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エッセイ

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いつものまさかに出会えたら。
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#クリエイティブ

身内に売っても広がらない。

僕はプライペートでZINE(『CoiCoi』というカープ女子をテーマにした自費出版雑誌)を2冊作った。クオリティの高い雑誌にすることはもちろんだけれど、それ以上に、流通させること、そして、いかに知らない人に買ってもらうかに意識を置いた。

だから、文学フリマやデザインフェスタ、コミケなどのイベントにもたくさん出展したし、本屋への営業もかなりした。おかげで、全国にあるインディペンデント系の本屋につい

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作家さんとマネージメント契約を結んだ話

フリーランスになって一番実感したのは、コピーライターという職種がいかに世間に認知されていないかということ。正確に言うなら、認知はされているけど、どんなことをしている職業なのかが、さっぱり知られていないということ。

せいぜい、駅に貼ってあるポスターのキャッチコピーを書いている人という認識。それならまだ良い方かもしれない。「デザインもできるんですか?」と真顔で聞かれることもしばしば。toBの世界で生

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他人が評価してくれる自分を、もっと信用してみる。

地方創生的なイベントで意気投合した2人と飯に行った。3ヶ月に1度、定期的に集まっている。各々の近況報告をしながら、ちょっとお高い蕎麦屋さんで冷酒片手に肴をつまむ。とてもいい時間だ。1人はデザイナー、1人はコンサルをしている。僕はコピーライターをしている。

宴もたけなわ、仕事の話も白熱した頃、「他人が評価してくれる自分は、自分がこうなりたいと考える自分とは合致しないよね」といった理想と現実の話にな

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そのアイデアに、品はあるか。

僕がまだ広告制作会社に勤めていた頃の話。AD(アートディレクター)の先輩と飲みに行った時に、まあいつものごとく仕事の話になって、こんなことを聞かれた。「うちの会社の個性ってどこだと思う?」と。僕は、少し迷って「みんな面白いアイデアを考えるところですかね」と答えた。しかし、その先輩は「それももちろんあるけど、違うなー。『品』があることだよ」と教えてくれた。

「もし、うちの採用基準があるとするならば

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「女性に嬉しい」は、もうやめてほしい

よく情報番組やバラエティ番組などを観ていると「女性に嬉しいですね」とリポーターやMCなんかがコメントする。広告の世界でも、「女性に嬉しい」というワードを使いがちである。でもその言葉を見たり聞いたりするたびに、とても違和感を覚えていた。

平日の昼間の情報番組なんか、本当にこの言葉が多い。主婦や高齢の女性が視聴者として多いから、女性に寄った番組になるし、女性に寄った言葉遣いになるのはわかる。しかし、

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初めてのコピーと優しい大人たち

自宅を断捨離していたら、一枚のチラシが出てきた。綺麗に折られたチラシをゆっくり広げてみると、そこには僕が初めて書いたキャッチコピーが載っていた。記憶が一気によみがえる。

大学4年、就活生の頃の話。僕は宣伝会議に完全に洗脳されコピーライターになることだけを夢見て就職活動をしていた。広告代理店か広告制作会社しか受けないと決めていた(イタい、イタすぎる。当時の自分にもっと色んな業界を受けろと説教してや

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本年も、ととのえて、よろしくお願いいたします。

本年も、ととのえて、よろしくお願いいたします。

昨年の11月末になぜかサウナにハマり、それからというもの、ほぼ毎日、銭湯やスパに通うようになった。サウナのバイブル、タナカカツキさんの「サ活」や、まんしゅうきつ子さんの「湯遊ワンダーランド」ももちろん読み、サ活の基礎であり王道の「サウナ→水風呂→外気浴」、このセッションを繰り返すことで、心身が整えられていくことも、身をもって学んだ。

