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【RIJF2019 ライブレポート】 欅坂46、「ロック」からの解放、その先へ

【8/4(日) 欅坂46 @ 「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019」 GRASS STAGE】


記録的な酷暑。

あの会場にいた誰もが察していたように、おそらく、平手友梨奈のコンディションは万全ではなかった。

欅坂46のライブは、エース・平手の絶対的才能、そして、メンバーたちが彼女へ寄せる絶対的信頼の上に成り立っている。

だからこそ、彼女たちのパフォーマンスは、果てしなく強靭で、そして同じだけ脆い。

欅坂46のステージングが、スリリングな魅力とフラジャイルな輝き、そして刹那的なドキュメント性を孕んでいるのは、それ故だ。

特に前半、いつ崩れ落ちても不思議ではないほどに、平手は満身創痍であるように見えた。そのことに不安を感じていた観客も、少なからずいたと思う。

それでも、新しく2期生を迎えた欅坂46は、互いを信じ合いながら、この灼熱のステージを見事に完遂した。

そして後半、平手の表現者としての「業」が徐々に浮き彫りになり、次第にグループ全体のパフォーマンスが洗練されていく流れは圧巻だった。



欅坂46が「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のステージに立つのは、今回で3度目。

3年連続でGRASS STAGEのトップバッターを務める彼女たちは、渋谷陽一氏が前説で語っていたように、もはやこのフェスの「主力選手」だ。

一昨年、昨年は、「アイドルがロックフェスのステージに立つ」という逆境を乗り越えるために、"サイレントマジョリティー"や"ガラスを割れ!"といった反骨精神を剥き出しにした楽曲をセットリストの主軸に据えているように思えた。

もちろん今回も、"エキセントリック"や"避雷針"が「ロック」のテーマとして機能していた。奇怪さ、不気味さをも感じさせるパフォーマンスに、戦慄を覚えた人も多かったはずだ。

しかし、今回のステージの1曲目は、王道のアイドルポップス"危なっかしい計画"。この選曲が可能となったのは、彼女たちにとって「ROCK IN JAPAN」が完全なホームグランドとなったからこそだろう。

"風に吹かれても"、"Student Dance"、そして"アンビバレント"も、軽やかさとラフさを秘めた、等身大なパフォーマンスが光っていた。

そう、欅坂46は、初期の「ロック」路線を超えて、より自由に表現の可能性を広げている。

今の彼女たちは、もう世間からの期待に応えて、ストロングスタイルを貫き通す必要はないのだ。

"二人セゾン"と"世界には愛しかない"が、このフェスの新しいポップアンセムとして、熱狂をもって受け入れられていたことが、そのことの何よりの証明である。

彼女たちに「ロック」的なるものを期待した人たちは面を食らったかもしれないが、表現者として進化を続ける欅坂46の歩みは、きっと正しいはずだ。


 


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