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映画「さざなみ」 人の心はやわらかくて壊れやすい。すべてを正直に話さなくても…。
『さざなみ』塩辛い映画だった。
人生の晩秋を迎えて、45年も寄り添ってくれた妻に全てをさらけ出さずとも良いのになあ。きっと話さないほうが良いこともあるのだろう。
ジェフよ、いくら愛する妻とはいえ、相手の全てを知ることは不可能だし、自分のすべてを同じように理解してもらうことは不可能に決まってるじゃあないか。
人は何らかの秘密を抱えて生きていくもの。そんな話は墓場まで持っていってくれ。
長年連
映画『桐島、部活やめるってよ』見た 映画って時間が経つと刺さり方が変わるよね
『桐島、部活やめるってよ』を久しぶりに見た。一度目は、目黒シネマで見ているので二度目。
一度目は、最後まで桐島が出てこないという仕掛けに、テーマを忍びこませる凄技に唸らされたのを覚えていたけれど、そこまでは刺さらなかった。青春時代の人間模様を掬ったストーリーは好みの物語だけれど…。私自身は、いわゆるスクールカーストみたいなものを意識しないで生きてきた世代だからか、登場人物にあまりリアルを感じなか
映画『怪物』ー普通ってなんだよー
「普通ってなんだよ」と言う歌を思い出した。最近のロックは大人しい。優しい言葉で、柔らかい音で、世界の片隅に追いやられた人たちの気持ちを包もうとしている。
私のいつも出会う人たちは、自分の殻に閉じこもるか、わからないように隠れるか、逃げるかしている人が多い。多くの人の目に触れることを好まない人も多い。
そんな彼、彼女らは昔のロックのように、今ある世界に対してNOを突きつけ、戦いの狼煙を上げる音楽
映画『三島由紀夫VS東大全共闘50年目の真実』観た
私の大学時代にはまだ民青の立て看が残っていた。時代的には新人類などと呼ばれ、シラケ世代の更にあと。日本の青年期の強烈なエネルギーが放出されたあとのあとだった。
祝祭のあとの脱力感と虚無。なにかに真剣に向き合うことが軽んぜられる風潮があったように思う。あくまでもマスコミが作り上げた時代の空気だろうけれど。
そして、バブルが始まり、何だかカオスな時代だった。世の中にはキンキラキンな気分が蔓延しはじ
映画『BLUE GIANT』観た JAZZは一期一会よ
前から気にはなってた『BLUE GAIANT』。アマゾンの配信で観た。料理作りながら「音、聴いとこう」と思ったけれど、引き込まれてしまった。
JAZZは、流行りの音楽ではなく一部の愛好家が好むもの。最近の映画の中では、そんな位置づけで語られることが多くなった。『ラ・ラ・ランド』でも好きなものは好き、と時代に背を向けるライアン・ゴズリングが演じる主人公はジャズピアニスト。現在のJAZZに与えられた
世界のベストセラー『幸せなひとりぼっち』は、オーヴェという架空の中年偏屈男のキャラクター設定から始まった。
『オットーという男』の原作が『幸せなひとりぼっち』だと知り、読んでみた。
著者は、1981年生まれのフレドリック・バックマン。彼が、偏屈で頑固な中年男のエピソードをオーヴェという架空のキャラクターを創造して人気ブロガーになり、またまたそれを長編小説に仕立てたのがこれ。
成り立ちから興味を惹くじゃありませんか。
訳者あとがきを読んで知ったのだけれど。(笑)
『オットーという男』は、良くできた