2ヶ月近く、ほぼ毎日かよっていると、サウナに居られる時間も、ど

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牡蠣、食べたい

牡蠣、食べたい

牡蠣、食べたい。でも怖い。

2度、救急病院に駆け込んだから。

でも、うまいから、牡蠣、食べたい。

岩牡蠣でアタってるから、ふつうの牡蠣なら大丈夫かしら。

でも怖い。

カラダ全身が痺れて、38度の高熱が出て、下痢し続けるの嫌だから。

でも、牡蠣、食べたい。

フェスに行って夏を感じるように、

僕は、牡蠣を食べることで冬を感じる。

決して、もつ鍋ではない。

どこかのITベンチャーが、

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きょうも、整いました。

きょうも、整いました。

僕は今年の5月からフリーランスのコピーライターとして活動を開始した。フリーランスは、いいところもわるいところもあるけれど、一番のメリットは時間の融通がきくところだろう。昼に映画に行けるし、平日の夜に飲みにいける。最高である。そんな僕がフリーになってから習慣になったことのひとつに銭湯通いがあげられる。

家の近所にある、武蔵小山温泉(清水湯)に通っている。そう「温泉」なのがここのいいところ。そして、

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イニエスタを見に行ったのに。

イニエスタを見に行ったのに。

遡ること9月末日。高校時代からの友達と、神戸に小旅行をした。僕は野球ファンだから、野球ほどサッカーに興味はないのだけれど、どうしてもイニエスタを生で見たいというミーハーな気持ちから、旅行の数ヶ月前に友達と話をして、神戸まで行こうということになった。友達は根っからの鹿島アントラーズファンだ。それで「鹿島VS神戸」の試合を観に行くことにした。

旅行当日。試合は19時からというので、直接スタジアムに行

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ひとりで飲んでも、おいしくない。

「お酒は好きですか?」よく出会ってまもない人に投げかける質問だ。その人が飲める人なのか否か、強いのか否か、それを知ることで、お酒の交流が持てるかを測る指標となる。お酒の交流は大切だ。

でも僕にとってお酒での「交流」が重要なのであって、人との交流を持たないお酒は、ほとんど意味をなさないことに気が付いた。要はひとり酒ほど無意味なものはないということだ。

僕は独り身なので、夜はスーパーに寄って、缶ビ

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なぜだか、さいきん、祖父江ずいている。

なぜだか、さいきん、祖父江ずいている。

約1ヶ月前。僕は、実家の茨城から住まいのある東京に戻るために、水戸駅ホームにてベンチに座って特急列車を待っていた。スマホを見ながら時間を潰していると、階段の方から聞いたことのある声がした。男性の声だがやけに甲高く特徴がある。声の方に目をむけると、それは、そ、そ、祖父江慎さんではないか!マネージャーさんだか、スタッフさんだかと思われる妙齢の女性と一緒だ。

祖父江さんは、ブックデザイナーで、その経歴

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ぼくは、「ヒロシ」になりたい。

ぼくは、「ヒロシ」になりたい。

Amazonプライムでアニメ「ちびまる子ちゃん」を観ている。放送開始の1990年から2002年までの回がアップされている。僕が小学生で、どんぴしゃで観ていた1994年〜1998年前後なんかは、登場するキャラも増え、キャラクターの個性もより明確になり、個々のテーマ曲なんかも設けられるように。さくらももこ先生のシニカルな視点はそのままに、アニメは、よりポップに、観やすくなっている印象だ。

毎日コツコ

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小学生の底なしエネルギー

小学生を指導するダンスインストラクターさんの取材にいってきた。当日は、指導しているシーンも撮影したいから、お願いして、生徒さん、つまり小学生20人程度にも集まってもらった。レッスン前の小学生(小学4年生〜6年生くらい)は、スペースの真ん中に集まって、いつの間にか鬼ごっこやらケードロなんかを始めだす。

そのエネルギーが凄まじく、昼前、まだ寝ぼけまなこだった僕は、完全にそのエネルギーを食らってしまっ

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