

久々のレコード・フェア

2月24日に「レコード・フェア」が久しぶりに開催された。テデル(Teder)の看板イベントのひとつである。レコードショップ、個人コレクターが段ボールを並べ、そこにお目当てのレコードを求める人々がわさわさと鼻息荒く群がっている。若者たちも意外と多い。みんな楽しそうだ。

アラビア語のレコードコレクター

会場を歩き回っているとアラビア語のジャケットに目が止まった。レバノンの

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6. 《interview》 オフリー・ネヘミヤ (ドラマー) 後編

6. 《interview》 オフリー・ネヘミヤ (ドラマー) 後編

ーー来週は自身のバンドとして来日するわけだけれども、サイドマンとバンドリーダの大きな違いって何だと思う?(注:このインタビューは2023年3月に実施、2024年3月はGTOで日本ツアー予定、ぜひ!)

まず音楽面では、サイドマンは自分の好きなようにしていればいいけど、バンドリーダーはスーパーバイザー(責任者)のように音楽全てに責任があると思う。自分の耳にどう聞こえるかだけではなく、お客さんにどうや

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5. 《interview》 イスラエルジャズ界のトップドラマー: オフリー・ネヘミヤ   前編

5. 《interview》 イスラエルジャズ界のトップドラマー: オフリー・ネヘミヤ 前編


しっかりキャリアを積めば評価してもらえるNY

ーーコロナでNYからテルアビブに拠点を移してしばらく経つけれど、NYとテルアビブのジャズシーンを見て日々どんなことを感じている?

テルアビブのジャズシーンは素晴らしい人たちに支えられている。こんな小さなところにもかかわらず、本当に盛んでレベルも高いと思う。

NYは世界中から来た若いアーティストが大勢いて、とても興味深かった。しっかりキャリアを積

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4. 《interview》  テルアビブの音楽シーンの仕掛け人:ツァハ・バール 

4. 《interview》 テルアビブの音楽シーンの仕掛け人:ツァハ・バール 

「常に音楽が周りにあった。今も音楽のことばかり考えているよ」。
トレードマークは帽子とまるぶち眼鏡、背筋はピンと伸びている。ツァハ・バール (Tzach Bar)、テルアビブの音楽シーンの仕掛け人である。

音楽を軸とした複合施設に 「Kissa」

2010年夏、友人3人とともに、オンラインのラジオとバーを併設したTederを実験的に開始した(※Tederはヘブライ語で周波数)。
Tederとは

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3. 《interview》 シャイ・マエストロ (ピアニスト) 後編

3. 《interview》 シャイ・マエストロ (ピアニスト) 後編


まだ育てているところ

ーオケのプロジェクトのほうはどう?進んでいる?

今は自分が生み出したオケの曲を育てている、というところかな。
幼稚園児がクレヨンでニコニコマークを描くと、親は手を叩いて喜ぶ。でもしばらくしたら、もっと顔らしいものを描かないと感動しなくなるでしょ。自分も自分の作曲したオケを初めて聞いた時は、うゎかっこいいと思えた。でも、次に聞いた時は全くダメだなと、いろいろ手を加えた。オ

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2. 《interview》 シャイ・マエストロ (ピアニスト) 前編

2. 《interview》 シャイ・マエストロ (ピアニスト) 前編

インパクトのある名前である。シャイ・マエストロ、本名だ。

若干19歳でベースのアヴィシャイ・コーエンのピアニストに抜擢され、『Gently Disturbed』『Seven Seas』など4作のアルバムに参加。アヴィシャイのピアニストとして5年間一緒に世界中を回った。私たちがシャイと出会ったのもその頃だ。2011年にアヴィシャイから独立、その後はシャイ・マエストロとして自身の音楽世界を追求し6枚

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