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映画『生きる LIVING』を思い出したら、おひさまが優しく輝いた

meronagiさんの記事を読んで、カズオ・イシグロが脚本を書いた『生きる LIVING』を思い出した。見たのは2年前。

生きる LIVING
   2022年 ‧ ドラマ ‧ 1時間 42分

その時の文章がこちら↓


そこそこの齢になり自分に残された時間を濃く深く生きるには?そんなことを考えさせられた。

誰もが思いつきそうだが、今一度これまでの人生を振り返り、やり残したことを整理し、残された時間との折り合いの中でできることを選択することだと思う。

ふと、70を間近に迎える尊敬する先輩が、日々焦りながら仕事をして、追いまくられていた顔をしていたことを思い出した。口に出さずとも「私には、もう時間がない」と言ってるような態度。誰もが認める業績を残した人なのだから優雅に過ごしたら良いのに、とその時は思った。きっとその先輩には、やらなければならない大事が常に頭に浮かんでいたのだろう、と思い直した。

一緒に見た友人からラインが来た。

「『生きる』を見て改めて人生を考えることができました」

        *

以外にも館内には若者たちが沢山来ていた。ちょっとびっくりした。黒澤映画に親しんだものばかりが見るのだろう、と予想していたので。

カズオ・イシグロの『生きる』には、爽やかな若者たちが壁を感じながらも伸びやかに生きているシーンがところどころに出てくる。未来への希望につながるような気持ちになる。人は生き直しが出来なくても、未来の誰かに希望を託すことはできる。

『わたしを離さないで』『日の名残り』『クララとおひさま』カズオ・イシグロは、語りたいテーマを小説の中に巧みに組み込ませて我々の前に差し出してくる。ディストピアを描いているようでいてもその世界には一筋の光があり、普通の人のLIVINGと重なっている。

ラストシーンでビル・ナイが切々と歌う『ナナカマドの木』は、長い人生行路を称える讃歌のように聞こえた。人の一生は、ブランコのように行ったり来たりするが、後ろに下がったときとて、前に進む原動力なのだと捉えよう。

若者に囲まれて映画を見たからなのか、幸せな涙が零れた。

meronagiさん、思い出させてくれてThank You!

今日もおひさまが優しくのぼってる。

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