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7. テルアビブのレコード事情

久々のレコード・フェア

2月24日に「レコード・フェア」が久しぶりに開催された。テデル(Teder)の看板イベントのひとつである。レコードショップ、個人コレクターが段ボールを並べ、そこにお目当てのレコードを求める人々がわさわさと鼻息荒く群がっている。若者たちも意外と多い。みんな楽しそうだ。

Tederを仕切っているツァハ・バール

アラビア語のレコードコレクター

会場を歩き回っているとアラビア語のジャケットに目が止まった。レバノンの歌手だという。段ボールの中の一枚一枚めくってみると、どれもアラビア語のレコード。レバノンのものが多いが、エジプトのもあるという。これらを集めたのは、ウラジオストック出身の移民、アレクセイ。「アラビア語を学んで、この言葉が好きになった」と胸に手を当てながら話してくれた。一番のお気に入りを聞くと、迷うことなくレバノン歌手のこの一枚を選んだ。250シェケル(約一万円)。

1978年のこのアルバムを探していたの

若い子にも聞いてみよう。声をかけたニマが手にしていたのは、1978年発売のイスラエル人歌手の歌を集めたアルバム。探していた一枚が見つかったのだという。聞けば、ニマ自身が歌手を目指してリモン音楽スクールで学んでいたが、最近テルマ・ヤリン芸術学校のジャズと作曲コースに合格したんだと笑顔で教えてくれた。テルマはイスラエル・ジャズの大物を何人も排出している名門の学校。近い将来、彼女がステージに立った姿を見る日が来ても驚きはない。

うちの近くだけでレコードショップ5店

さて、テルアビブ市内では、レコードショップをよく見かける。我が家から散歩の範囲だけで5店もある。
昔からCDの品揃いが抜群だったThe Third Ear はどうなってるのだろう?数年ぶりに行ってみると、CDとレンタルDVDのスペースが全てレコードに様変わりしていた。入り口近くにいきなりジブリコーナーがあるのを発見した。一枚目が「1986年夏公開!」と書かれた帯付きの天空の城ラピュタ!めくっていくとトトロももののけ姫もあった。興奮冷めやらぬまま、2階のジャズルームに向かう。ちょうど来たばかりのスタッフが鍵をあけてくれた。「日本人なら」と部屋に入るなり話し出した。

日本人といえば

イスラエルで日本(人)のいいものを教えてもらうことは少なくない。
「今、若い連中はみんなRyo Fukui を追っかけてるの知ってるか?」
「あ、うちにはこういうのもあるんだけど」
とFourというアルバムを見せてくれる。髪型もメガネも時代を感じる、1974年リリース。

手前のレコードがFour Unit。
Akira Miyazawa(Tr,Fl)、Masahiko Sato(P)、Masahiko Togashi(D)、Yasuo Arakawa(B)


「そうだ、Yoshihide OtomoのDreamsって知ってるか?日本のポップスとジャズっぽいのが面白く絡んでいて、Tzadikから出てるんだ」
とSpotifyで聞かせてくれる。歌っているのは戸川純。独特な歌詞を語るように歌う戸川純が店内に響いている。

この店、だから好きなんだ。

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