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記事一覧
小さな仕事のもつチカラ ~『お探し物は図書室まで』(青山美智子)~
「お探し物は図書室まで」を読み始めて、ある記憶がよみがえってきた。30年くらい前だろうか、「登場人物が全てハッピーエンドになるようなストーリーを作りたいと思ってこの作品を書いた」というような記事を見た。あの作家はいったい誰だったのだろうか…
私は学生の頃「文学とはどこか暗くて重みがあって、作品の登場人物はとても悩みが深いもの」という印象をもっていた。そんな作品こそが文学的な価値が高いのだと、あり
「サンタクロースっているんでしょうか?」 ~クリスマスの思い出②🎄~
「サンタクロースっているんでしょうか?」
こ存じの方も多いと思いますが、「サンタクロースっているんでしょうか?」は昔アメリカのニューヨーク・サン新聞の社説として掲載されたものです。
幼い少女からの「サンタクロースっているんでしょうか?」という手紙に、記者が返事として書いたものなのです。
なんと難しい問いかけでしょう。
それでも、記者はこう答えます。
「サンタクロースってどこから入ってくるの?」
「理想的本箱」とそのつづき ~『ラテ・ファクター』~
「理想的本箱」という番組
このところ「理想的本箱」という番組を楽しみに観ている。
少し前NHKプラスでこの番組を見つけ、去年放送された3作品と今年になって新しく放送された4作品を観たところだ。
この「理想的本箱」は、「悩み多き10代の漠然とした不安や悩み、好奇心に答える一冊を見つけてくれるプライベート・ライブラリー」というコンセプト。
私はこのコンセプトにとても共感した。
私自身が10代の頃、特
ひとりで楽しむ読書から、誰かとつながる読書へ ~①家族で「オンライン読書会」をやってみた~
家族で「オンライン読書会」に挑戦
先日、久しぶりに実家に一泊で帰ることができました。この数年コロナ禍のため、実家で一人暮しをしている母とはなかなか思うように会えず、淋しい思いをさせていたのではないかと思います。また母が以前から「読書会がしたいけれど、コロナ禍ではじめられない」と言っていたことも気になっていました。
そこで今回の帰省の機会に、実験的にLINEを使っての「オンライン読書会」を家族でや
いつか… ~『サード・キッチン』(白尾 悠)~
コロナ渦に消えた留学
「○○ちゃんは、○○に留学したいみたいだけど、私は○○がいいな…」
カフェでとなりのテーブルに座った家族が楽しそうに話している。話しているのは大学生になったばかりに見える女の子だ。娘の大学受験が無事に終わりホッとしている頃だろうか…、ご両親はにこやかにアドバイスをおくっている。
私はとなりのテーブルでぼんやりと話を聞きながら、「去年までは考えられなかった会話だな…」と心の中