記事一覧
さようなら長崎西洋館
埼玉から長崎に赴任したのはもう二十数年前。その職場のお膝元にある大きな交差点、そこに立ってまず目を奪われたのが「必殺カット江口!」の看板とタイトルバックのこの建物、長崎西洋館。
「西洋館」というだけあって、大伽藍や螺旋階段と迷路のような通路、そこに大部屋・小部屋を入り組んで配置する凝った造りの要所要所に彫刻やレリーフがそっと飾ってあったりするのだが、まぁ結局は謎な空間だった。
でも、地元のネタを
「ザ・マイコクーラー」:マイコン制御ではなくキノコを使った冷却ユニットの開発
何のこっちゃ?このタイトルを見れば誰しもそう思われるのではないだろうか。実際に筆者自身もつい先日、米国科学アカデミー紀要なる歴とした学術雑誌に発表されたこの論文( https://www.pnas.org/doi/abs/10.1073/pnas.2221996120 )を見て、ん?んん?!となってしまった。
論文のタイトルは「The hypothermic nature of fungi(キノ
スウィングしたけりゃ遅らせろ!〜ジャズ演奏においてスウィング感をもたらすものとは
「スウィングって何だろうね?」
これは有名なジャズトランペッターにしてシンガー、ルイ・アームストロングがその唄の中で発した問いかけです。確かに"スウィング"という単語は、ジャズという音楽の特徴を最も端的に表現し、かつその演奏におけるエッセンスとして求められるものですね。実際、ジャズミュージシャン自身が「こいつあイケてるぜ」という感覚を表現するのに使われます。だけど、この音楽が誕生してもう100年も
春(を迎える前)の嵐
街のそこここで桜が満開を迎えつつある。
と、その前にいつも試練のごとく嵐のように風が吹き荒れ雨の降る晩が訪れる。
今夜がそれ。
桜の花は大丈夫か、と心配になるが、一夜明けてみると意外に平気で何事もなかったかのように、ほどなく咲き誇る姿を見せてくれる。
はずだ。きっと今年も。
#桜
スナイパーの目〜テッポウウオの場合
テッポウウオは恐るべき狙撃の名手だ。生い茂るマングローブの岸辺に獲物(蜘蛛や昆虫)を認めるや、正確で鋭い水流の一撃を食らわせ河にたたき落とす。"弾”を無駄にしないために、彼らは花や小枝、その他もろもろの「食い物にできないもの」と獲物にすべきものを区別しないといけない。いささか失礼ではあるが、彼らの脳髄のサイズからすると、このタスクは少々難しすぎるように思える。果たして彼らはどのような情報にもとづき
もっとみる(火星の)風の歌を聴け
先日、別の記事(心に沁みるサイエンス:深海の"ソフト"ロボット)の冒頭でも少し触れた火星探査機パーシビアランスからまた新たな話題がふりまかれた。迫真の火星着陸ドキュメントに続いて今回提供されたのは「火星の地表を吹く風の音」。下記参考リンクの最初にあるビデオを再生すると、レーザーが岩を叩くノック音が30秒ほど続いたあと、ひかえめながらフォオオオ〜フオオ〜といった感じの音が聞こえてくる。人類が初めて耳
もっとみる深海の"ソフト"ロボット
つい先日、NASAの新しい火星探査機「パーサビアランス」が、火星に"タッチダウン"する際の緊迫した模様を動画で伝えてきたり、無事に着陸し一段落ついたところでふっと見上げた火星の夜空の全天写真を送ってきたりということが話題になった。人類の探求は宇宙に向かって着実に広がっていることを実感させられるが、その目は地球の深部にも向けられている。
マリアナ海溝。海表面から1万メートル以上の深みに刻まれた地球
ウォンバットが四角いうんちをする仕組み
「ハダカデバネズミの唄」に続く“動物の(ファニーな)不思議”シリーズ第二弾。あ、「トガリネズミの脳が縮む話」も加えれば第三弾か。ともあれ今回登場するのはオーストラリアの大平原やユーカリの森に棲息する哺乳類ウォンバット。ただし主役はそのうんち。参考リンク先の写真でご覧になられるとおり、見事に直方体をしたブツが一日に100個近くも“生産”されるそうな。
なんでこんな形になるの?ケ◯の穴は丸いのに??
ハダカデバネズミの“友だちの唄”
最近、生命科学の分野で存在感を増している実験動物がいる。Naked mole-rat、ハダカデバネズミと呼ばれるネズミの一種だ。下の参考リンク先にある写真をご覧になれば、その名に合点がいくことだろう。実験動物界の大先輩にあたるハツカネズミとそれほど大きさが変わらないものの、実験室での飼育環境下では15年以上も生きるという長寿(ハツカネズミは長くて2年)でありながら、がんを患うことなく、しかも酸素が
もっとみる