小川金男『皇室の茶坊主 下級役人がみた明治・大正の「宮廷」』創元社
著者が宮中の仕人(宮内省の様々な雑務に携わる下級職員)として、宮中で見聞きした体験(明治41年から25年間)を後日、記憶の中で確信がつくものに限って記述したものである。ただし、本人の記憶違いが全くないわけではないらしい。
本書は、1951年に『宮廷』という書名で、発刊したものを、名古屋大学の河西秀哉氏が監修し、再刊したものである。第二次大戦後、天皇制の危機にあたり、天皇の「人間」らしさをアピールする書籍が相次いで発刊されたが、それらは記者や、側近が書いたものである。本書は天