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2022年5月の記事一覧
風間直樹、井艸恵美、辻麻梨子『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』東洋経済新報社
精神疾患の患者数は日本中で400万人を超えているという。その中で入院患者数は28万人、精神病床は34万床あり、驚くことに世界の5分の1を占める。
精神病院の実態に調査報道部の記者3名で取り組んだ現実のレポートであり、労作である。日本の精神医療の深い闇を明らかにする。
精神保健福祉法が定める強制入院に「医療保護入院」がある。本人が同意しなくても、家族など1人の同意に加え、1人の精神保健指定医の診
山根節、牟田陽子『なぜ日本からGAFAは生まれないのか』光文社新書
ナイキは、1964年の東京オリンピックの年、アシックスの米国輸入総代理店として誕生した。しかし、2021年の東京オリンピックの陸上競技全般のメダリスト114人のうちナイキの靴を履いていた選手は73人、アシックスの靴を履いていた選手はたった3人であった。
アシックスの鬼塚氏は「ナイキは商社、アシックスはメーカー」と言った。だが、アシックスは製品を作っているとすれば、ナイキは精神世界を作った。「自分
Graham Pullin『デザインと障害が出会うとき』オライリー・ジャパン(オーム社)
本書は、2009年に出版された『Design Meets Disability』を翻訳したもので、デザイナーが義肢の制作に取り組んだらどうなるかという、当時としては挑戦的なプロジェクトにおける試行錯誤の思考記録とも言える。また、本書の後半は、著名なプロダクトデザイナーたちが障害のプロダクトに出会うまたは出会ったらということで書かれている。
なお、著者は、人を第一に考えるため「障害者」(disab
山竹伸二『共感の正体 つながりを生むのか、苦しみをもたらすのか』河出書房新社
世界は共感であふれているかもしれない。共感があってこそ、相手とつながっているという安心感がある。苦しいことに共感されるだけで、その苦しみが緩和する。また、相手に共感することで、相手のことがわかる感じがする。今、共感ブームがやってきている。ビジネスの領域でも共感力が重視されている。
現代社会は共感力を求めている。共感できない人間は批判の対象となりやすい。しかし、すべてに共感ができない以上、無理をし