「爆ぜる色彩」と見えない横顔

浦上想起の10曲目の「爆ぜる色彩」を一聴したときの体験は「いったいなんだこれは……?」というものだった。

個別の楽器の使い方や声の加工は浦上想起のスタイルとすぐに分かる。構成も把握できないほど難解というわけではない。

分からないのは、この曲の横顔だった。楽曲にはそれぞれの横顔がある。YOASOBIの「夜を駆ける」なら、印象的なサビからはじまり、リリカルで疾走する髪の長い女の横顔が、ヨルシカの「

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3度目の緊急事態宣言。今、音楽・映画ライターの僕が考えていること。

本日、3度目の緊急事態宣言が発令されました。

新型コロナウイルスの感染拡大は一向に止まらず、先行きが全く見えない状況の中で、多くの方が、それぞれの立場や環境において迷い葛藤しているのではないかと思っています。

特に、文化や芸術の領域について。僕自身としては、音楽・映画ライターとして活動する中で、この険しい現実を前に圧倒的な無力感を感じています。同時に、音楽・映画ライターとして、僅かでも自分にで

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米津玄師、蒼きラブソング"Pale Blue"が伝える「恋愛」の深淵さについて。

今回、6月リリース予定の米津玄師の新曲"Pale Blue"についての記事を、「Real Sound」に寄稿させて頂きました。既に、TBS系金曜ドラマ『リコカツ』の主題歌として一部オンエアされている楽曲です。

ぜひ、お読み頂けたら幸いです!

なお、この原稿では書ききれなかったことを含めて、Voicyでも話しています。よければ、合わせてお聴き頂けたら嬉しいです!

・オープニングトーク
・米津玄

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第14回芥川作曲賞選考演奏会(2004年)批評

#2004年に執筆したものの再録です

 故芥川也寸志氏の功績を記念して1990年4月に創設され、その翌年より選考が開始された 芥川作曲賞は、選考会の前年に内外で初演された新進作曲家による管弦楽作品(室内管弦楽作品も含む)を対象とした作曲コンクールである(サントリー音楽財団主催)。本選会は、例年サントリーサマーフェスティバルの最中に行われ、候補曲の公開演奏と、それに続く審査員によるステージ上での

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「庭園想楽」を聴いて/音楽について思考する

(やっぱりぼくは、ぼくが聴きたいようにしか音楽を聴けないんだと思いながらも、それを排除せず、考えたことを書きます。音楽の聴き方は一生アマチュアなんだろうけれど、とりあえずいまは、それを否定しません。だから、客観的なことはなにひとつ書いていないかもしれない。これは、演奏会評ではいのです)

 昨日は「庭園想楽 第一回演奏会」に足を運んだ。「庭園想楽」はただ演奏するだけのグループではなく、音楽の研究、

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ドラムデュオ〈ダダリズム〉。京都のライブハウス「外 soto」におけるライブ

(写真=Arts Support Kansaiより)

以下の稿は
《ケンジルビエン(KEN汁ビエン)Kenjiru Bien〜異能の身体〜》
の後編として書かれています。

スリーピースバンド〈空間現代〉の運営する京都市左京区鹿ケ谷法然院西町にあるライブスハウス「外 soto」。
彼らが作り出したこのライブハウスは、関西圏に新しい音楽シーンを引き込むエキサイティングな場として注目を集めている。

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拉麺ポテチ都知事8「10歳で中二病」

先日『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観た。見届ける気持ちで足を運んだのだが、何とも言えない感動を覚える。あの作品が幕を閉じるということがどれだけ価値あることか。今作は世界中の碇シンジ君にとってイニシエーションとなるかもしれない。

安心してほしい、以下ネタバレなしで進行する。というか『シン・エヴァ』の感想は一切書かない。

私は幼少期に毎年公開される平成『ゴジラ』シリーズに胸を躍らせていた

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拉麺ポチチ都知事7「飛ぶよ文化でどこまでも」

もう1週前ほどになるが、私が参加している音楽一座のHEAVENESEで明治神宮にて行われた『東日本大震災10年 慰霊鎮魂奉納演奏 奏上』にて演奏を奉納した。とても荘厳/ 光栄で、なんとも考えさせられる空間だった。動画は以下(現場のテクニカル的な都合で音質は良くない)。

10年前のあの日の空は忘れられない。禍々しい色の曇り空。私は何事もなかったかの様にサキソフォンの練習に向かっていたが、やる気も失

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ミヒャエル・ハイドンの音楽(1)《セレナーデニ長調 P.87》

本シリーズでは、ミヒャエル・ハイドンの音楽を愛してやまない筆者が、知られざるミヒャエル・ハイドンの名曲を解説していきます。

1. ミヒャエル・ハイドンの人生

 ヨハン・ミヒャエル・ハイドンは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)の弟として、1737年9月17日にオーストリアのローラウで生まれた。兄と同じく古典派を代表する作曲家である。しかし、現在ではあまりに高名な兄の影に隠れ、そ

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松平頼則≪主題と変奏≫について幾つか

 3月21日のNHK Eテレ「クラシック音楽館」では、ファビオ・ルイージ指揮による、ベートーヴェンの「ミサ・ソレムニス」に加えて、松平頼則(ちなみに「よりつね」と読む)の《盤渉調「越天楽」による主題と変奏》が放送されるそうだ(ピアノ:深見まどか、角田鋼亮指揮 東京フィルハーモニー交響楽団)。歿後20年だし、大河ドラマ「青天を衝け」初回では、曽祖父に当たる松平頼縄(常陸府中藩:茨城県石岡市藩主、ちな

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